2024年11月13日(水)号

工業部門信頼感指数=3か月ぶり上昇に転じる

 タイ工業連盟(FTI)が11月13日に発表した10月の工業部門信頼感指数は89.1ポイントとなり、9月の87.1ポイントから改善した。指数の前月比での上昇は3か月ぶり。3か月先の信頼感指数は98.4ポイントで、前月の96.7ポイントから上向いており、工業事業者は景気の回復と業況の改善を期待している。
 北部、東北部を襲った洪水が収束に向かい、政府は被災者に迅速な援助を提供している。また9月最終週には脆弱な層向けに1人1万バーツの現金が給付され、消費財、家庭品、農器具、化学肥料などの売上が伸びている。タイ中央銀行が政策金利を0.25%幅で引き下げて年2.25%に改めたことを受け、商業銀行も自行の貸出金利を引き下げており、今後の工業事業者の金融コストの低下が見込まれる。
 観光業は拡大を続けており、年初から10月27日までの外国人観光客数は2837万8473人、観光収入は1兆3253億5900万バーツを数えている。
 物品輸出も世界需要の増加に支えられ、拡大傾向が続いている。特にクリスマス、年末年始の需要から米国、欧州、インド、アセアン向けの輸出が増えている。9月の物品輸出額は259億8320万㌦を数え、前年同月比1.1%増となった。
 海上運賃は米国、欧州、アジアの主要航路で下落し、事業者の物流コストも低下している。
 一方で、生活費の高どまりなどから国内の購買力はなお脆弱で、家計債務は高水準にとどまっている。特に家計向け不良債権は前年比で13.3%増となる1兆1800億バーツに膨張している。9月から10月にかけての洪水被害の影響から原料となる農産物の価格は上昇している。建材は家計債務問題による不動産業減速の影響を受けている。また事業者は海外からの安価な輸入品の流入による圧力にもさらされている。為替変動もタイの輸出商品の競争力に影響を及ぼしている。中東の緊張は世界経済と貿易に対するリスクとなる。
 工業事業者がこの月に最も懸念したのは為替変動。懸念が和らいだのは、国内経済、世界経済、石油価格、国内政治情勢、金利。
 3か月先の信頼感指数は、1万バーツ現金給付などの政府の経済刺激策、政府予算の執行、物品輸出回復への期待感から改善を続けた。観光業はハイシーズンを迎える。一方で米国の大統領選挙後の経済政策の不透明さや世界各地での地政学的対立が輸出セクターに及ぼすリスクを警戒している。
 FTIは金融機関や銀行が中小企業向けの融資で、最終損益の赤字を大目に見て、キャッシュフロー・ベースで融資を継続するよう求めた。また中小企業の技術導入による生産性の向上や環境マネジメントのための資金を提供する中小企業振興基金の設置、新車市場を刺激する税制措置や金融措置と25年の政府部門による車両調達の加速、安価だが品質が標準を満たさない輸入品に対する消費者保護や公正取引に関連する法律の厳格な適用を提言した。

特別休日を閣議決定=6月2日、8月11日、1月2日

 政府は11月12日に開いた閣議で、3日間の特別休日を承認した。25年6月2日(月)、8月11日(月)、26年1月2日(金)の3日。
 6月2日は翌日が王妃誕生日の祝日のため、週末と合わせて4連休になる。
 8月11日は翌日がシリキット上王后誕生日の祝日のため、週末と合わせて4連休になる。
 1月2日は12月31日(水)の大晦日、1月1日(木)の新年、週末と合わせて5連休になる。

デュシタニ・グループ=グリーンハウスと提携

 デュシット・フーズ社は日本の食品関連サービス企業のグリーンハウス社との提携を発表した。タイ国内とアセアンでインターナショナル・スクールなどに給食を提供しているエピキュール・ケータリング社に共同出資する。グリーンハウスは住友商事と合弁で設立する子会社を通じて20%を出資する。デュシット・フーズが70%を保有する筆頭株主となる。残りの10%は既存株主の持ち分。


 デュシタニ社のスパチー・スタムパンCEO[=写真左から2人目]によれば、自社が日本でホテル事業に進出した際にグリーンハウスと知り合い、以来提携の機会を伺っていた。食品事業への進出機会を探っていたことから、今回の提携となった。美味でヘルシーな食品を顧客に提供するために技術提携し、ケータリング・サービスで学校、病院、航空会社の機内食などへの参入を目指す。
 グリーンハウスの田沼千秋社長[=写真左から3人目]は今回の提携について「世界レベルの企業にステップアップしていく上で重要な一歩になる」と述べた。「食品の新たなスタンダードを確立し、全てのステークホルダーに持続可能な価値を提供するべく先端技術の導入と運用を進めていく」と語っている。グリーンハウスは現在、1日100万食を供給、取り扱うメニューは4000種類を超える。HACCP基準に厳格に従った衛生基準のレベルの高さでも知られる。
 デュシット・フーズのマニサー・ミットパイブーン社長[=写真左から1人目]は「グリーンハウスと共にアジア市場に進出し、両社の強みを活かして学校給食や病院食の新たなスタンダードを築きたい」と抱負を語った。お互いの経験と知識を共有することで人材開発と事業効率の向上につなげ、環境と社会に優しい食品関連サービス産業の持続可能な発展に貢献する考え。「1947年創業の長い歴史を持つグリーンハウスの経験はエピキュール・ケータリングの事業に役立つ」と述べている。
 グリーンハウスはタイでとんかつチェーン「さぼてん」を展開している。
 デュシット・フーズはデュシタニが75%出資するほか、PTTオイル&リテール・ビジネス社(OR)が25%を保有している。親会社のホテルのレストラン事業を手掛ける傍ら、成長が見込める食品関連事業に進出している。系列ホテルで提供するメニューを刷新するために養ってきた食品開発力が最大の武器。エピキュールだけでなく、ベトナムのケータリング事業会社のケータラーズ・ジョイント・ストック社、レディ・トゥ・イート食品製造のセーバー・イーツ社、ベーカリー製造のポート・ロイヤル社、食材供給のドゥシット・ガストロ社などに出資している。

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[レポート]
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[データ]
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