ダイレクトPPAスキーム=来年1月開始へ
政府の「クイックビッグウィン」政策に沿ったエネルギー政策には、2026年1月に開始予定の直接電力購入契約(ダイレクトPPA)スキームが含まれている。エネルギー事業監督委員会(ERC)の発表によると、初期段階ではダイレクトPPAの対象は主にデータセンターになる。データセンターは国内で急速に増えており、タイのデジタル産業の成長を後押しすると期待されている。
このパイロットスキームは、アヌティン首相や前任のペートンターン・チナワット氏の発案ではなく、セーター・タウィシン政権が2024年6月に導入した外国投資誘致策。スキーム導入に向けた準備は進んでおり、アヌティン内閣が、4か月間の短期政権でも即効性と影響力のある案件を推進するという公約を守っていることを示す形となっている。ERCのプーンパット・リーソムバットピブン事務局長[=写真]は、まだ調整が必要な投資条件があるが、年内にエネルギー政策管理委員会に送られて最終決定され、来年1月に正式に開始されると述べた。

政府は、クラウドサービスを支えるデジタルインフラを育成する政策を掲げており、データセンター運営者には特別な優遇措置が付与される。
多くの外資系データセンター企業は、クリーンエネルギーへのアクセス改善を強く求めている。現在のタイの法律では、再エネを発電事業者から直接購入することができず、タイ発電公団(EGAT)や首都電力公団(MEA)、地方電力公団(PEA)を経由しなければならない。タイでは再エネによるピアツーピア電力取引が認められていないことも、海外企業が不便を感じる理由となっている。セーター政権は、データセンターへの投資を積極的に誘致しようとしていたが、外国の投資家からは、発電事業者とのクリーンエネルギーの直接取引に関する明確な政策が要求されていた。
国家エネルギー政策委員会は、データセンターの成長を後押しするため、2GWの発電容量枠でのダイレクトPPAスキームを承認している。
投資委員会(BOI)によると、2025年上半期の投資奨励申請額は前年同期比139%増の1兆600億バーツと過去最高を更新し、その中心はデジタル分野だった。
データセンター事業は、合計5210億バーツ(28件)の投資を呼び込み、外資・タイ企業ともに、アマゾン・ウェブ・サービスやグーグルなどのハイパースケーラーからの急増する需要に対応している。また、TikTokなどのプラットフォーム企業も、タイや周辺地域での拡張計画を発表している。
ダイレクトPPAスキームは追ってプリント基板(PCB)、電子機器、EVなど、クリーンエネルギーを必要とする他の産業にも拡大させる計画だ。
◆パイロットPPAスキーム
ERCは、電力公団、再エネ発電事業者、データセンター運営者のすべてが利益を得られるよう、スキームに条件を設定した。電力公団は、第3者アクセスコードに基づいて、再エネ電力を送電線で輸送する際に輪送(ホイーリング)チャージを課すことができる。対象となる発電事業者とデータセンター企業は、BOIの投資奨励認可を受けることが条件で、発電事業者は少なくとも10年間の電力供給能力を証明しなければならない。
ERCによると、データセンター企業は向こう5年間の再エネ使用計画を提出し、当局が送電網を通じて供給可能な最大需要を算出する。
データセンターごとのITベースロード需要は、最低50MWとされる。コンピュータシステムが継続稼働するために必要な最低電力。
ダイレクトPPAの運用は、当初の対象地域である東部経済回廊(EEC)を超えて広がる見通しで、十分な再エネ発電量と送電インフラを備えた地域が選ばれることになる。
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