燃油の炭素税を年内導入＝温室効果ガス排出削減
財務省が炭素税の年内の導入を検討している。物品税制の一部としいて燃油に課す構想で、企業に炭素排出量を削減するインセンティブを与える一方、消費者に負担をかけない制度にするとしている。
9月26日に開催されたターンセタキット紙主催のセミナー「ネットゼロへの道」でパオプーム・ローチャナサクン財務副大臣［＝写真］が明らかにした。一例として二酸化炭素の排出につながる石油に対する物品税の一部を炭素税にすると説明。税率に変更は加えない。例えば従量税で１㍑あたり6バーツを徴収しているとすれば、5バーツは物品税、1バーツは炭素税とする。二酸化炭素の排出を削減できれば、炭素税の部分の税負担が軽減されるため、石油会社の税負担は減ることはあっても増えることはないとした。
タイはプラユット政権時の2021年に2050年までのカーボンニュートル、2065年までのネットゼロ実現を国際公約している。パオプーム副大臣は「グリーン・ファイナンス、グリーン金融政策」をテーマに講演し、国内で生産される財やサービスがグリーンであることを認証するグリーン経済に移行できなければ、過去10年間に年率16％のペースで増えている貿易保護措置の影響を受けると指摘した。タイの環境に優しい製品の輸出量は全体の7％に過ぎず、近隣諸国よりも少ない。今行動を起こさなければ、この差はさらに拡大すると警告した。クリーン・エネルギーの利用率は13～14％に過ぎず、ベトナムの19％を下回っているという。
炭素税制は24年中の発効に向け、財務省が近く閣議提出する。公害防止のために必要な対策を取ったり、汚染された環境を元に戻すための費用は、汚染者が負担すべきという汚染者負担原則に倣って、環境に優しくない製品を生産する者は代償を払わなければならないという原則を確立する。
炭素税は導入の初期段階では物品税が課されている物品・サービスに対象を絞る。具体的には燃油に炭素税がかかるようになる。炭素税の価格は炭素1㌧あたり200バーツを基準とする方針。物品税局はバッテリーについても炭素税を採り入れる予定でいる。現在は単一の税率になっているが、バッテリーには様々な種類があるため、異なる税率を設けることを検討するとともに、メーカーがより環境にやさしいバッテリーを生産するためのインセンティブとする。
物品税局のラチャダー・ワニチャコン税務企画課長によれば、タイで排出される温室効果ガスの70％はエネルギーと運輸部門によるものとなっている。2030年までに温室効果ガスの排出量を5億5000万㌧から3億3300万㌧に削減する計画で、市場メカニズムが目標達成に向けて重要な役割を果たすと述べている。
天然資源・環境省が温室効果ガスを管理するる「気候変動法案」の起草作業を進めており、同法が炭素税徴収の根拠法になる。物品税制を活用した炭素税は、新法が施行になるまでの間の試験的な取り組みになる。
ラチャダー課長は諸外国の炭素価格メカニズムの研究を通じて炭素の価格を1㌧あたり約6㌦、200バーツに設定したと明らかにしている。これを基準として、各燃料が排出する炭素の量に応じて炭素税が決まる。燃油で最も炭素の排出量が多いのは液化石油ガス（ＬＰガス）。重油、軽油、ガソリンの順に続く。
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