2026年4月3日(金)号

FTI、競争力強化へ5戦略を推進=「4GO」で中小・次世代産業の転換加速

 タイ工業連盟(FTI)は年次総会を開き、産業競争力の底上げに向けた重点戦略と各種施策を示した。中小企業支援の「4GO」戦略を軸に、次世代産業への転換と持続可能な成長の両立を図る方針を打ち出した。


 FTIは3月30日、シリキット国際会議場で年次総会を開催した。開会挨拶でクリアンクライ・ティアンヌクン会長は、「2025年は世界経済が不透明で変動の激しい状況にあり、産業界は急速な変化に対応するため事業戦略の調整を迫られた」と述べた。そのうえで、FTIは官民連携をつなぐ中心的な民間組織として、「産業競争力の引き上げによる、より強いタイ経済の創成」をビジョンに掲げ、国内産業の底上げと事業者の強化に注力してきたと説明した。今後も明確な方向性と確かな目標に向かって一体となった取り組みを進め、「ONE FTI」政策を通じて経済・社会・環境のバランスを保ちながら持続可能な発展の両立を目指す考えを示した。
 クリアンクライ会長は重要な戦略として、「Industry Collaboration(産業界の連携強化による組織力向上)」、「First 2 Next-Gen Industry(次世代産業への転換加速)」、「Smart SMEs(4GO戦略による中小企業のレベルアップ)」、「Smart Service Platform(サービス基盤整備による産業全体の質的向上)」、「Sustainability, Achieve ESG(環境・社会・ガバナンス関連活動の拡充による持続可能な産業形態の実現)」の5つを挙げた。
 また、事業者、とりわけ中小企業が地政学的リスク、テクノロジーの変化、貿易摩擦、国際紛争、エネルギー危機や環境問題といった複雑な課題に直面していることを十分に認識しているとしたうえで、改めて「4GO」戦略の重要性を指摘した。
 4つの「GO」のうち、「GOデジタル&AI」ではデジタル技術やAIの導入を促し、生産効率の向上やコスト削減、競争力強化を図るとともに、テクノロジーに関する知識やスキルを体系的に習得できるよう支援する。「GOイノベーション」は研究開発やイノベーションプロジェクトへのアクセスを支援し、付加価値の高い製品・サービスの開発を後押しすることで、他社との差別化と市場競争力の向上を目指す。「GOグローバル」はタイの事業者が国際基準を満たす高品質な製品を製造できるよう後押しし、輸出機会の拡大とグローバル・サプライチェーンへの参入を推進する。「GOグリーン」はESG指針に基づく持続可能な発展に向けて事業者を備えさせ、環境に配慮した製品・サービスの生産を促すとともに、環境負荷低減に資する技術やイノベーション、機械、生産工程への投資に必要な資金調達を支援し、国際的な環境規制への対応を進める。
 「4GO」戦略はこれまで国家経済にプラスの影響を与える多角的なプロジェクトや活動を生み出してきたという。その一例が「Empowering Thai Industry, Elevating Thailand’s Future」をコンセプトに掲げた「FTIエクスポ2025」で、イノベーション、テクノロジー、サステナビリティといった幅広い分野でタイ産業のポテンシャルを示す舞台となった。会場では主要企業による製品・サービスの展示、商談会、新たな視点を提供する学術セミナーなどが開催され、来場者は6万人を超え、総額25億2900万バーツ以上の経済効果を創出した。
 クリアンクライ会長はさらに、国際的なイベントとして「Foreign Industrial Club(FIC)2025」にも言及した。官民と海外投資家の間で知識や政策的視点、ビジネス経験を共有する重要な場として開催され、戦略的提携の強化、貿易・投資機会の拡大、地域とグローバルレベルでのネットワーク構築に重点を置いたと説明した。同イベントはタイ経済のポテンシャルに対する外国投資家の信頼を映し出すとともに、アセアンにおける重要な投資拠点としてのタイの役割を改めて印象づけるものとなった。
 また、FTIが「Made in Thailand(MiT)」プロジェクトを通じて、国内事業者への支援とタイ製品の付加価値向上に継続的かつ積極的に取り組んでいることも強調した。同プロジェクトの主な目的は政府機関に対して国産品の調達を優先するよう促すことにあり、国産製品の利用を活性化し、国内事業者に機会を提供するとともに、国内サプライチェーンの強化を図る。これまでに生み出した経済価値は1104億4800万バーツ以上に達しており、「事業者の収益増にとどまらず、雇用創出や輸入依存度の低減、さらにはタイ産業の長期的な競争力向上にも大きく貢献する活動」と位置付けた。
 昨年度のもう一つの重要な進展として、48番目の産業部会となる「国防産業部会」の新設も挙げた。世界的に成長が続き市場価値も高い安全保障・防衛分野への参入を見据え、タイの事業者の能力育成と向上を図る。民間企業や国家安全保障機関、海外パートナーとの連携窓口として機能させることで、技術移転や製品開発を支援し、国内サプライチェーンの強化を進めるほか、防衛関連の調達プロジェクトへの参加機会を広げ、国際市場への進出も後押しする。
 多角的な産業競争力の引き上げに向けては、複数のプロジェクトを推進してきたことも紹介した。特に先端技術の開発と導入、新規市場への参入に重点を置いており、その一例が「イノベーション・ワン(Innovation ONE)」プロジェクトである。官民パートナーとの協力を通じて、事業者の潜在的な技術開発力を側面支援し、高付加価値の新たな製品やサービスの創出を促し、国際舞台で競争できる力の強化を目指している。また、「スマート農業」プロジェクトでは、生産工程から加工、農産物の高付加価値化に至るまで農業分野への先端技術の導入を支援し、循環型経済の構築と農家や事業者の所得向上を図っている。
 地域レベルでは、プラットフォーム「Provincial E-Catalog」を通じて「1産業1県」プロジェクトを推進している。全国の事業者の製品・サービス情報を集約するセンターとして機能し、国内外の取引先とのマッチング機会を増やすことで、市場拡大を後押しする取り組みである。あわせて、会員の利便性向上を目的に「FTI・eメンバーカード」を開発し、観光、健康、サービス、消費財など130項目を超える多様な特典を提供することで、コスト削減を支援し、会員価値の向上につなげている。
 政策提言機能についても言及し、現場の視点や課題を踏まえた意見を幅広い事業者から集約し、経済、投資、関連規制に関する政策議論や方針策定へと反映させていると説明した。同時に、各政策の影響を継続的にモニタリングし、改善策を提示し続けることで、事業者を支え、ビジネス上の障害を取り除き、タイ経済の強固な成長を後押ししていると強調した。
 さらに、商業会議所、銀行協会と並ぶ経済3団体合同常任委員会(JSCCIB)の一員として、「ゼロ・コラプション:JSCCIBとその仲間は我慢しない」とする決議を共同採択したことにも触れた。汚職・腐敗に対して断固とした姿勢を示し、透明性と説明責任を重視した事業運営を促すことで、ガバナンスをタイのビジネス界における重要課題として位置付け、国内外の投資家からの信頼醸成と公平なビジネス環境の整備を目指す。
 クリアンクライ会長は最後に、「任期中、理事会、役員、会員、職員の支えにより活動を推進できたことに感謝する」と述べたうえで、今後も国内の産業事業者や会員を支援する政策と任務を継続し、国際水準の競争力を備えて将来の課題に対応しながらタイ経済の発展をさらに前進させていく考えを示した。
 今回の年次総会は、FTI会員や報道関係者が2025年度の活動成果を確認する場となっただけでなく、タイ産業界の主要な推進役としてのFTIの役割を改めて浮き彫りにする機会となった。各セクターとの協力を一層深め、競争力の強化を通じてタイ産業を持続可能な成長へ導く姿勢を示した。

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