2024年7月10日(水)号

25年のTAT行動計画=外国人観光客4000万人

 タイ観光公団(TAT)は25年の観光客誘致に向けた行動計画策定会議「TATアクションプラン2025」を7月8日から開催した。11日まで続け、15日に計画の概要を明らかにする。観光収入目標を3兆4000億バーツ、外国人観光客数4000万人、国内旅行数延べ2億2000万人を掲げ、観光収入水準を世界14位に引き上げる。
 政府は25年を新たなタイ観光年「タイランド・グランド・ツーリズム・イヤー」に位置づける。観光ハブを目指す「イグナイト・ツーリズム・タイランド」政策の下、国際イベントの誘致や医療・保養ツーリズムなど、目的限定型観光を振興する。コロナ禍からの回復では、輸出や投資と異なり、観光業は迅速な回復を見せている。TATではタイを訪れる観光客の生の声に耳を傾け、ニーズに見合った観光体験を提供する環境作りのための行動計画を策定し、回復をさらに力強いものにしていく。
 TATのタパニー・キアッティパイブン総裁は、今年の観光収入について3兆バーツと見ている。政府は3兆5000億バーツを目標にしているが、最終四半期にビッグイベントを開催できれば可能だという。現在、航空便の増便について航空業界と交渉を進めており、実現すれば外国人観光客数3900万人も達成できる見通し。タイ人の国内旅行については、最近の対円、対人民元でのバーツ高で、日本や中国などへの海外旅行との争いになる。
 来年については、今年からさらに7.5~10%増の観光収入を目標に据えた。4000万人の外国人観光客が1人あたり平均5万5000~5万7180バーツを出費すると見込んでいる。タイ人の国内旅行は延べ2億2000万人、1人あたりの平均出費額は4000バーツを見込む。特に地方都市観光の収入は、購買力の高い層に訴求することで25%増を期待している。
 TATの来年度予算は62億3600万バーツ。うち43億4500万バーツはイベント開催など観光客誘致活動に投じる。
 会議では欧州、北米、中東、アフリカ、アジアなど地域ごとの行動計画を策定する。購買力の高い高齢者層、行動力がある若年層など、世代に見合った誘致策も検討する。さらに新しい観光商品や観光地をクローズアップすることで、リピーターの取り込みも図る。
 航空機の有償座席数を増やす一方、占有率(ロードファクター)も引き上げていく。遠距離からタイに足を運ぶ購買力の高い層を呼び込む。主力である近場のアジアからの観光客は、あらゆる方面から誘致の拡大を図り、インドネシア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ラオス、カンボジアなどの観光客市場を開拓していく。
 タイ人の国内観光振興では通年を通じて活動する。国内各地の観光情報を整理し、各地の魅力をクローズアップしていく。地理的にも時期的にも観光客の分散を図ることで、観光収入の分散と安定化を進める。
 観光情報に関するオンライン・コンテンツを充実させ、タイ観光の魅力を国内外の消費者に向けて発信していく。TATのコンテンツが市場を牽引する水準になるよう、クオリティを引き上げていく。特に若い世代に受け入れられるような、トレンドに敏感でタイムリーなコンテンツ作成を目指す。
 今後の世界の観光産業にとって、5つの「C」が脅威になると言われている。1つは気候変動(Climate Change)で、環境に配慮した観光商品を開発するとともに、天災や悪天候を想定した旅程設計・旅客の安全確保なども問われる。2つ目は生活費(Cost of Living)で、顧客の購買力に応じた柔軟な戦略が問われる。3つ目はコンピュータを通じた虚偽情報の蔓延(Computer Distortion)で、人工知能(AI)による対策が必要になる。4つ目は地政学的対立(Cartographic Politic)で、国際紛争が観光産業にもたらす影響が懸念されている。5つ目はサイバー攻撃(Cyber Hacking)で、TATのシステムが標的になるおそれがある。
 TATは今年の観光収入を3兆バーツに設定し、25年の観光収入目標を3兆4000億バーツに置いているが、サームサック・ポンパニット観光・スポーツ大臣は、政府が今年の観光収入目標を3兆5000億バーツに定めていることから、来年の観光収入の目標はこれを上回る水準にすべきだと指摘している。「来年の目標は今年よりも高くする必要がある。予算に懸念があるなら、目標達成に向け、政府に支援を求めるべきだ」と述べた。

都心の賃貸オフィス=価格競争激化の様相

 バンコクの都心に新たなオフィス物件が多数生まれる中、価格競争が激化している。ナイトフランク・タイランド社によれば、都心の新規物件が賃貸料を低めに抑えて発売していることが競争を激しくしている。入居しているオフィスビルから新規物件に移転する動きが活発だ。
 コロナ禍を境に在宅勤務や遠隔勤務を取り入れる企業が増えたとはいえ、オフィスを拠点に仕事をするという基本路線を堅持する企業がほとんど。とりわけ大企業や多国籍企業は依然として都心に大規模なオフィスを構えている。
 ナイトフランク・タイのパンヤー・ジェーンキットワタナールート執行役員によれば、ラーマ4通りのウィタユ交差点に開発中の「ワン・バンコク」のタワー4が3月18日にオープンし、すでに70~80%のスペースが埋まっている。1200億バーツを投じて開発されるワン・バンコクは、TCCアセット(タイランド)社とフレイザーズ・プロパティ・ホールディングス(タイランド)社のTCCグループ2社が共同で開発する超大型複合施設。年内にさらに2つのオフィスビルがオープンする見通しで、「ワン・バンコク」の誕生もオフィス誘致合戦を激化させる。
 高級不動産開発のライモン・ランドが三菱地所と共同で開発したプルンチット通りの国内最高層(地上275.76㍍)のオフィスビル「ワン・シティ・センター(OCC)」。1平米あたり1500バーツの賃貸料に惹かれて入居した企業は多国籍企業が多い。入居率は7割に達している。国際的に知名度が高いコンサルタント会社や銀行、観光テック企業などが含まれる。保険ブローカーのロートン・アジアも20階に新しい本社事務所を開設した。
 ラーマ4通りには、サラデーン交差点付近にセントラル・パタナー社(CPN)が開発中の「ドゥシット・セントラル・パーク」があり、43階建てのオフィスビル「セントラル・パーク・オフィス」が建設中だ。床面積13万平米のうち賃貸オフィスの面積は6万平米。賃貸料は1平米あたり1400~1500バーツを想定している。ナCPNのパーラット・シーワンナウィット副社長は、年内に20~40%が予約で埋まると見ている。オープンは来年第2四半期の予定。このオフィスビルはCPNにとって11件目のオフィスビルになる。
 コ・ワーキング・スペースなどのフレキシブル・ワークスペース・サービス・プロバイダー、IWGタイ支社のティティワット・タナーポンニティナン総支配人は、オフィスの誘致合戦が価格競争の様相を呈していると指摘している。入居率が70%まで下落した物件では賃貸料を25%も引き下げるところが出てきているという。賃貸料引き下げでなく、賃貸契約期間の短縮化に応じるオーナーも増え、リスク分散のためにIWGのようなオフィススペース・サービス・プロバイダーと契約する企業も増えている。オフィス・スペースに関するニーズの多様化に伴って事業を拡大させているIWGにとっては追い風。
 地域本部をシンガポールに置いていた外資系企業のバンコクへの移転も増えているという。シンガポールの賃貸料水準が上昇していることが理由だ。

トールセン・タイ=金龍の電動ピックアップ販売

 トールセン・タイ・エージェンシー(TTA)社は8日、中国の厦門金龍汽車(アモイ・キンロン・ユナイテッド・オートモーティブ・インダストリー)と提携し、電動ピックアップトラック市場を開拓すると発表した[=写真下]。「Together For EV-lization」をテーマにEV市場への本格参入を準備中。


 チャルームチャイ・マハキットシリ社長兼CEOは、TTAとキンロンが共同開発する電動ピックアップトラックの販売を年内に開始すると語った。積載量1㌧のシングルキャブのピックアップトラック。短距離から中距離の使用に適した設計で、大半の商業用途に適しており、環境やユーザーのニーズに適応できることを確認済み。
 チャルームチャイ氏は、ロジスティック事業で豊富な経験を有する自社にとって、EV事業への参入は重要なステップと述べている。EV事業に投資するため新たにP80ゴー社を設立した。金龍ブランドのピックアップトラックの販売代理店になる。初年度は1000台の販売を見込む。

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