2026年1月27日(火)号

チーム・タイランドがダボス会議で成果=高度技術と人材育成に照準

 エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相[=写真]は、「チーム・タイランド」を率いてダボス会議に参加し、世界のリーダーが集う舞台でタイの役割を発信した。東南アジア地域における新たな経済ハブとしてのタイの潜在力を示すとともに、高度技術分野への投資協力を具体化し、質の高い雇用の創出やタイ人人材の技能向上につなげる考えを伝えた。


 投資委員会(BOI)のナリット・トゥードサティラサック事務局長によれば、エークニティ副首相が率いるチーム・タイランドは1月19~22日にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会出席のミッションを成功裏に終えた。タイに対する信頼を高め、タイの存在感を示すことができたほか、世界有数の企業幹部とも協議した。ナリット氏は、今後のタイ経済に資する投資や協力プロジェクトへと発展が期待できる大きな成果を収めたと述べた。
 エークニティ副首相は、今回のダボス訪問が3つの目標を達成したと強調した。第1に、官民合同のチームで行動することで、タイが潜在力を備え、政策の方向性が明確で、地政学的対立が続くなかでも中立を保ちつつ、地域における新たな経済協力の拠点となる用意がある国とのイメージを世界の指導者に印象付けた。第2に、主要企業の経営トップとの会談を通じて具体的かつ国に最大の利益をもたらす投資の実現に目鼻を付けた。高度技術を活用する新S字カーブ産業への投資、タイ企業へのビジネス機会の創出、質の高い雇用の創出、将来の世界に適合したタイ人人材の技能開発の推進に寄与する。第3に、今年バンコクで開催予定のIMF・世銀年次総会に向けた協力関係を構築し、タイが世界的に重要な会議を開催できる能力を有し、東南アジアのリーダーとしてのポテンシャルを備えていることを示す道筋をつけることに成功した。
 WEF会合において、副首相と代表団は、世界有数の企業9社の経営陣と会談を行なった。これらの企業は、これまでに実施した投資に加え、タイに総額5000億バーツを超える投資を計画している。政府の移行期における投資家の信頼を確保するとともに、タイ国内での事業やプロジェクトを継続的に推進し、新S字カーブ産業への新たな投資を呼び込む狙いがある。
 会談は、デジタル・AI分野が6社、次世代自動車・スマート航空分野が2社、食品分野が1社との間で行なわれた。
 アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、15年間で総額1500億バーツ超に及ぶ長期投資計画を表明した。これまでに240億バーツを投資済み。政府の「クラウド・ファースト」政策を支援するほか、タイ人人材の技能開発プロジェクト「スキル・ブリッジ(Skill Bridge)」にも強い関心を示しており、今後、詳細協議を進め、デジタルとAI分野で5万人を超える人材育成を予定する。
 マイクロソフトは、AIの活用による行政と企業部門の効率向上、中小企業が環境変化に適応し、競争力を高めるための支援策を提示した。あわせて、デジタル経済への移行に向けた人材育成分野での協力の可能性にも言及した。
 TikTokは、総額2700億バーツの長期投資計画を表明した。プラットフォームを活用して中小企業のポテンシャルを高め、市場へのアクセス拡大や収益機会の創出を支援する方策について協議したほか、コンテンツ開発など、地域拠点としてのタイの役割を強化する構想を提案した。
 世界的なデータセンター・インフラ開発企業であるDAMACグループは、タイで総額1300億バーツの投資計画を有する。クラウドとAI技術の拡大に対応するため、電力網を中心としたデータセンター向け公共インフラの整備について協議した。
 ソフトウエアとAI技術の開発・サービスを手がけるHCLテクノロジーズとはAIを活用した農業、製造業、観光分野の生産性向上や、行政サービスの高度化(GovTech)に向けた活用策について意見交換を行なった。
 半導体・AIプラットフォーム分野のリーダーであるエヌヴィディアとは、タイのAIエコシステム強化に向け、開発者の育成、タイ語言語モデルや各種アプリケーションの開発を通じた基幹産業の高度化について協議した。AI分野の学習基盤を強化するため、センター・オブ・エクセレンスの開発についても議論した。
 自動運転車向けLiDAR技術で世界最大手の禾賽科技(ホーサイ・テクノロジー)は、中国国外で初となる生産拠点をタイに設置することを決定した。投資額は15億バーツを超える。あわせて、「スキル・ブリッジ(Skill Bridge)」プロジェクトのもとで、ロボティクス/AI技術分野の人材育成に協力する意向を示した。タイにおけるAI/ロボティクスのサプライチェーンとエコシステムの発展につながる人材基盤の整備を進める。
 人員輸送向け航空機分野の大手企業であるアーチャー・アビエーションとは都市内移動(Urban Air Mobility)サービスの開発に向け、タイ企業との協力や合弁の可能性について協議をした。人口密度の高い都市において、迅速かつ効率的な新たな交通手段の選択肢になる。
 世界的な食品・飲料大手で、タイで長年にわたり事業を展開しているネスレは現在、タイ国内に4社を有し、8件の投資奨励認可を受けており、食品、飲料、ペットフード分野を中心に、これまでのタイへの投資額は累計2800億バーツ超にのぼる。タイを地域統括拠点としても活用しており、今後も近い将来にさらなる投資拡大を計画している。
 エークニティ副首相は、世銀のアジャイ・バンガ総裁、国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事と会談し、世界経済の先行き、包摂的成長の支援策、質の高い雇用創出について意見を交わした。タイが開催国を務めるIMF・世銀年次総会に向けた準備状況についても協議した。総会は、経済の強靱性、包摂的成長、財政の持続可能性、民間資金の動員による事業開発といった重要課題を網羅的に議論する戦略的な政策対話の場となる。
 副首相はこのほか、経済協力開発機構(OECD)事務総長、フィンランドの外国貿易・開発相、香港の財務長官、サウジアラビアの投資相、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のグローバル開発部門責任者、WEF専務理事、WEFのアップリンク部門の幹部など、各国政府や国際機関の要人とも会談した。
 さらにチーム・タイランドは、世界が注目する新たな経済テーマに関する協力を一段と深めた。エークニティ副首相は、会期中に開催された「世界経済指導者非公式会合(IGWEL)」で、「世界経済の行方~好況か、不況か、それともその中間か」をテーマとする討議に参加したほか、「アセアンの成長と生産性に向けた新たな道筋」を議題とする戦略会合、「アセアンは十分なスピードで前進しているか」と題するパネルディスカッションなど、主だったフォーラムに相次いで登壇した。包摂的で持続可能な成長の実現、競争力強化の方策、地域経済の連結強化について意見交換を行なうとともに、タイの強みや各分野の投資機会、地域レベルで展開可能な政策を発信した。

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