ランドブリッジ計画の詳細固まる=総投資額は9977億バーツ
運輸省によると、総額1兆バーツ近い投資を見込む大型インフラ計画「南部ランドブリッジ計画」の4年間にわたる詳細調査が完了した。運輸交通政策企画事務局が実施した事業の実現可能性と設計調査の結果から総投資額は9977億7000万バーツに達すると試算された。
ランドブリッジ計画の最大の狙いは、物流のショートカットで、マラッカ海峡の混雑を回避するため、タイ南部のクラ地峡を経由してインド洋と太平洋を結ぶ陸上ルートを構築する。タイ湾側のチュムポン県とアンダマン海側のラノーン県に深海港を建設し、道路・鉄道・パイプラインでつなぐ構想だ。輸送時間が平均で4日短縮され、コストも15%削減できるとされる。
2026年に入札を実施し、同年の着工を目指しており、第1フェーズは2030年末までに運用を開始する。経済内部収益率(EIRR)は17.4%と高水準で、費用対効果も期待されている。また、港湾、道路、鉄道だけでなく、南部特別経済開発区としての開発により、投資誘致や雇用の創出も見込む。
ただし、環境、生態系、地元住民への影響に関して、十分な配慮や説明が行なわれていないとの批判もある。
8月25日に開かれた同プロジェクトの調査結果報告セミナーで議長を務めたマナポーン・ジャルンシー運輸副大臣[=写真中央]は、同プロジェクトに対する支持と批判の双方を含む意見を調査に反映させたと述べた。ラノーン県やチュムポン県の建設予定地周辺に住む漁業世帯など影響を受ける地域住民については、南部経済回廊(SEC)法に基づき設立される基金を通じて補償が行なわれると説明した。基金は生活再建、土地利用の調整、収入減少への補償を対象とする。

マナポーン氏によれば、SEC法案は現在財務省が検討中で、12月までに閣議に提出された後、国会に上程される予定。「地域社会、環境、人々の生活を守る措置とともにのみこの計画は前進する。投資家は補償基金に拠出する義務を負う」と強調した。
同副大臣は、欧州、アジア、中東の投資家が強い関心を示していると明らかにした。計画は、混雑するマラッカ海峡を迂回し、太平洋とインド洋を結ぶ新たな航路を提供することで、インドシナの中核拠点としてのタイの地政学的優位を活用する狙いがある。
パンヤー・チューパニット運輸交通政策企画事務局長は、8月21日にラノーン、22日にチュムポーンで地域公聴会を開催したと報告。参加者の多くは計画を支持したものの、沿岸生態系や地域漁業、浚渫作業への懸念を表明した。
修正後のマスタープランでは、総投資額は9977億7000万バーツに設定された。
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