観光業が失速=1~5月の外客数3%減、1436万人
観光・スポーツ省は、今年1~5月の外国人観光客数が前年同期比で約3%減少し、1436万人にとどまったことを明らかにした。特に中国人観光客は32%減の190万人にまで落ち込んでいる。経済成長を牽引してきた物品輸出の先行きが不透明になる中、最大の牽引役だった観光業も失速したことでタイ経済の見通しは一段と悪化している。
ソラウォン・ティアントーン大臣[写真]は観光活性化に向けて、総額133億8100万バーツの予算を申請し、文化省、天然資源・環境省と連携して全国の観光資源を開発する184の事業に充てる考えを示した。これらの事業からもたららされる経済効果は2670億バーツに達すると試算している。6月10日の閣議に一部の事業案を提出する方向で調整を進めている。

具体的な施策には、既存の観光施設や競技場およびその周辺施設の改修、新たな観光施設の整備、防犯カメラの設置による治安水準の向上、地方都市の観光振興などが含まれる。
タイ観光公団(TAT)のタパニー・キアットパイブーン総裁は、従来32億バーツだった補正予算の申請額を増やす考えで、900億バーツの経済効果を目指している。今年9月からの1年間で以下のプロジェクトを推進する方針だ。
(1)「コン・ラ・クルン(半分ずつ)」プログラム。今回は宿泊料金など50万回分に対して17億8000万バーツを拠出する。
(2)オンライン旅行予約プラットフォーム支援プログラム。予算総額は8億バーツ。
(3)「Thailand Summer Blast – China & Overseas Market Stimulus Plan」。予算総額は7億5000万バーツで、79万人の観光客誘致増を目指し、335億1800万バーツの経済効果を見込む。
このプランの内訳は以下の通り。まず、チャーター便誘致に3億5000万バーツを投じ、1便あたり35万バーツを助成することで、中国の各都市などから1000便をバンコク、プーケット、チェンマイ、チェンライ、パタヤ、クラビー、サムイに飛ばし、14万人の観光客を見込む。さらに2億5000万バーツを航空会社との合同キャンペーンに充てて、50万人の旅客増を目指す。残りの1億5000万バーツは特典の提供などによって15万人の誘致を図る。
このほか、TATでは海外の著名アーティストによるタイ限定のコンサート開催や、タイ人アーティストによる公演支援のための予算も別途計上する計画がある。
タパニー総裁は、中国人俳優の失踪事件や3月の地震などにより中国人観光客の訪タイが大きく落ち込んでいる現状を打開するため、中国市場の回復に全力を挙げる方針を強調した。年間の訪タイ中国人観光客の目標である690万人については、当面変更しない意向を示している。
6月4日から6日にかけては、チェンマイ県で「タイランド・トラベル・マート・プラス2025」が開催された。国内の観光業者450社が出展し、世界53か国・地域からバイヤー406社が参加した。従来の主要観光地以外の14県からも出展があり、新鮮な魅力が加わった。商談件数は1万3000件、商談成立額は約42億9600万バーツに達したもよう。中でも中国からの参加業者が97社に上り、今後の回復に向けた手応えが得られたという。
また、アルゼンチン、ブラジル、サウジアラビア、南アフリカ、東欧など、今後の成長が期待される新規市場からも業者が参加した。
今年1~5月の外国人観光客数は1436万2694人で、前年同期比2.7%の減少となったが、もたらされた観光収入は推定で1.05%増の6726億2900万バーツに上った。
国別では、中国人が195万8939人で32.71%の減少。次いでマレーシアが190万1464人、インドが97万8600人、ロシアが96万1143人、韓国が67万3563人、英国が51万2181人、米国が46万9388人、ドイツが46万2696人、日本が44万4274人、台湾が43万827人となっている。
5月単月では、外国人観光客数が前年同月比13.93%減の226万6574人。最多はマレーシア人で38万5332人、次いで中国人の31万292人。以下、インド(22万8544人)、韓国(9万1178人)、ロシア(8万3627人)、シンガポール(7万6706人)、ラオス(7万4464人)、インドネシア(7万2807人)、日本(6万9378人)、米国(6万8251人)の順となっている。
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