2025年5月27日(火)号

物品輸出が10か月連続拡大=4月は10.2%増

 商業省が5月26日に発表した4月の物品輸出額は256億2510万㌦で、前年同月比10.2%増加となり、前月(15.2%増)からは減速したものの、10か月連続で拡大した。石油関連製品、金、武器を除いた輸出は7.1%増となった。ピチャイ・ナリプッタパン商業相は、発表会見で工業製品とアグロインダストリーが牽引したと述べた。一方で、農産物の輸出は引き続き減少した。輸出先では、米国、中国、日本、アセアン、EUといった主要市場向けが引き続き拡大した。1~4月の輸出は1071億5740万㌦、前年同期比14.0%増となり、石油関連製品、金、武器を除けば12.1%増となった。
 4月の物品輸入額は289億4640万㌦で、同16.1%増加した。この結果、貿易収支は33億2130万㌦の赤字となった。1~4月の輸入額は1093億9780万㌦で、同9.6%増となり、貿易収支は22億4030万㌦の赤字となった。
 4月の農産物・アグロインダストリーの輸出額は前年同月比8.4%減となり、2か月連続で減少した。農産物は19.6%減で、4か月連続の減少となった。例年4月に輸出の柱となるドリアンの輸出が43.5%減と振るわなかった。供給過剰による価格下落に加え、中国の輸入規制強化が影響した。アグロインダストリーは9.1%増となり、前月の減少から再び増加に転じた。
 天然ゴムは22.5%増で、18か月連続の増加となった(中国、日本、韓国、ブラジル、インド市場で増加)。生鮮・冷蔵・冷凍鶏肉・同調製品は8.6%増で、7か月連続の増加(日本、英国、中国、マレーシア、オランダ市場で増加)。砂糖は36.0%増で、前月の減少から再び増加した(インドネシア、韓国、中国、ニュージーランド、タンザニア市場で増加)。ペットフードは10.1%増で、19か月連続の増加となった(米国、イタリア、フィリピン、インド、ベトナム市場で増加)。小麦製品・その他加工食品は24.6%増で、16か月連続の増加(中国、ミャンマー、オーストラリア、カンボジア、ラオス市場で増加)。動植物油脂は17.1%増で、前月の減少から再び増加した(インド、マレーシア、ミャンマー、ベトナム、中国市場で増加)。果物缶詰・同加工品は21.9%増で、19か月連続の増加(米国、中国、オーストラリア、オランダ、カナダ市場で増加)。
 一方、生鮮・冷蔵・冷凍・乾燥果物は38.5%減で、前月の増加から再び減少に転じた(中国、韓国、香港、米国、台湾市場で減少も、マレーシア、ベトナム、カンボジア、インドネシア、アラブ首長国連邦市場は増加)。米は44.1%減で、6か月連続の減少となった(イラク、南アフリカ、セネガル、ベナン、コンゴ民主共和国市場で減少、米国、中国、フィリピン、香港、シンガポール市場では増加)。水産缶詰・同加工品は1.4%減で、2か月連続の減少(米国、オーストラリア、イスラエル、エジプト、南アフリカ市場で減少、日本、リビア、カナダ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦市場では増加)。タピオカ製品は5.8%減で、4か月連続の減少となった(日本、台湾、マレーシア、インドネシア、米国市場で減少、中国、韓国、シンガポール、ラオス、バングラデシュ市場では増加)。
 1~4月における農産物・アグロインダストリーの輸出は、前年同期比2.3%減となった。
 工業製品の輸出額は前年同月比16.6%増となり、13か月連続で増加した。コンピュータ・同関連機器・部品は75.1%増で、13か月連続の増加(米国、中国、香港、オランダ、ドイツ市場で増加)。ゴム製品は15.9%増で、10か月連続の増加(米国、中国、日本、インド、マレーシア市場で増加)。電気回路基板は39.0%増で、4か月連続の増加(香港、台湾、中国、シンガポール、マレーシア市場で増加)。宝飾品(金を除く)は42.1%増で、6か月連続の増加(米国、香港、インド、ドイツ、英国市場で増加)。スイッチパネル・電力制御盤は38.3%増で、16か月連続の増加となった(米国、シンガポール、日本、ベトナム、マレーシア市場で増加)。
 一方、自動車・同部品・関連機器は13.8%減で、3か月ぶりに減少に転じた(オーストラリア、フィリピン、米国、日本、マレーシア市場で減少、ベトナム、南アフリカ、アルゼンチン、チリ、中国市場では増加)。機械・同部品は13.1%減で、14か月ぶりの減少(中国、ドイツ、マレーシア、ベトナム、アルゼンチン市場で減少、米国、日本、インドネシア、インド、シンガポール市場では増加)。ファクシミリ・電話機・関連部品は15.5%減で、前月の増加から再び減少した(米国、オランダ、香港、ミャンマー、チェコ市場で減少、メキシコ、アラブ首長国連邦、日本、アイルランド、シンガポール市場では増加)。鉄鋼・同製品は7.6%減で、前月の増加から再び減少した(マレーシア、インドネシア、シンガポール、オーストラリア、南アフリカ市場で減少、米国、インド、日本、中国、カナダ市場では増加)。半導体・トランジスタ・ダイオードは33.1%減で、14か月連続の減少となった(米国、日本、韓国、インド、チェコ市場で減少、香港、中国、台湾、インドネシア、シンガポール市場では増加)。
 1〜4月の工業製品輸出は前年同期比18.7%増となった。
 カシコン・リサーチセンターは4月の輸出がコンピュータ・同部品、集積回路、金地金の3品目によって支えられており、これらを除くと伸び率は1%未満にとどまっていることを指摘している。電子部品の輸出は在庫循環による追い風もあったが、すでにピークを過ぎたと見られ、今後は減速が予想されるとした。
 一方、仕向け地別にみると、主要市場への輸出は引き続き拡大しており、特に米国の関税政策の不透明感の中で輸出を急ぐ動きが後押ししている。米国市場への輸出は、相互関税の適用が90日間(2025年7月9日まで)延期されたことを受けて、大きく伸びた。
 主要市場向けは12.7%増で、米国が23.8%増、中国が3.2%増、日本が5.5%増、EUが6.1%増、アセアン(5)が7.8%増、CLMVが25.2%増となった。その他の有望市場向けは1.4%増で、南アジアが8.7%増、ロシア・CISが8.1%増、英国が16.2%増となった一方、オーストラリアは4.0%減、中東は15.7%減、アフリカは9.5%減、ラテンアメリカは3.4%減となった。その他の市場は125.5%増となった。
 米国市場への輸出は23.8%増となり、19か月連続で増加した。コンピュータ・同関連機器、スイッチパネル・電力制御盤、宝飾品などが増えた一方、半導体・トランジスタ・ダイオード、ファクシミリ・電話機・同部品、自動車・同部品は減少した。1~4月累計の米国向け輸出は25.0%増となった。
 中国市場への輸出は3.2%増となり、7か月連続で増加した。コンピュータ・同関連機器、ゴム製品、天然ゴムなどが増えた一方、生鮮・冷蔵・冷凍・乾燥果物、機械・同部品、合成樹脂は減少した。1~4月累計の中国向け輸出は14.3%増となった。
 日本市場への輸出は5.5%増となり、2か月連続で増加した。天然ゴム、その他工業製品、宝飾品などが増えた一方、自動車・同部品、コンピュータ・同関連機器、ラジオ・テレビ受信機・同部品は減少した。1~4月累計の日本向け輸出は1.3%増となった。
 年後半の輸出の見通しについては、90日間の関税免除措置が終了した後に関税が課される可能性があるため、米国による輸入関税引き上げリスクに直面する可能性がある。商業省をはじめとする官民は、米国との通商交渉に備えた協議を継続的に行なっており、事業者への影響を軽減するための支援策の準備を進めている。
 米国が相互関税の適用を90日間猶予したこともあり、5~6月の輸出はなお成長が見込まれるが、第2四半期の輸出成長率は10%を下回る見通し。米国は4月からすでに一部タイ製品に10%の基本関税を課しており、米タイ間の協議も進展が見られない。
 中国と米国が5月初旬に合意した関税緩和の協定が一部中間財の輸出を後押しする可能性もあるが、猶予期間が終了する7月9日以降の動向には不透明感が残る。

セーナーと三菱倉庫が提携=バンナーKM23プロジェクト

 タイ証券取引所(SET)上場の不動産開発大手、セーナー・デベロプメント社(SENA)は、住宅市場の低迷による業績悪化の影響を抑えるため、工場用地など産業用資産の開発事業に本格進出する。第1弾として、日本の三菱倉庫と提携し、バンナー・トラート通り23km地点付近に貸倉庫および工場を開発する「バンナーKM23プロジェクト」を立ち上げる。三菱倉庫にとっては初の海外不動産開発案件で、49%を出資する。
 5月22日には、両社による合弁会社「セーナーMLC1社」の設立で正式に合意。出資比率はセーナーが51%、登録資本金は1億8000万バーツ。第1弾プロジェクトとして、総額6億バーツを投じ、2万5000㎡の賃貸スペースを持つ倉庫・工場を建設する。賃貸料は月額1㎡あたり165〜215バーツを想定。年内の着工、2026年内の完成、2027年以降の稼働開始を目指す。
 事業用地は、バンナー・トラート通りから約300㍍内側に位置する25ライの土地で、約2年前にセーナー社が取得していた。
 ケサラー・タンヤラックパーク社長[=写真左]によれば、同社は今後2年間で非住宅事業の収益構成比を現行の30%から50%に引き上げたい考えを示しており、今回の取り組みは中長期的な経営戦略の一環として位置付けられている。2030年までには工業団地や物流センターなどにも事業領域を拡大する方針だ。


 産業用不動産市場では、現在の入居率が全国平均で90%と高水準にあり、今後も賃料上昇が見込まれている。エコノミック&ビジネス・リサーチ・センターの予測によると、2024年の倉庫スペースの賃貸面積は前年比9.3%増となる見通しで、とりわけ東部経済回廊(EEC)地域における需要の伸びが著しいという。
 三菱倉庫側の発表によれば、開発後の施設は長期保有せず、一定期間の運用を経て資産の売却、次の物件への再投資を行ない、資産・資本効率の向上を図る資産回転型ビジネスモデルを採用する。斉藤秀親社長[=写真右]は、「自社初の海外不動産開発を大手デベロッパーであるセーナー社と一緒に手掛けることができ光栄。今回のプロジェクトが成功を収め、同社とのパートナーシップによる開発がシリーズ化するよう期待を込めている」と語った。

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