婚姻平等法が成立=18日に上院を賛成多数で通過
国会上院は6月18日、LGBTQ+(性的マイノリティ)の同性婚を認める民商法典改正案(婚姻平等法案)を賛成130、反対4で可決した。国王上奏・署名を経て官報に記載、120日後に施行になる。同性婚の合法化はアジアではネパール、台湾に次いで3番目、アセアンでは初めて。
この日、法案の支持者たちが国会から首相官邸まで行進し、官邸前広場ではコロナ療養中のセーター首相に代わってプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼商業相、ワラウット・シラパアーチャー社会開発・人間安全保障相らが同法の成立を祝った=写真。
6月はLGBTQ+の権利主張月間(プライド・マンス)で、この期間に成立したことで、一層の盛り上がりが期待されている。
タイで同性婚を認める法改正を最初に提唱したのはタクシン政権時代の2001年に内務大臣を務めたプラチャイ・ピアムソムブン警察大尉だったが、当時はタクシン首相をはじめ政権内部からも反対の声が強く、実現しなかった。その後、プラユット政権時に民商法典改正案が国会に提出され、22年に下院を通過したが、成立前に国会が解散になったことで廃案になっていた。
セーター政権発足後、法改正の動きが復活、昨年12月に内閣、野党第1党の前進党、第2党の民主党、市民グループが起草した4法案全てが第1読会を通過し、内閣案をベースに他の3法案の一部を取捨選択した統一法案を策定する作業が下院婚姻平等法案審議特別委員会によって進められた。今年3月27日に下院が法案を可決、上院に送られていた。
家族は社会を構成する重要な単位で、健全な社会の発達には健全な家族の存在が欠かせないが、婚姻関係は異性間という既成観念が現代社会では当てはまらなくなってきている。社会の変化にともない婚姻関係にある者が付与されていた福祉や遺産相続その他の権利を性的マイノリティは享受できないという社会的矛盾と不平等が顕著になってきた。同性婚を合法化することで、性別に関わらず健全な家族を構築できる環境をつくることが婚姻平等法の最大の目的になっている。
改正法では同性婚者による配偶者の遺産相続権や離婚する権利、養子の親権者となる権利、個人所得の扶養家族控除などが認められる。異性婚者と同様、満18歳以上であれば入籍できる。20歳未満の未成年の場合は両親の同意が必要な点は異性婚と同じ。従来の法文では配偶者同士のことを「夫妻」、夫妻になっている2人のことを「男女」と呼んでいたが、婚姻平等法では「配偶者」、「2人の個人」になる。
外国人である「2人の個人」が結婚、配偶者の1人がタイで就労ビザを取得して滞在する場合、同性の配偶者に対して旧法では配偶者ビザが交付されなかったが、改正法では認められる。タイ人の配偶者と結婚した同性の外国人の場合も同様。
同法はまた、LGBTQ+である子やLGBTQ+と同居している家族に対する社会の理解を深めさせ、家族の絆を強める効果をもたらすと期待されている。LGBTQ+とその家族に対する法的保護が強化され、LGBTQ+の権利と平等を訴える国際社会での運動におけるタイの役割も大きくなる。
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