7月の工業生産は3.98%減=通年予測は下方修正
工業経済事務局が8月28日に発表した7月の工業生産指数(MPI)は93.34ポイントとなり、前年同月比で3.98%減少した。自動車生産の縮小、高水準にある家計債務、消費者の支出抑制が工業部門の売上に影響を及ぼしている。パーサコン・チャイラット事務局長[=写真]によると、平均設備稼働率は57.37%で、自動車生産が再び縮小したことが大きく影響した。特に大型乗用車、排気量1800cc以下のハイブリッド車、小型乗用車で減少が目立った。大手メーカーが工場移転のため一時的に生産を停止したことに加え、一部メーカーは内燃機関車の生産量を受注に応じて削減した。

パーサコン氏によると、製油所1か所が年次計画に基づき大規模メンテナンスのため操業を停止したことも指数の下落につながった。また、多くの工業事業者は米国の輸入関税交渉の結果を見極める姿勢や高水準にある家計債務を背景に、在庫を放出して販売した。個人ローン、住宅ローン、クレジットカードローンの不良債権が引き続き増加しており、金融機関は融資基準を厳格化した。消費者も支出に慎重になり、工業部門の売上に影響が出ている。工業部門の信頼感も低下している。外国人観光客の動きが鈍っており、冷凍食品、ソーセージ、旅行かばん、スポーツシューズ、アルコール飲料など関連産業に影響が及んでいる。
8月の工業経済に関する警戒システムは「警戒シグナル」を発している。国内要因では、需要が依然として回復していないことや、米国の関税措置の影響への懸念から受注に対する信頼感が低下しており、景気減速のシグナルが出ている。国外要因でも同様に「警戒シグナル」が示されており、一部の国で輸入が減少し、最終財の生産指数が需要の低下に伴って収縮している。
第2四半期(4~6月)のMPIは前年同期比で0.53%拡大し、工業部門のGDPも1.70%成長した。1~7月のMPIは0.70%減少したが、OIEは通年のMPIを0~0.5%増、工業部門のGDPを0.5~1.5%増と予測している。ただし、従来の予測値であるMPIで0~1%、工業部門のGDP成長率で0.5~1.5%から下方修正した。
経済政策や米国の輸入関税措置の不透明さ、競争力の低下、家計債務問題や消費の回復の遅れ、観光業の減速といった下押し圧力があるものの、残り期間にはプラス要因もある。政府による景気刺激策、主要貿易相手国との貿易が引き続き拡大基調にあること、政策金利の引き下げによる金融緩和、米国との相互関税交渉の成果を挙げた。タイの関税率は周辺の競合国と比べて低い水準か近い水準にとどまり、パーサコン氏は、タイは競争力を維持できるとの見方を示した。
モーター・発電機・変圧器は前年同月比54.69%拡大した。主に変圧器の生産増によるもので、国内外の注文に基づく生産と納品の加速が寄与した。
電子部品やプリント基板などの電子回路基板は、前年同月比8.43%拡大した。米国の輸入関税引き上げ政策が発効する前に輸出を加速したことに加え、AI市場の成長やデータセンターへの投資によりPCBAの需要が増加したことが背景にある。
鉄鋼の指数は、前年同月比7.72%拡大した。米国からの受注で鋼管の生産と納品が加速したことや、国内自動車メーカー向け亜鉛めっき鋼板の生産増が寄与した。
一方で、石油精製品は、前年同月比18.43%減少した。軽油、航空燃料、ガソリンの生産が減少した。製油業者が大規模な定期メンテナンスのために一時的に操業を停止したことが背景にある。
自動車は、前年同月比7.66%減少した。主にピックアップトラック、大型乗用車、1800cc以下のハイブリッド車、小型乗用車の生産減によるもので、一部メーカーが工場移転のために一時的に生産を停止したこと、さらに一部メーカーが受注の減少に伴い生産量を削減したことが影響した。
その他ゴム製品は、前年同月比6.51%減少した。中国からの受注の減少によるブロック状ゴムの生産減に加え、医療用ゴム手袋は一部メーカーが一時的に生産を停止した。
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