2024年7月9日(火)号

ホンダが完成車生産拠点集約=アユタヤ工場での生産停止

 ホンダ・オートモービル(タイランド)はアユタヤ工場での自動車生産を停止し、プラチンブリ工場に集約する。7月8日、完成車の生産効率の向上を目的とした「タイ四輪生産ライン改革」と題したタイ事業計画の修正を発表した。計画にはxEVへの移行を加速させることも盛り込んだ。ホンダ独自のフルハイブリッド・システムである「e:HEV」の生産販売を促進する。昨年の販売台数に占める比率は32%だったが、今年は70%まで増やすことを目指している。
 プラチンブリ工場は完成車の生産・輸出拠点とし、アユタヤ工場は長年培ったサプライチェーンを活かして部品の生産・輸出拠点として機能させる。現在、アユタヤ工場は年間15万台の生産能力があり、アコード、BR-V、HR-V、CR-V、シビックを生産している。プラチンブリ工場は年間12万台の設備能力で、シビック・ハッチバック、ジャズ、シティ(セダンとハッチバック)を生産しているほか、ホンダ初のバッテリーEVである「e:N1」を生産している。
 ホンダは1984年にタイで自動車生産を開始し、96年にロジャナ・アユタヤ工業団地に工場を開設。08年には第2生産ラインを開設して、生産能力を増強した。11年の大洪水では工場が浸水し深刻な被害を被った。これを受け、13年にはロジャナ・プラチンブリ工業団地に新工場の建設を発表。16年にプラチンブリ工場でシビックの生産を開始している。17年にはホンダR&Dアジア・パシフィックがロジャナ・プラチンブリ工業団地に17億バーツを投じた自動車試験場が完成した。ホンダがプラチンブリでの投資を進めた当時、アユタヤの洪水リスクを避けるため、すべての生産をプラチンブリに集約させるのではないかとの憶測もあった。
 スバルが24年末、スズキが25年末でタイでの生産を停止し、工場を閉鎖すると発表しているため、ホンダの発表も大きな注目を集めているが、ホンダの計画は、タイでの生産から撤退する2社とは異なる。アユタヤ工場よりも新しく、より高度な技術を備えたプラチンブリ工場への完成車生産ラインの集約は生産効率の向上につながる。またプラチンブリには研究開発センターと試験場もある。
 タイ国内の新車市場は昨年から縮小を続けているが、ホンダは善戦している。今年1~5月の新車市場全体は前年同期比23.8%減となっているが、ホンダの販売台数は3万7374台で、同4.3%減にとどまっている。ホンダのタイ国内新車市場におけるシェアは今年1~5月に14.4%。タイ市場で2桁の市場シェアを持つのはトヨタ、いすゞ、ホンダの3社のみ。

デジタルマネー給付政策=7月24日に首相が詳細発表

 パオプーム・ローチャナサクン財務副大臣は7月8日に開いた記者会見で、デジタルマネー給付政策について、10日に開く小委員会で財源、給付対象となる個人と参加する商店の資格条件、デジタルマネーで購入できる物品についての詳細をとりまとめ、24日にセーター首相が自ら開く記者会見で全容を明らかにすると述べた。登録開始日は24日の会見で明らかにする。

パオプーム財務副大臣


 小委員会がとりまとめた内容は、15日に首相を議長に開かれる国家デジタルウォレット政策委員会の会議に提出される。24日の発表会見後、30日に開く閣議で正式決定する。パオプーム氏は、給付を予定どおり今年第4四半期に開始できると述べた。
 同政策の予算は5000億バーツで、パオプーム氏は規模を削減することはないと断言した。24年度補正予算で1220億バーツを確保するほか、年度予算の緊急予備費枠から530億バーツを同政策に割り当てる。25年度予算からは1527億バーツを割り当てる。下院で審議中の25年度予算法案には、詳細が未定だったため、デジタルマネー政策の経費としての費目は立てておらず、中央予算から配分する。24、25年度の国家予算とは別に農業・農協銀行(BAAC)から1723億バーツを借りるとしているが、この借入には批判も多い。政府はBAACからの借入が適法かどうかを内閣法制委員会事務局に照会することにしている。パオプーム氏は、法制委が不可とした場合の代替プランはあるが、すべては当初のプランに従って進展しているため、現時点では議論していないと述べた。また内閣法制委への照会は、プロジェクトを内閣が決定するまではできないと説明した。
 デジタルマネーで購入できない商品のリストは商業省が作成中。携帯電話端末などの輸入商品は購入不可の商品にリストアップされる可能性が高いが、結論を待つ必要があるとした。
 パオプーム氏は、世銀がこのプログラムによるGDP押し上げ効果を0.5~1.0%としていることについて、過去に実施されたことのない政策であり、購入可能な商品などの条件次第で試算される数値も異なってくると指摘。経済にどのような効果をもたらすかは未知の部分が大きいと述べている。

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