2025年5月28日(水)号

第46回アセアン首脳会議=共同体ビジョン2045を採択

 5月26日、マレーシアのクアラルンプールで、第46回アセアン首脳会議が開幕し、ペートンターン首相が出席した[=写真]。マレーシアが「包摂性と持続可能性(Inclusivity and Sustainability)」をテーマに主催し、グローバルな不確実性が増す中でのアセアン共同体の安定と強化、域外パートナーとの関係深化などが議題となった。


 ペートンターン首相は演説で、現在の国際情勢が多国間主義から一国主義的な行動へと移行しつつあることに懸念を示し、米国による関税措置がアセアンの経済見通しや世界貿易のダイナミズムに広範な影響を与えていると指摘した。こうした変化は国際秩序の枠組みに挑戦するもので、アセアンは戦略を見直し、柔軟性と連携を強化する必要があると述べた。
 今後の課題として、グローバル経済の変動に対応するための地域的なサプライチェーンの構築や、域内貿易の促進、既存のFTAの活用、新たなFTAの検討を挙げた。さらに、中小零細企業の競争力強化の重要性も強調した。アセアンが引き続き魅力的で競争力のある地域としての地位を保つには、地域統合の深化が不可欠だと述べた。
 首相は、タイが透明性・自由・公正かつ予見可能なルールに基づく多国間貿易体制を全面的に支持していると改めて表明した。アセアンは、「デジタル経済枠組み協定(DEFA)」を年内に締結する方針で、これを新たな成長の起点と位置づけた。アセアンが常に進化を求め続ける姿勢を示すもので、変化する世界の貿易・投資環境に対応する重要な一歩と強調した。
 首相はまた、実効的な地域統合のために、内外の建設的な対話が不可欠で、アセアンの一体性と中心性を土台に、共通の利益に向けて市民本位で行動していく必要があると指摘。タイが今後も、アセアンの「包摂的で持続可能な発展」の実現に向け、加盟国やパートナー諸国と緊密に連携していく姿勢を示した。
 アセアン共同体の未来においては「人」を中心に据えるべきとし、健康、食糧安全保障、薬物、越境犯罪、ネット詐欺、越境煙害、自然災害など、あらゆる側面での人間の安全保障の強化を呼びかけた。
 具体的な成長エンジンとしては、観光業の振興を挙げ、域内の多様なセクターに恩恵をもたらすことを期待した。また、タイの提案に基づく域内インフラの接続性向上、往来の円滑化、文化遺産の共同促進など、域内観光協力の強化も訴えた。
 持続可能性の観点からは、タイがアセアンにおける持続可能な開発の調整役として、グリーン経済への移行を主導していく意志を表明し、「アセアン共同体ビジョン2045」の中核目標として、グリーン・ファイナンス、気候変動対応、クリーンエネルギー、デジタルトランジッションを柱とする取り組みを推進すると述べた。

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