経済3団体、構造改革継続を=経済成長率2%割れを警戒
商業、工業、銀行の経済3団体常任委員会(JSCCIB)は1月7日の月例会合[=写真]で、選挙後に発足する新政権に対し、タイ経済の構造改革に向けた取り組みを継続するよう要請した。経済活動をインフォーマル部門からフォーマル部門へ移行させるとともに、持続可能な形で債務問題を解決し、購買力を高める必要があるとした。

あわせて、事業者の潜在能力を引き上げ、ビジネス上の障害を低減することで新たな投資を促し、サプライチェーンの強靭化を図るべきだと指摘した。汚職や違法行為への対策を一段と強化し、信頼と信認を構築するとともに、事業運営に伴う隠れたコストを削減することが不可欠だとの認識を示した。「Reinvent Thailand」の枠組みのもとで官民が連携し、国内の課題や弱点を克服しつつ強みを伸ばすことで、持続的な経済成長を実現すべきだとした。
新S字カーブ産業の育成については、進捗状況を継続的に注視しているとし、投資委員会(BOI)の競争力強化基金を通じた企業支援策について、事業者の参加を加速させるとともに、今月末に終了予定の申請期間の延長を検討すべきだと提言した。あわせて、「SMEs Credit Boost」と呼ばれる信用保証メカニズムやソフトローン、タイ信用保証公社(TCG)による保証措置についても、手続きの簡素化を基本原則とし、サプライチェーン全体の連携、スキル向上、雇用創出、経済システム全体での実質的な付加価値創出につなげるよう求めた。
こうした提言の背景として、2026年のタイ経済が危機期を除けば過去30年で初めて成長率2%を下回ることへの危機感がある。多方面にわたる課題に直面するなか、タイ経済は、域内で最も低い成長率になると予測されている。インフォーマル経済の規模の大きさや家計債務の高止まりといった従来からの構造的脆弱性に加え、新たなグローバル環境下での競争力不足、財政面の制約、規制の多さや政府部門のデータ連携不足などが成長の足かせになっていると分析した。
前年に発生した自然災害の影響、バーツ高の進行、サイバー犯罪やグレーマネーの流入、予算編成の遅延に伴うリスクが重なり、経済成長は一段と押し下げられるおそれがある。
JSCCIBは、前年にバーツが8.2%上昇し、域内で2番目に高い上昇率となった点に強い懸念を示した。企業、とりわけ輸出業者にとっては、実質的に追加関税を課すのと同様の圧力となり、輸出を抑制し、企業部門を徐々に弱体化させる要因になるとしている。このため、関係する監督・規制当局に対し、金相場に連動した為替上昇や、国内におけるデジタル資産取引がバーツ相場に与える影響について、適切な管理と対応を求めた。
あわせて、従来の規制枠組みにとらわれることなく「コネクト・ザ・ドッツ」を進め、資金の出所の精度を高めるとともに、タイに居住していない個人に関連するバーツ取引について、より詳細なデータを把握するための監視を強化するよう政府に提言した。こうした取引が国の競争力や実体経済を損なうことのないよう、防止策を急ぐ必要があるとしている。
2026年の世界経済については、地政学的要因により不確実性が一段と高まっていると指摘した。米国によるベネズエラへの介入を通じて、世界の経済・政治秩序がより明確に分極化する「新たな世界秩序」への移行が示され、減速が予測される世界経済の成長をさらに抑制する要因になる。
また、米国の関税措置の影響が前年に続き、今後より顕在化する。電子機器を除くタイの輸出品がすでに縮小し始めていることは、その兆候を示すもので、タイ経済を取り巻く不確実性が一段と高まっていると分析。タイは世界の変化を的確に捉え、柔軟に対応していく必要があると強調した。
JSCCIBは、タイにとって重要な機会として、IMF・世銀年次総会の開催を挙げた。世界の産業界トップ、政策決定者、学識者が集い、世界経済や金融、各種課題への対応策を議論する国際的な場であり、タイのイメージ向上やグローバル・サプライチェーンにおける位置付け強化、イノベーション推進と生産性向上、タイの目指す方向性を世界に示すうえで極めて価値の高い機会になるとした。
同総会は年間を通じて関連イベントが開催され、10月に本会議が予定されていることから、できる限り早期の準備が必要だとし、経済界と政府が具体的に連携して準備を進めるため、小委員会を設置する方針を示した。
また、タイは天然ガス、LNG、水素エネルギー、気候関連技術、AI分野を扱う国際会議・展示会「Gastech 2026」の開催国にも選ばれているほか、世界的音楽フェスティバル「Tomorrowland」が初めてタイで開催される予定となっている。
JSCCIBは、これらの機会を通じて国際的な信頼を構築するとともに、国内の経済問題や構造的課題への対応を世界のダイナミクスと結び付けて発信すべきだとし、官民が最大限に参画する「Reinvent Thailand」の推進方針とも一致するとした。
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