バンチャークが海外市場成長戦略=シェブロン香港を買収
バンチャーク・コーポレーション(BCP)は2月13日、シェブロン・カンパニーズ(グレーター・チャイナ)リミテッド(CCGC)との間で、シェブロン香港の株式100%を取得する株式売買契約を締結した。オンライン形式で行なわれた調印式には、チャイワット・コーワウィサラットCEOが出席し、CCGCとともに署名した[=写真]。バンチャークがエネルギー事業を海外市場へ拡大する重要な一歩で、タイ国内の製油事業における市場対応力の強化、グループ全体の精製能力の長期的な管理体制の整備に向けた布石となる。

チャイワットCEOは、「シェブロン香港の買収は、自社の海外展開という側面にとどまらず、タイのエネルギー事業を地域レベルで信頼ある存在へと高める戦略的な一歩」とコメントした。競争力を一層強化し、持続可能な価値を創出するとともに、明確な方向性のもとでエネルギーの未来へ進んでいくと語った。香港は高度に発展した自由経済圏であり、法制度や小売自由化の枠組みは完全競争市場に近い。アジアの重要な物流・海運拠点でもあり、「事業展開に適した環境」と評した。
シェブロン香港は、燃料小売事業、産業用燃料事業、船舶燃料事業をはじめとする多様なエネルギー事業を展開しており、国際基準の石油貯蔵施設とバースを保有している。また、香港の石油市場における主要な給油所運営企業の一つで、市内と郊外に31か所のサービスステーション(SS)を展開している。買収後も、バンチャークはシェブロンとの商標使用契約に基づき、「Caltex」ブランドでのSS運営を継続する。
シェブロン香港への投資により、バンチャークは海外での燃料小売事業をより効率的に拡大できる体制を整える。また、船舶燃料事業の一体的な展開を進め、顧客基盤を拡大し、エネルギー物流システムの強化を図る。株式取得の取引は今年半ばに完了予定。
今回の買収は、バンチャークの持続可能な成長戦略「Accelerating Bangchak 100x」に沿ったもので、飛躍的な成長加速を目指すとともに、競争力の強化、卓越した経営管理、ガバナンス原則に基づく事業運営を目的としている。
バンチャークは今年1月1日付で事業構造を再編し、①製油・マーケティング・バイオエネルギー、②天然資源、③電力・インフラ事、④石油取引、⑤新規事業・ホールディングスの5つの主要グループ体制とした。引き続き厳格な財務規律を維持し、2026~2028年の3年間で総額350億バーツの投資予算を設ける。中核事業の強化と将来のエネルギーインフラの整備を進め、安定的で持続可能な成長の実現を図る。
バンチャーク・グループは、2025年通期の業績も発表した。昨年度は、シナジーを継続的に実現し、エネルギー市場の国際展開に向けた基盤を整備したほか、事業構造の再編を進め、長期的な競争力の強化を図った。
昨年度の売上・サービス収入は5075億7000万バーツで、EBITDA(金利・税・減価償却前利益)は357億5300万バーツ、純利益は28億8000万バーツで、1株当たり利益は2.08バーツとなった。特別項目を除いた経常利益は102億4000万バーツで、前年比67%増加した。グループ内事業の統合と生産の効率的な共同運営により、通年で73億バーツのシナジーをもたらした。昨年第4四半期には、バンチャーク・プラカノン製油所とバンチャーク・シラチャー製油所の合計平均処理能力が過去最高の1日当たり27万9700バレルを記録した。
チャイワットCEOは、昨年について、原油価格の下落や世界経済の不確実性の高まりにより、エネルギー業界全体が圧迫された年だったと述べた。それでもグループは、引き続き慎重な事業運営に努め、長期的な事業基盤の強化と将来の成長に向けた国内外エネルギー市場の基盤構築を重視してきた。
また、バンチャーク・シラチャー社(BSRC)の株式99.72%を取得し、昨年12月に同社のタイ証券取引所(SET)上場を取り下げるなど、グループ再編を進めた。「Together to Greater」の理念のもと、両製油所の運営を一体的に管理し、今後さらなる業務効率の向上を図る。
原油価格の軟化や在庫損失による圧力を受けたものの、両製油所は前年から平均処理能力を1日当たり5300バレル引き上げることができた。プラカノン製油所が前年のような大規模定期メンテナンスを実施しなかったことに加え、シラチャー製油所が第4四半期において過去最高水準に処理能力を引き上げたことによる。さらに、供給逼迫を背景に下半期にかけて軽油と航空燃料の価格差が継続的に拡大し、クラッキングマージン(Crack Spread)が大幅に改善した。特に最終四半期には精製マージンが1バレル当たり10.8㌦という近年稀な高水準を記録した。これらの要因により、製油・石油取引事業グループのEBITDAは前年比77%増加した。
一方、マーケティング事業グループも前年から販売数量を拡大し、小売市場でシェア29%という強固な水準を維持した。グループの多角的な事業構造は、変動の激しい経済環境やエネルギー市場のなかにあっても競争力と財務安定性の強化に寄与した。財務基盤も引き続き強固で、TRISレーティング社から企業格付け「A+」、見通し「安定的」を2年連続で維持する評価を受けており、長期的な事業運営能力と財務状況への信頼を裏付けるものとなっている。
コーポレート・ガバナンスと持続可能な開発の原則に基づく事業運営を重視し、ESG(環境・社会・ガバナンス)の各側面をバリューチェーン全体で推進している。2025年には、MSCI ESGレーティングにおいて「AA」を5年連続で獲得し、石油・ガス精製、マーケティング、輸送・貯蔵部門におけるタイ企業として最高水準を維持した。
今年もエネルギー事業は世界的なエネルギー価格変動に直面するものの、「Energy Addition」という世界的なエネルギー潮流のもと、新たなエネルギー形態を既存エネルギー基盤に段階的に加えながら、経済・社会の成長を支える持続的な成長を目指す。より明確で機動的な事業構造のもと、新たな成長エンジンとなる石油取引と探査・採掘の2事業グループを重点分野として、地域レベルでの競争力の強化とエネルギー安全保障の確立を図る。一方で、製油、マーケティング、バイオエネルギー事業グループは引き続き強固な基盤を維持し、市場環境が好転した際の機会を最大限活用する構え。また、電力・インフラ事業グループと新規事業・ホールディングス事業グループも引き続き拡張する。BCPは今年6月までに持続可能な航空燃料(SAF)事業の商業運転開始を予定しており、グループの低炭素エネルギー事業を加速させる重要な一歩となる。
その他のニュース
[経済ニュース]
ウェスタン・デジタルの研究開発=BOIが投資奨励
ブルービックが示す=AI変革の3つのメガトレンド
農業・食品貿易=非関税措置が新たな障壁に
エークニティ副首相、ネスレと会談=タイをインドシナ戦略拠点に
FTIが新興市場開拓を要請=輸出先の多角化促す
健康志向=住宅市場で差別化要因に
Z世代人材の流動化鮮明=ロバート・ウォルターズ調査
即配が新たな主戦場に=「インスタント・コマース」急成長
TikTokタイランド=マルチ物流戦略
アジア開発銀タイ所長=灌漑改良や野焼き削減で連携
国際貿易局がセミナー=原産地規則とRVC算定を解説
[政治・社会ニュース]
クラータム党の連立入り=依然、不透明なまま
ハジャイ校銃撃=容疑者に精神疾患歴
トンブリ拘置所の収容者=エムポックス感染で死亡
バレンタインの婚姻届3265組=バンラック区が最多、同性211組
[トピックス]
DEPAが事業計画発表=「depa Unstoppable」
[インタビュー]
ピタック・ラチャキットプラカン=PTGエナジー社社長兼CEO
[BOI認可事業]
26年1月19日認可48事業


コメント