2025年10月28日(火)号

タイ・カンボジア和平宣言署名=重火器撤去など4項目合意

 10月26日、タイとカンボジアは、アセアン首脳会議の場において「和平共同宣言」に署名した。アヌティン首相とカンボジアのフン・マネット首相が署名し、米国のドナルド・トランプ大統領とアセアン議長国マレーシアのアンワル・イブラヒム首相が立ち会った。アヌティン首相は、「宣言に、タイが不利になるような内容は一切含まれていない。条約ではなく、国会の承認を必要としない。閣議決定による承認に基づくもので、主権や領土に関する譲歩も存在しない」と強調した。実施状況はアセアン監視団(AOT)が確認する計画で、まずカンボジア側が実施を開始するが、実効性に不確実性が残る。


 共同宣言は、カンボジアがタイ側の提示した、1)重火器の撤去、2)地雷の除去、3)国境付近の詐欺グループの取締り、4)国境地帯の秩序回復という4項目の条件を受け入れたことで実現した。今回の合意は、タイ政府と軍が一体となり、タイ・カンボジア合同国境委員会(JBC)とタイ・カンボジア一般合同国境委員会GBC)という2つの二国間協議の枠組みを通じた成果を反映するものとなった。
 首相によれば、4項目の実施はカンボジア側から始めることになっており、タイはその進展を見て次の段階へ進む。領土の譲渡、20万分の1の地図の使用といった問題は一切含まれていないと述べた。また、今回署名したのは停戦協定ではなく、共同宣言であり、平和構築へ向けた道筋を示すものだと改めて説明した。
 とは言え、今後カンボジアがこの平和宣言の合意事項を実行するかどうかは不透明。最終的な決定権を握るのは首相のフン・マネット氏ではなく、父であり前首相のフン・セン氏だとする見方が広がっている。
 10月25日に行なわれたタイ陸軍第2管区軍司令官とカンボジア第4管区軍司令官の会談では、両国が重火器の撤去を含む「行動計画」に合意した。AOTが実施状況を確認する。タイ側はすでにAOTを設置し、26日から任務遂行が可能な体制を整えている。一方、カンボジア側は準備段階にあり、10月26日までにAOTの設立を完了する見込みで、その後1、2日以内にタイ側との追加協議を行ない、行動計画の実施日程を調整する。AOTの設置はこの和平プロセスの中核的要素。報道によると、タイ側のAOTは、各国から選ばれたメンバーで構成されるが、実際の人数は10名に満たない。カンボジア軍がBM-21多連装ロケット砲などの高威力兵器を国境地帯から撤去したかどうかを検証することが主な任務になる。カンボジア側のAOTはフン・セン氏が直接人選を行なっており、45人規模のチームを編成し、タイ側の実施状況を視察する予定だという。
 タイ側が提示した行動計画では、最初に国境地帯に配備された重火器や大砲をすべてスリンに集結させ、ナコンラチャシマ経由でロッブリを最終集積地として保管する。カンボジア側のAOTは、これら3地点それぞれに15人ずつ派遣し、タイが宣言どおりに行動しているかを確認し、結果を自国政府へ報告することになっている。

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