2026年4月1日(水)号

中銀の月例経済金融報告=2月の景気は前月比で減速

 タイ中央銀行が3月31日に発表した月例経済金融報告によれば、2月のタイ経済は前月から減速した。金を除く輸出が減少したことによるもので、前月に一時的要因で大きく伸びた石油、宝石部門が反動で減少したことが響いている。また、観光収入も減少した。これまでに増加していた長距離観光客の減少に加え、ラマダン期に入ったことにより中東とマレーシアからの観光客が減少した。
 民間消費も減少した。EV3.0措置の終了を前にEVの購入が前倒しで行なわれた反動から、耐久財分野の支出が減少したことによる。さらに、工業生産も減少した。製油所の計画的なメンテナンスによる石油部門の減少に加え、電気機器分野は激しい競争に直面している。関連するサービス部門である商業、ホテル・飲食業、運輸部門の活動も同様に減少した。一方で、民間投資は設備投資を中心に改善した。また、政府支出は中央政府の経常支出と投資支出の双方により拡大した。
 経済の安定性については、一般インフレ率は主に生鮮食品物価下落の影響により前月よりもマイナス幅が拡大した一方、エネルギー価格は横ばいだった。コアインフレ率は前月とほぼ同水準のプラス値を維持した。調理用材料や調理済み食品の価格は低下した一方、パーソナルケア用品の価格は上昇した。経常収支は、主に貿易収支の黒字により黒字となった。
◆デマンドサイド
*民間消費
 季節調整済みの民間消費の指標は、前月から減少した。主に耐久財分野の支出の減少によるもので、EV3.0措置の終了を前に消費者がEVを前倒し購入した反動で乗用車の販売台数が減少した。
 また、サービス消費も減少した。ホテル・飲食業の減少によるもので、外国人観光客からの収入の減少に一致している。さらに、非耐久財分野も主に日用品の購入減により減少した。一方で、半耐久財分野は増加した。繊維・衣料品の輸入増による。
 消費者信頼感指数は、新政権の発足と経済支援策に対する期待を背景に、引き続き改善した。
*民間投資
 季節調整済みの民間投資の指標は、前月から増加した。設備投資と建設投資の双方の投資が増加した。設備分野は、コンピュータを中心とした資本財の輸入増により増加した。ただし、国内での機械販売は減少した。
 建設投資は、非住宅建設(オフィスビルや商業施設)、住宅建設の双方で増加した。特にコンドミニアムや戸建て住宅の建設が増加したことが寄与している。
 一方で、車両分野の投資は減少した。自動車の登録額の減少によるもので、特にEVの購入が前倒しされた影響が大きい。また、航空機・船舶の輸入減少も影響した。
*外国人観光客数と観光収入
 季節調整済みの外国人観光客数は、前月から減少した。これまでの期間に多く来訪していた長距離市場の観光客が減少したことによる。また、ラマダン期に入ったことで、中東やマレーシアからの観光客も減少した。一方で、中国人観光客は春節(中国正月)期の旅行需要により増加した。観光収入についても、季節調整済みの前月比で減少しており、外国人観光客数の動向と一致している。
*輸出
 季節調整済みの金を除く輸出額は、前月から減少した。主にアセアン向け輸出の減少による石油関連製品の輸出減、前月に大きく伸びた反動でインド向け輸出が減少した宝石・宝飾品の輸出減が影響した。一方で、その他の品目の輸出は前月から増加した。電子製品は、中国、米国向けの通信機器の輸出増に加え、香港向けの電子回路基板・同部品の輸出増により拡大した。
 また、自動車・同部品は、オーストラリア向け乗用車の輸出、オーストラリアや中東向け商用車の輸出増により拡大した。
*輸入
 季節調整済みの金を除く輸入額は、前月から減少した。燃料部門では原油、天然ガス、石炭の輸入量が減少した。燃料を除く原材料・中間財では前月に増加していた反動により台湾からの電子部品・電気製品の輸入が減少した。航空機を除く資本財では前月に増加していた反動により複数国からの機械と中国からのコンピュータの輸入が減少した。一方で、消費財は、日本、香港、米国からの宝飾品の輸入増により拡大した。一部はタイ国内で開催される宝飾展示会での販売向けである。
*政府支出
 政府支出は前年同期から拡大した。中央政府の経常支出と投資支出の双方が増加した。中央政府の経常支出は、年金支払い、公務員の医療費、人件費の支出増により拡大した。一方、投資支出は、運輸関連機関による執行増や、前年度から繰り越された予算の執行、特に2025年の経済刺激予算に基づくプロジェクトの支出増により拡大した。
 しかしながら、国営企業の投資支出は、主にインフラ関連投資の減少により収縮した。
◆サプライサイド
*工業生産
 季節調整済みの工業生産指数は、前月からすべてのグループで低下した。輸出比率が30%未満のグループは、製油所の定期メンテナンスに伴う一時的な生産停止による石油製品の生産減を受けて低下した。輸出比率が30~60%のグループは、EV需要に対応するために生産を大きく前倒ししていた反動から自動車部門の生産が減少したことにより低下した。輸出比率が60%を超えるグループは、在庫水準の高さに加え、需要の減少、競争の激化を背景に、エアコンの生産が減少したことにより低下した。
 一方で、ゴム・プラスチック、食品・飲料、建設資材など生産が増加した分野もあった。
*サービス部門
 金の売買を除く季節調整済みのサービス部門の指標は、前月から低下した。
 商業分野の活動は、工業製品の販売額と自動車販売の減少により鈍化した。加えて、観光部門の活動も、外国人観光客数と観光収入の減少に伴い、ホテル・レストラン業の落ち込みから減少した。タイ人の国内旅行者数が前月から増加したにもかかわらず見られた動きである。
 一方で、運輸部門の活動は、タイ人観光客数の増加や日常の移動の増加に伴う旅客輸送の増加により、わずかに拡大した。また、建設部門は、政府と民間の双方による建設活動の増加により拡大した。
*農業所得
 農業所得は前年同期から減少した。主に、農産物価格の継続的な下落によるもので、特に天然ゴム、豚肉、パーム椰子、白米の価格下落が影響した。国内外で供給が引き続き高水準にあることや、中国における天然ゴム需要の回復が限定的なことによる。
 一方で、2月は生産量が良好に増加した。天候に恵まれたことによるパーム椰子やサトウキビの生産増、さらに前年末からの豪雨の影響でサトウキビの収穫が今年第1四半期にずれ込んだことによる。
◆金融情勢と経済安定性
*金融情勢
 企業部門全体の資金調達は、主に借入を通じた資金調達の増加により、前月から拡大した。借入による資金調達は、食品製造業と商業部門の資金需要の増加により拡大した。また、資本市場を通じた資金調達も、主に運転資金として活用するためのソフトウェア関連サービス企業による増資により拡大した。一方で、債券市場を通じた資金調達は、情報通信業や建設業において減少した。
 2026年2月末時点における、債券による資金調達コストに関して、タイ国債の短期・長期利回りはいずれも政策金利の引き下げに伴い低下した。
 しかしながら、3月25日時点では、タイ国債の短期・長期利回りの平均は上昇に転じた。世界の主要国と地域の利回り動向に連動したもので、中東情勢悪化の影響で世界のエネルギー価格が大きく上昇し、インフレ圧力が高まるとの市場の見方を受け、金融政策の見通しが修正されたことが大きい。
*為替(バーツ/ドル)
 2月におけるバーツの対ドルレートは、平均で小幅上昇(バーツ高)した。月初は、総選挙後にタイの政治安定性が改善したことを受けてバーツが上昇した。
 しかしながら、2月後半にはバーツは下落し、さらに3月(2026年3月25日までのデータ)には急落した。ドル高の裏返しであり、中東情勢悪化の影響で世界のエネルギー価格が大幅に上昇したことを受け、市場における米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が遠ざけられたためである。
 また、実効為替レート(NEER)は、2月と3月において、競合する貿易相手国通貨よりも大きく下落した。タイ経済が石油輸入への依存度が高く、その半分以上を中東からの輸入に頼っている構造から中東情勢悪化の影響を強く受けるとの市場の懸念による。
*経済の安定性
 一般インフレ率は、生鮮食品物価の下落により前月よりもマイナス幅が拡大した。野菜や肉類の価格が生産量の増加に伴い下落した。一方、エネルギー部門のインフレ率は前月とほぼ同水準のマイナスとなった。
 コアインフレ率は前月と同程度のプラス値を維持したが、調理用食品と加工食品の価格が低下した一方、日用品の価格は事業者によるプロモーションの縮小により上昇した。
 労働市場の状況では、雇用は前月から減少した。社会保険制度(第33条)加入者数の減少に反映されている。
 また、経常収支は黒字が拡大した。輸入の減少による貿易収支の黒字拡大に加え、所得・サービス・移転収支の黒字が拡大したためで、海外への利益送金の減少や送金収入の増加が背景にある。
*企業部門の安定性と財務状況(2025年第4四半期)
 金融機関を除く上場企業(SETとmai)の業績は、全体として前四半期から低下した。収益性(営業利益率:OPM)は、前の四半期の7.3%から6.7%へ低下した。製造業と観光関連を除くサービス業のすべての業種で減少した。
 一方で、利払い能力(金利カバレッジ・レシオ:ICR)は4.4倍で横ばいとなった。また、流動性(カレント・レシオ:CR)と負債自己資本倍率(DEレシオ)は前四半期から概ね横ばいとなり、それぞれ1.8倍と0.7倍だった。

ヤマハが新モデル多数発表=PHEV・HEV技術をタイで初公開

 タイ・ヤマハモーターが第47回バンコク・インターナショナル・モーターショーに出展した「YAMAHA THE UNIQUEVERSE」ブースでは、未来型モビリティ技術として「YAMAHA PROTO PHEV」と「YAMAHA HEV」をタイで初公開し、プラグインハイブリッドとハイブリッドの駆動システムを紹介した。走行の楽しさと省エネルギー、排ガスの削減を両立させ、持続可能な未来に向けたイノベーションのビジョンを強調した。


 同時に、「THE UNIQUE PERFORMANCE」と「THE UNIQUE LIFESTYLE」の2シリーズで新モデルを発表した。
 「THE UNIQUE PERFORMANCE」シリーズの「YAMAHA AEROX SP」は、YECVTシステムを搭載したスーパースポーツオートマチックで、走行時の制御性を向上させた。「YAMAHA TRACER9」と「TRACER9 GT+」は、交通状況に応じて自動調整するマトリックスLEDヘッドライトを初めて採用し、GT+モデルではレーダーとアダプティブクルーズコントロールを搭載して安全性と長距離走行時の負担軽減を実現した。
 「YAMAHA R9」はWSBKチャンピオン系譜のスポーツバイクで、70周年記念モデルも展開した。「YAMAHA R15M」は155ccクラスのトップモデルで、同じく70周年記念仕様を用意した。
 「THE UNIQUE LIFESTYLE」シリーズでは、YAMAHA OUTDOOR FASHIONとして、「Grand Filano Hybrid CLASSY RIDE OUT」、「FAZZIO EASY RIDE OUT」、「PG-1 PLAYFUL RIDE OUT」の3モデルを通じて現代のライフスタイルに対応した提案を行なった。「YAMAHA FAZZIO」は新たに7色を追加し、スマートキーモデル3色とLiteモデル4色を展開している。「YAMAHA SR400 Limited Final Edition」は、特別仕様のG-SHOCK腕時計とセットで販売される。「YAMAHA TMAX Tech MAX 25th Anniversary」は、MAXシリーズの最高峰モデルとして正式価格が発表された。
 ヤマハはすべてのラインナップの二輪車を展示し、会場限定の特別プロモーションとして、大型バイクで最大10万バーツ、400cc以下のスタンダードモデルで最大1万バーツのギフトバウチャー割引を提供している。

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