サイアム・クボタ=農業用ドローン市場を開拓
サイアム・クボタ・コーポレーションは9月25日、持続可能性を中心に据えた今年第4四半期の経営戦略を発表した。農家の心を掴むキャンペーンを通じて新たな体験を生み出すことを重視した「Sustainable Vibes、あらゆる次元で持続可能性を目指す新たなマーケティング戦略」を明らかにした。農機市場におけるリーダーの地位を維持する。特に農業用ドローン事業は顧客ベースを若い世代の農家に広げるための戦略的商品になっている。
今年の国内農機需要は前年比1~2%増の700億バーツに達する見通し。ただし予測は90万ライ以上の農地に被害を与えた最近の洪水の影響を含まない。洪水被害が農機需要にもたらす影響をモニタリングしているところ。ピサヌ・ミリンターヌット社長補佐[=写真]によれば、洪水前の段階では旱魃による収量減で農産物価格は全般に上昇し、農家の購買力が向上していたため農機需要も拡大すると見ていた。特に米とサトウキビの価格が上昇している。ただ家計債務の膨張から銀行が与信審査を厳格にしていることもあり、大幅な需要増は難しいと見ていた。
クボタは農家の所得向上を目的とした革新的な農機の開発を進めている。社会の持続可能性の重要性も認識し、サステナビリティをコンセプトにした新たなマーケティング戦略を採用した。洪水の影響を受けた顧客を支援するプログラムも設けた。
ピサヌ氏によれば、「No Farmer, No Us: Without them, without us」キャンペーンに代表される、長年にわたって培った農家との信頼関係がクボタのコアバリューの一つになっている。
今年1~8月の同社の総収入は前年同期比13%増の400億バーツ。うち290億バーツが国内販売、110億バーツが輸出。農業用ドローン販売が好調なことから、通年では600億バーツを見込んでいる。農薬の散布などにドローンを利用する農家が増えている。現在農業用ドローンの売上全体に占める割合は5%だが、今後の上昇を見込んでいる。トラクターが売上全体の60%を占め、コンバイン(15%)、油圧ショベル(10%)、ディーゼルエンジン(10%)が続く。
アフターサービスでは、トラクターやコンバインのメンテナンス・パーツのパッケージなどのプロモーションを実施している。多目的ローンを利用して顧客が純正スペアパーツに容易にアクセスできる機会を設けている。サービスセンターは全国に162か所あり、1800人を超える技術者が担当する。
農業用ドローンの国内需要は現在28億バーツで、サイアム・クボタの市場シェアは38%。クボタが農業用ドローンの取り扱いを始めてまだ3年。新規顧客に占めるY~Z世代(20~43歳)の割合が65%に達してしることに見られるように新世代の農家はドローンを始めとする先端農業技術を積極的に取り入れている。現在、クボタには57万世帯を超える顧客基盤がある。
8月の工業生産指数は1.9%減=通年マイナス成長に下方修正
工業省工業経済事務局(OIE)が9月26日に発表した8月の工業生産指数は前年同月比1.9%減となった。これを受け通年の工業生産指数は0.0~1.0%増とした従来予測を1.0減~0.0%に下方修正した。また工業部門のGDP成長率は0.5%減~0.5%増に下方修正した。
ワラワン・チットアルン事務局長によれば、8月の工業生産指数は95.08ポイントで、前年同月比1.91%縮小した。1~8月平均は1.55%減。家計債務の膨張、安価な輸入品の増加、エネルギー価格の高止まりなどによる生産コストの増加が響いている。北部地方の洪水も生産に影響を及ぼしている。一部工場は操業停止を余儀なくされた。
8月の設備稼働率は58.30%で、1~8月平均は58.96%となっている。一方、工業製品の輸出(金、武器、軍用車両、戦闘機を除く)は前年同月比で8.1%増となった。
自動車の生産は家計債務問題により13か月連続で減少した。金融機関は自動車ローンの審査を厳格にしており、融資が拒否されるケースが特に1トン・ピックアップ・トラックで増えている。
ワラワン事務局長は注視する必要がある要因の一つに政策金利を挙げている。世界的なインフレ率の低下を受け、多くの国で金融緩和が始まっており、米国の金利低下を受け、タイを含むアセアン諸国への資本流入が続いている。その結果、バーツの対ドルレートは急速に上昇しており、物品輸出や観光業への影響が懸念されている。OIEは特に食品・飲料、電化製品、衣料品などの消費財の分野で影響が大きくなると見ている。洪水状況も消費支出に影響を及ぼす。最低賃金が1日あたり400バーツに引き上げられる可能性もあり、企業の生産コスト増につながる。米国の大統領選の結果が米国の経済政策や国際関係、特に通商政策の変化をもたらす可能性もある。
8月には水産缶詰の生産が41.61%増加した。原料ツナ価格の下落、米国、日本、オーストラリアからの引き合い増によるもので、需要家が地政学的対立により輸送に影響が生じる可能性に備えて在庫投資を強化した。
飼料の生産はペットフードを中心に9.40%増となった。米国、スイス、カナダからの注文が増えている。畜産飼料も食肉価格上昇の恩恵を受けた。
コンピュータ/同周辺機器の生産は18.84%増。ハード・ディスク・ドライブを中心に生産が拡大した。
自動車の生産は18.44%減少した。国内市場の収縮を受け、主にピックアップ・トラックと小型乗用車の生産が減少している。
回路基板・同部品の生産は11.84%減。集積回路は他の電子部品に比べて需要の回復が遅れている。
コンクリート/セメント/石膏の生産は13.54%減。不動産業の低迷を受け、コンクリート柱などの生産が減少した。金融機関による住宅ローンの拒否率の上昇、政府の建設プロジェクトの遅れ、一部地域での洪水の影響を受けた。
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