2024年12月24日(火)号

最低賃金7~55バーツ上げ=25年1月1日から適用

 官労使の代表で構成する中央賃金委員会は12月23日に開いた会議で、25年1月1日からの最低賃金の改定を決定した。政府が強く求めていた全国一律での400バーツへの引き上げは見送られたが、4県と1郡の最低賃金は400バーツに引き上げになった。引き上げ幅は7~55バーツで、全都県の平均は355バーツ。


 23日午後に開いた会議を終え、委員長のブンソン・タップチャイユット労働省次官が6時半過ぎの会見で明らかにした。来年初めから適用になる最低賃金は337~400バーツの幅があり、全部で17通り[次頁の表参照]。
 400バーツに引き上げになるのは、プーケット県、チャチュンサオ県、チョンブリ県、ラヨン県、スラタニ県サムイ郡の4県1郡。東部経済回廊(EEC)エリアの3県と観光地を先行して400バーツに引き上げた。現在のスラタニ県の最低賃金は345バーツ。サムイ郡以外は352バーツへと7バーツの引き上げにとどまる一方、サムイ郡は55バーツ増になる。
 プーケット、サムイに次ぐ主要観光地であるチェンマイ県ムアン郡とソンクラー県ハジャイ郡の最低賃金は380バーツに引き上げになる。チェンマイ県ムアン郡は30バーツ増、ソンクラー県ハジャイ郡は35バーツ増。
 首都圏(バンコク、ナコンパトム、ノンタブリ、パトゥムタニ、サムットプラカン、サムットサーコン)は363バーツから9バーツ増となる372バーツに改定になる。
 それ以外の67県はすべて7バーツの上げ幅となった。新たな最低賃金は337~359バーツ。
 最大与党のプアタイ党は23年の総選挙で、政権任期中に最低賃金を全国一律600バーツに引き上げると公約した。セーター前政権は手始めとして今年中に全国一律400バーツへの引き上げを目指したが、雇用側の強い反対もあり、実現していない。今年4月13日からは一部地域の4星ホテル従業員に限って400バーツに改めていた。
 ピパット・ラチャキットプラカン労相やペートンターン首相は一律400バーツの実現に意欲を示していたが、ブンソン次官は12日の全会会合後の会見で、各県の経済状況で最低賃金は決まると述べ、全国一律にすることはできないとコメントしていた。最低賃金は各県ごとに設けられている賃金委員会が改定案をまとめて中央に上げ、中央賃金委が調整する仕組み。雇用側は最低賃金の調整に異論はないが、慣例に従うものでなければならないと主張してきた。
 インラック政権ではこの慣例を破り、政府主導で全国一律300バーツに改定した。この時は2012年4月1日から首都圏とプーケット県の7都県で先行実施し、13年1月1日から残る70県を300バーツにした。
 プアタイ党が選挙公約の全国一律での引き上げをあきらめる可能性は低く、実現を目指すものとみられる。政府は税制改革を進める考えで、法人税率を20%から15%に引き下げる構想を示している。経済協力開発機構(OECD)が主導するグローバル最小税率(GMT)に等しい税率。
 インラック政権時の一律300バーツへの引き上げ時には、法人税を30%から20%に下げて雇用側を説得しただけに、今回も法人税引き下げと引き換えに、最低賃金の引き上げを容認するよう求める可能性がある。またピパット労相は以前、中小企業には猶予期間を設ける構想を示していた。
 ピパット労相は24日、定例閣議を前に記者団の質問に答え、賃金委がEECエリアと観光地の最低賃金を400バーツに引き上げたのは適切な判断とコメントした。同日の閣議で賃金委布告案が了承される見通し。次回改定に向けた協議は3か月後に始めると述べており、景気動向次第で来年中に再度改定になる可能性もある。

自動車生産台数=11月は28.23%減

 タイ工業連盟(FTI)自動車部会が12月24日に発表した11月の自動車生産台数は11万7251台にとどまり、前年同月を28.23%下回った。前月比では1.34%減。1~11月の生産台数は136万4119台で、前年同期比20.14%減。
 11月の乗用車の生産台数は4万5491台にとどまり、前年同月を24.68%下回った。内訳はエンジン車が2万8876台(32.04%減)、バッテリーEVが464台(4万6400%増)、プラグイン・ハイブリッド車が386台(48.53%減)、ハイブリッド車が1万5765台(8.11%減)。1~11月の乗用車の生産台数は51万9691台で、前年同期を13.20%下回った。
 11月のトラックの生産台数は7万1760台で、前年同月比30.30%減。うち1トン・ピックアップ・トラックは7万823台で、28.65%減となった。1~11月の1トン・ピックアップの生産台数は82万8532台で、前年同期比22.91%減だった。
 11月の輸出向け生産台数は8万22台。前年同月比で20.67%減。国内市場向けの生産台数は3万7229台で、同40.42%減となった。特に1トン・ピックアップ・トラックの国内市場向け生産は1万4726台(48.72%減)にとどまった。
 11月の国内販売台数は4万2309台で、前月比では12.25%増えたが、前年同月比では31.34%減となった。乗用車の販売台数は2万5347台で、全体の59.91%を占めた。前年同月比では29.17%減。エンジン車の販売台数は1万2006台(28.12%減)、バッテリーEVは5519台(36.53%減)、、ハイブリッド車は7599台(26.50%減)。ピックアップ・トラックの販売台数は1万1481台(35.69%減)。
 11月の輸出台数は8万9646台で、前年同月比10.0%減だった。

ペートンターン首相が講演=タイ独自の強みを強調

タクシン元首相=経済成長率5%に引き上げ

首相がマハサラカム県訪問=ODOS、SML基金を開始

機関投資家は楽観的=AIMC調査

ライオン・タイランド=新本社オープニング式

タイのソブリン格付け=据え置きの可能性大

「ワンシティセンター」=RMLがREITに譲渡

銀行貸し出し=25年は過去10年で最低

Bグリム・パワー=データセンター事業者と提携

PTTグローバル・ケミ=炭素回収でハネウェルと提携

クレジット・カード事業=25年は厳しい年に

外国映画の国内ロケ誘致=新たな措置を実施へ

[社会]
タクシン氏がマレーシア訪問=26日にアンワル首相と会談

カジノを含む複合娯楽施設=政府が最終的な立地を決定

違法外国人ガイド横行=業界関係者が警鐘

ラオスのサナカム・ダム建設=市民団体が公聴会の延期要求

交通違反金滞納者=車両登録証発行を命令

チームホンダのコーン選手=最優秀プロスポーツ選手賞

[論調]
新たな債務者援助の取り組み

[データ]
2024年11月の自動車生産台数

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