440億バーツ規模の消費刺激策を承認=「コンラクルン・プラス」
アヌティン政府は10月7日に開いた閣議で、財務省が提出した新たな経済刺激策「クンラクルン・プラス」事業を承認した。事業総額は最大440億バーツに達し、国民の購買力の強化と草の根経済の活性化を通じて、年末に向けた内需の回復を促す。
エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相[=写真]によると、今回のコンラクルンでは2000万人の給付枠が設けられ、政府が支出の半分を負担することで、タイ経済のエンジンとして機能し、景気後退を防ぐ役割を担うと述べた。従来のプログラムでは18歳以上を対象としていたが、今回は16歳以上に拡大された。若年層の購買力やオンライン商取引への参加を考慮した措置。さらに、政府の1日当たりの補助上限額は150バーツから200バーツに引き上げられた。

個人所得税を申告している者に対する給付額は2000バーツから2400バーツに増額される。一方、国家福祉カード保持者は、コンラクルンの参加資格がにあが、1人あたり月200~300バーツの給付に加え、1700バーツが追加給付される。約230億バーツの予算は、9月末に期末を迎えた2025年度予算の緊急予備費を使い、9月30日の閣議で決定済み。
コンラクルンは10月29日から12月31日まで実施され、11月11日までに初回取引を行なわなければ資格を失う。
エークニティ氏は、第4四半期の成長率は0.3%と予測されていたが、約660億~670億バーツの刺激策により、その倍に達する可能性があると述べている。
シリポン・アンカサクンキアット政府報道官によると、財務省財政局が中心となって、事業の実施方針、基準、詳細条件を定める。事業費のうち250億バーツは2026年度予算の経済刺激枠から、190億バーツは同年度の中央予備費から拠出される。いずれも財務省の承認のもと、財政局が執行機関として運用する。
閣議は、関係機関への具体的な指示も示した。財務省主計局が支払いを担い、内務省地方行政局は住民登録データを活用して対象者の資格確認を行なう。国家村落・都市コミュニティ基金事務局、内国取引局、陸運局、保健サービス支援局、コミュニティ開発局は、登録店舗情報を財政局に提供する。内務省とバンコク都庁は、参加店舗の実際の営業活動を現地で確認する。
また、財政局は刑法上の手続きに関する権限を内務省傘下の機関に委任することが認められ、今後は権限移譲の基準や手続きに関する覚書を締結する予定だ。さらに、事業参加者に対する所得税免除も原則承認され、国税局が関連法案を起草し閣議に提出する。
シリポン報道官は、「この事業は9月29日に国会で発表した政府方針に基づき、経済を草の根レベルから刺激するもの」と説明した。国民が飲食、日用品、サービスの代金を支払う際に国が半分を負担し、国内消費を喚起する仕組み。中小・零細事業者の販売機会拡大と国民の生活費負担軽減を同時に実現し、購買力の底上げと資金循環の加速を図る。
財務省の試算では、事業実施によって約880億バーツが経済に流入し、2025年の経済成長率を0.21~0.22%押し上げる効果が期待できる。経済活動の活発化は税収増にもつながるとした。財務省は国家財政規律法(2018年)に基づき、すべての法令・通達を順守して適正に実施すると説明した。
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