2024年7月4日(木)号

ドバイのDPワールド=南部ランドブリッジで協議

 セーター首相は3日、ドバイ・ワールドの子会社で港湾・物流施設運営の世界的企業、DPワールドのグループ会長兼CEOのスルタン・アハメド・ビン・スライエム氏と首相官邸で会い、タイへの投資機会について話し合った[=写真]。首相によれば、会談ではタイの経済見通し、地理的優位性を活かした地域交通ハブへの転換に向けた投資の方向性について協議した。特に南部ランドブリッジ・プロジェクトが話題の中心となり、実現すればインド洋と太平洋を繋ぐ、地域ならびに世界の交通と貿易のゲートウェイになると述べた。
 首相はまた、物流以外の分野でもタイが地域ハブを目指し、世界中の企業にタイへの投資を呼び掛けている政府の取り組みを強調した。足元の経済状況は弱々しいが、タイ経済は今後改善していくとし、海外からの直接投資を誘致する準備はできているとした。
 会談に加わったスリヤ・ジュンルンルアンキット副首相兼運輸相は、1月にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム以来のDPワールド幹部との再会を歓迎した。スライエム会長兼CEOは、DPワールドがバンコクにアセアン地域事務所を設立し、チョンブリ県レムチャバン港でコンテナ・ターミナルも運営していることを示し、首相や運輸相と会談できたことを光栄に思うと述べた。またDPワールドが、米中などの経済摩擦やサプライチェーンの障害がある中、経済成長のポテンシャルが高い国で投資機会を探し続けていると伝えた。
 ドバイに本社を置くDPワールドは、世界75か国以上に拠点があり、11万1000人の従業員を擁し、港湾やターミナルなどの国際物流サービスを提供している。世界中のコンテナの最大10%を処理する能力があり、アジア太平洋地域では7000人を超える従業員を擁し、19の港とターミナルを運営している。
 DPワールドは、サマック政権時代の2008年にアンダマン海側の港とタイ湾側の港を結ぶランドブリッジの開発で運輸省と協力覚書を結んだことがあり、スライエム氏がタイを訪問して覚書に署名した経緯がある。
 セーター政府はランドブリッジ・プロジェクトを実現するため、南部特別経済区(南部経済回廊/SEC)法を制定する方針。法案は今年9月初めに閣議決定し、来年4月の成立を見込んでいる。同法が施行になれば、25年第2四半期中にSEC事務局を開設、環境影響評価(EIA)を開始する。事業者選定を25年中に終え、26年初めの契約署名を予定する。
 建設は3つのフェーズに分けて進め、第1フェーズは26年に着工、30年終わりの完成を見込む。第2フェーズは31年着工、34年完成、第3フェーズは35年着工、36年末に完成する。

味の素(タイランド)=アミノ酸の商品開発に44億B投資

 味の素(タイランド)はアミノ酸をベースにした新商品の開発・販売に今後6年間で総額44億バーツを投資する。アミノ酸に関する豊富な研究実績がある強みをフルに活用、高齢化が進むタイ社会の健康志向の高まりに対応することで持続可能な事業体系を確立する。
 今年度(24年4月~25年3月)は総合栄養振興戦略で、高齢化、健康志向、美容といった消費者のニーズに応える商品、サービスの提供を進める。特に過去1世紀に渡る研究の蓄積があるアミノ酸を中心にした栄養補助食品(サプリメント)の開発、生産、販売を拡充する。タイのサプリ需要は年間300億バーツ。今後も年率2~10%の伸びが見込める。自社製品の売上は2桁増を見込んでいる。
 タイで開発した健康管理アプリ「iリブウェル」を世界に先駆けてタイでリリースする。料理の写真を撮るだけでカロリー計算できる機能が付いた世界初のアプリ。採用企業50社を目標とし、従業員に1人1か月100バーツの料金で使用してもらう。3000人のユーザー確保を目指す。
 坂倉一郎社長[=写真左]は、気温の上昇でコーヒー豆やキャッサバなどの原料生産の落ち込みによる価格高騰を懸念している。原料高で化学調味料「味の素」の4%の値上げに踏み切った。7月2日より250㌘、500㌘、1㌔㌘、3㌔㌘商品を値上げした。


 坂倉社長によると、経費節減を進め、売上を増やすための販路拡大に努めている。21年から採り入れている月次状況分析で、毎月事業戦略を微修正するようにしてからは業績が安定するようになったという。昨年の総収入は320億バーツ。「味の素」のうま味調味料市場シェアは93%、調味料「ロットディー」は89%、缶コーヒーの「バーディー」は53%、即席麺の「ヤムヤム」は業界2位。

その他のニュース

[経済ニュース]

多国間決済連携のNexus=第4フェーズ開始

公的債務管理計画を修正=借入2750億バーツ増

インバウンド免税店=政府が廃止方針

アセアン持続可能エネ週間=シリキット会場で5日まで

外国人観光客数=日タイがほぼ同数に

タイ・ホテル協会=財務省に業界支援求める

ファスト・オートショー開幕=BITECで7日まで

[社会ニュース]
上院議員選出結果=ECの認定遅れる

「フォーブス」長者番付=CP創業家がトップ陥落

バンコク・ビエンチャン間=19日に国際列車運行開始

[トピックス]
コラートをスマートシティに=デジタル化推進拠点に位置づけ

[トピックス]
サイアム・クボタ=グレイハウンドと提携

[レポート]
24年第1四半期の経済状況

[BOI認可]
5月27日認可の42事業

PDF完全版の定期購読はこちらから↓

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次