第4四半期は2.5%増へと加速=今年の成長率予測は2.0%増
国家経済社会開発評議会(NESDC)事務局が2月16日に発表したGDP統計によると、2025年第4四半期(10~12月)のタイ経済は前年同期比2.5%増となり、第3四半期の1.2%増から成長率が加速した。季節調整後の前期比でも1.9%増と、内需の持ち直しを背景に力強い拡大を示した。ただし、2025年通年では2.4%成長にとどまり、2024年の2.9%から減速している。2026年の成長率は1.5~2.5%(中央値2.0%)と予測した。[12~17頁にプレスリリース全文]
支出面では、民間消費が底堅く拡大し、投資も高い伸びを維持した。政府支出は前期の減少から増加に転じ、景気の下支え要因となった。一方で、物品輸出は増勢を保ちながらも伸びが鈍化し、サービス輸出は観光収入の弱さを反映して減少が続いた。
民間消費は前年同期比3.3%増となり、前四半期の2.5%増から伸びが加速した。耐久財、半耐久財、非耐久財、サービスのすべての項目で支出が拡大した。とりわけ耐久財は、EV普及支援策「EV3.0」第1フェーズ終了を前にした駆け込み需要が消費を押し上げた。
サービス支出は3.0%増で、医療サービスや運輸サービスへの支出増が寄与した。耐久財支出は12.2%増と大幅に伸び、自動車購入は26.4%増と高い伸び率を記録した。半耐久財は2.6%増で、衣料・履物、家具・装飾品が増加した。非耐久財は2.6%増と堅調で、食品・飲料への支出が中心となった。これらの動きを反映し、消費者信頼感指数は44.7から45.9ポイントへと改善した。
政府消費支出は1.3%増となり、前四半期の3.9%減からプラスに転じた。雇用者報酬、財・サービス購入費、現物給付がいずれも増加し、経常的経費予算の執行率も39.5%と前年同期を上回った。ただし、2025年通年では民間消費は2.7%増、政府消費は0.6%増にとどまり、前年からは減速している。
総固定資本形成(投資)は8.1%増と大きく拡大し、2016年以来の高い伸び率となった。民間投資は6.5%増で、設備投資は輸送機械や産業機械を中心に6.8%増。建設投資も4.8%増と7四半期ぶりに拡大へ転じた。住宅や商業施設、工業施設の建設が改善した。
政府投資は13.3%増と大幅に拡大した。経済刺激策や草の根経済基盤強化関連の支出が押し上げた。建設投資は15.6%増、設備投資は4.6%増だった。通年では総投資は4.9%増と前年の減少から回復し、民間・政府双方の投資拡大が確認された。
第4四半期の物品輸出額は840億2400万㌦で9.4%増加したが、前期に比べて伸びは鈍化した。通信機器やコンピュータ関連製品、電気製品、宝飾品などが大きく増加した一方、乗用車や石油製品、米などは減少した。輸入は17.5%増と拡大し、貿易黒字は14億㌦へ縮小した。通年では輸出は12.7%増、輸入は13.0%増となり、貿易黒字は233億㌦へ拡大した。
生産面では、卸小売業と運輸・倉庫業が堅調に拡大し、製造業と建設業はプラスへ転じた。一方、農業と宿泊・飲食業は伸びが鈍化した。
農林水産業は0.3%増にとどまり、果物や米、キャッサバの減産が響いた。農産物価格指数は13.7%減と下落が続き、農業所得指数も3四半期連続で低下した。通年では生産は3.6%増だったが、価格下落が所得を圧迫する構図が続いている。
製造業は0.3%増と小幅ながら回復。輸出向けと国内向けで明暗が分かれ、宝飾品や電子部品は増加した一方、家電や衣料などは減少した。平均設備稼働率は57.11%で、依然として低水準にある。
宿泊・飲食業は0.6%増と伸びが鈍化。外国人観光客は885万9000人で前年同期比6.3%減となった。観光総収入は6970億バーツで2.0%減。通年では成長率は2.5%増にとどまり、前年の2桁成長から大きく減速した。
卸小売業は6.8%増と堅調で、自動車関連が牽引。運輸・倉庫業は3.2%増、建設業は11.2%増と大幅に上向いた。政府建設の拡大が主因となった。
第4四半期に失業率は0.71%へ低下。インフレ率はマイナス0.5%で、コアインフレは0.6%のプラス。経常収支は黒字を維持した。公的債務はGDP比65.6%となっている。
2026年は、民間消費2.1%増、民間投資1.9%増と見込まれるが、いずれも2025年からは減速する。物品輸出は2.0%増へ鈍化する見通しだが、プラス成長を維持する。外国人観光客からの観光収入は1兆6500億バーツへと回復が見込まれる。

クルンシーがMUFGと連携=フィリピンのスタートアップ支援
アユタヤ銀行(クルンシー)は2月11日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、フィリピン通商産業省(DTI)、フィリピン大手のセキュリティバンクとの間で、スタートアップ・エコシステムの強化とアセアン地域におけるデジタル経済の成長促進を目的とする協力覚書(MOU)を締結した。提携ネットワークには、MUFG傘下のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)である三菱UFJイノベーション・パートナーズ(MUIP)と、クルンシーの投資子会社クルンシー・フィノベートも加わった。
協力は主に3分野に重点を置く。第1に、クルンシーとMUFGのネットワークを活用し、フィリピンのスタートアップによる国際市場への事業展開を支援する。第2に、アクセラレーター・プログラムや交換プログラムなどを通じて、持続可能な事業管理に関する知識・スキルの向上と起業家育成を図る。第3に、フィリピンとアセアン地域のスタートアップに対する投資機会や事業連携を創出するため、国際的なビジネスマッチングを実施する。
◆アセアン横断でエコシステム強化
大久保文世アユタヤ銀行副頭取は、クルンシーがこれまで日本企業とタイ企業のアセアン展開を継続的に支援してきたと説明した。フィリピンには現在、業種横断で1600社超の日本企業が進出し、デジタルトランスフォーメーションやサステナビリティ関連技術を持つスタートアップの参入も増加傾向にある。タイ企業からの投資も増え続けているという。
大久保氏は、アセアン市場への展開を支援するアドバイザリーサービス「クルンシー・アセアン・リンク」や、継続開催している「日・アセアン・スタートアップ・ビジネス・マッチング・フェア」に加え、今回の提携がアセアンレベルでのスタートアップ・エコシステムの構築を加速させ、フィリピンのデジタル経済の成長を牽引する新たな機会になると述べた。
吉武正己三菱UFJ銀行フィリピン支店総支配人は、イノベーションの推進と国境を越えた経済協力が長期的成長の基盤だと指摘。今回の提携は、日本、フィリピン、タイ3か国がスタートアップに市場・知識・地域ネットワークへのアクセス機会を提供する役割を明確にするものだとした。MUFGは資本、専門知識、技術を結びつけるゲートウェイとして、アセアンの起業家エコシステムの持続的成長を支援するとしている。
セキュリティバンクの梅野博文常勤副頭取兼提携事業統括本部長は、この取り組みが同行の「BetterBanking(ベターバンキング)」戦略に沿うものだと説明。業界強化とアジアおよびグローバルでの長期的成長につなげる考えを示した。ジョン・キャリー・オング常勤副頭取兼ホールセール・バンキング事業本部長は、DTIや日タイの金融パートナーとの連携により、政策的リーダーシップやグローバルネットワーク、フィンテック分野の専門性といった各組織の強みが相乗効果を生むと強調。スタートアップと大企業を結びつけ、プロジェクトや投資を後押しする役割を担うとした。
ナイラ・リッツァ・バウティスタDTI大臣補佐官(競争力・イノベーション・グループ統括責任者)は、今回のMOUがフィリピン、日本、タイおよび他のアセアン諸国間のスタートアップ協力を促進すると説明。市場アクセス、スタートアップ交流、アクセラレーターやビジネスマッチングの支援に加え、地域イノベーション拠点としての「AI・スタートアップ・センター」の役割強化を図ると述べた。
MUIPの幹部は、オープンイノベーションの推進とMUFG各事業部門との連携強化に取り組んでいるとし、合意のもとでフィリピン、タイ、日本間の新たな成功事例の創出に期待を示した。クルンシー・フィノベートの幹部は、イノベーションを実際のビジネス機会へ結びつけることが強固なエコシステム構築の出発点だと指摘し、市場、資金、地域ネットワークへのアクセス拡大を通じてデジタル経済への持続的な貢献を目指すとした。
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外国人観光客数
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