2025年8月26日(火)号

7月の輸出は13か月連続プラス=貿易収支も3か月連続黒字

 商務省商業政策戦略事務局のプーンポン・ナイヤナパコーン事務局長[=写真]は8月25日、7月の物品輸出額が285億8070万㌦となり、前年同月比11.0%増、13か月連続で拡大したと発表した。石油関連製品・金・武器を除いた輸出は16.6%増となった。8月の米国の相互関税猶予措置の期限を控え、世界各国の輸入業者がリスク回避のために輸入を前倒ししたこと、さらに、タイ政府が米国との関税交渉を円滑に妥結できるとの信頼を市場に与えたとが背景にある。また、米国の関税の影響を受ける企業への支援策を用意していることも、輸出企業の信頼感を高めている要因と説明した。7月の貿易収支は3か月連続で黒字を記録した。輸出はほぼすべての工業製品分野で高い伸びを示した。1~7月の輸出は前年同期比14.4%増、石油関連・金・武器を除いた場合でも14.5%増と、引き続き力強い拡大が続いている。


 2025年7月の貿易額は、輸出が285億8070万㌦で前年同月比11.0%増、輸入が282億5860万㌦で同5.1%増となった。その結果、貿易収支は3億2210万㌦の黒字を記録した。1~7月では、輸出額は1954億3260万㌦で前年同期比14.4%増、輸入額は1951億7270万㌦で同10.6%増となり、貿易収支は2億5990万㌦の黒字となった。
 7月の農産物・農産加工品の輸出額は前年同月比10.9%増となり、3か月連続で拡大した。内訳を見ると、農産物は21.5%増と高い伸びを示し、3か月連続の増加。一方、農産加工品は0.2%減と4か月ぶりに減少へ転じた。
 品目別では、果物(生鮮・冷蔵・冷凍・乾燥)が107.7%増と大幅に伸びた。中国、インドネシア、マレーシア、香港、韓国向けの輸出が増加した。鶏肉(生鮮・冷蔵・冷凍・加工)は9.8%増と10か月連続で拡大し、日本、中国、韓国、マレーシア、オランダ向けが好調だった。ペットフードは9.1%増と22か月連続の拡大で、米国、日本、イタリア、オーストラリア、マレーシア向けが増加した。小麦製品やその他の即席食品は21.8%増と19か月連続の増加。中国、オーストラリア、ミャンマー、ラオス、日本向けが伸びた。砂糖は36.2%増と2か月連続の拡大で、インドネシア、フィリピン、ラオス、マレーシア、中国向けが増加した。果物缶詰・加工品も12.9%増と22か月連続で拡大し、米国、オーストラリア、オランダ、カナダ、メキシコ向けが好調だった。
 一方、減少した品目もある。天然ゴムは19.9%減と3か月連続で縮小した。中国、マレーシア、米国、インド、ブラジル向けが減少した。ただし、日本、ベトナム、スペイン、ドイツ、パキスタン向けは増加した。米は16.3%減と9か月連続の減少で、イラク、香港、セネガル、コートジボワール、日本向けが減少したが、米国、中国、南アフリカ、モザンビーク、コンゴ民主共和国向けは増加した。
 水産缶詰・加工品は3.4%減と2か月連続で減少した。米国、オーストラリア、カナダ、リビア、サウジアラビア向けが減少したが、日本、エジプト、イスラエル、ペルー、中国向けは増加した。タピオカ製品は12.6%減と3か月ぶりに減少し、中国、日本、台湾、インドネシア、シンガポール向けが減少したが、マレーシア、韓国、米国、フィリピン、オーストラリア向けは増加した。動植物油脂は28.5%減と4か月ぶりの減少で、インド、マレーシア、韓国、日本、カンボジア向けが減少したが、ミャンマー、中国、ベトナム、フィリピン、インドネシア向けは増加した。食肉・同調製品は14.3%減と4か月連続で減少した。日本、英国、カンボジア、ドイツ、オーストラリア向けが減少したが、ミャンマー、香港、シンガポール、ラオス、ベルギー向けは伸びた。
 1~7月の農産物・農産加工品の輸出は前年同期比で3.5%増だった。
 7月の工業製品輸出額は前年同月比14.0%増となり、16か月連続の拡大となった。主力商品では、コンピュータ・関連機器・部品が61.0%増と大幅に伸び、16か月連続の拡大となった。米国、中国、マレーシア、オランダ、シンガポール向けが好調だった。ゴム製品は9.7%増で13か月連続の拡大。米国、中国、日本、インド、マレーシア向けが伸びた。
 機械・同部品は44.1%増と3か月連続で拡大した。米国、英国、日本、中国、シンガポール向けが中心だった。電気回路基板は54.9%増で7か月連続の拡大で、香港、台湾、マレーシア、中国、日本向けが好調だった。変圧器・同部品は19.8%増で10か月連続の拡大、米国、メキシコ、日本、チェコ、香港向けが伸びた。プラスチック製品も28.8%増と13か月連続で拡大し、米国、日本、インド、中国、ベトナム向けが寄与した。
 一方で、輸出が減少した品目もある。石油関連製品は24.7%減と4か月連続の縮小で、中国、インド、シンガポール、ベトナム、日本向けが減少した。ただし、米国、ベルギー、ブルネイ、パキスタン、南アフリカ向けは拡大した。木材・木製品は6.4%減と3か月連続の減少で、中国、ベトナム、日本、韓国、インド向けが減少したが、アラブ首相国連邦、米国、マレーシア、エジプト、サウジアラビア向けは伸びた。
 ラジオ・テレビ受信機・同部品は17.7%減と2か月連続で縮小し、米国、日本、インド、ドイツ、マレーシア向けが減少した一方、インドネシア、ブラジル、ベトナム、南アフリカ、ベルギー向けは増加した。半導体・トランジスタ・ダイオードは44.0%減と17か月連続の縮小。米国、香港、インド、韓国、チェコ向けが減少したが、中国、日本、台湾、シンガポール、ラオス向けは拡大した。
 1~7月では、工業製品の輸出は前年同期比18.5%増となった。
 輸出は主力市場、有望市場ともに引き続き高い伸びを示した。米国、中国、日本、EU、アセアンといった主力市場や、南アジア、ロシア、英国といった有望市場向けが好調だった。背景には、米国の相互関税措置が全面的に発効する前の駆け込み輸出がある。
 主力市場向け輸出は前年同月比15.3%増。米国向けが31.4%増、中国向けが23.1%増、日本向けが7.1%増、EU向けが6.6%増、アセアン(5か国)向けが5.6%増、CLMV向けが1.9%増と、いずれも拡大した。有望市場向けは前年同月比7.7%増。南アジア向けが7.1%増、中東向けが1.4%増、アフリカ向けが12.7%増、ラテンアメリカ向けが33.7%増、ロシア・CIS諸国向けが26.6%増、英国向けが17.4%増と堅調だった。一方で、オーストラリア向けは11.5%減少した。その他の市場は51.7%減。
 プーンポン事務局長によると、今年残り期間における輸出は、引き続き成長が見込まれている。タイは米国との関税交渉で成果を上げ、輸入関税を36%から19%へ引き下げることに成功した。この水準は域内の他国とほぼ同程度で、投資家や輸出業者の懸念を和らげ、競争上の不利を軽減するとともに、将来の投資を後押しする効果が期待されている。
 商業省は今後、公正な貿易の実現に向けて、商品の原産地を確認する仕組みの整備を一層重視していく方針。同時に、米国からの輸入品の関税引き下げで影響を受ける分野に対しては、適切な支援策を講じていくとしている。
 同事務局長は、年内の輸出に対する下押し要因にも注意が必要だと指摘している。タイ・カンボジア国境での紛争による国境貿易の停滞、米国の関税引き上げ発表前に輸入国が積み増した在庫水準、さらに中国経済の減速による将来の受注鈍化などをリスク要因として挙げた。商業省はこれらの動向を注視し、適切な対応策を検討していく考え。新市場の開拓や輸出促進に向けた積極的な取り組みを引き続き推進していく。

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