2024年7月31日(水)号

民間消費、投資が失速=財務省の月例経済財政報告

 財務省財政局が7月26日に発表した月例経済財政報告によれば、6月のタイ経済は観光業が引き続き拡大した。ただし耐久財の消費と民間投資はまだ回復していない。ポンチャイ・ティラウェート局長[=写真]は、景気の回復、消費者の購買力、工業製品の生産量に影響を及ぼす国内外の経済情勢を密接に追跡していく必要があると述べた。

デマンドサイド
 民間消費の指標は前月から減速する兆しが見える。6月の付加価値税収は前年同月比で1.5%減となり、季節調整済み前月比でも1.8%減少した。自動二輪車の新規登録台数は前年同月比で14.7%減、季節調整済み前月比でも4.7%減となった。6月の消費者信頼感指数は58.9ポイントで、前月の60.5ポイントを下回っている。消費者は景気回復の遅れとエネルギー価格上昇を懸念している。ただし実質農業所得は前年比で5.9%増となった。
 民間投資の指標も前月から減速する兆しを見せている。民間部門の設備投資では、資本財輸入数量が6月に前年同月比で3.2%減少し、季節調整済み前月比でも7.7%減を記録した。商用車販売台数は前年同月比25.3%減、季節調整済みの前月比でも7.5%減少した。民間部門の建設投資では国内セメント販売量が前年同月比6.5%減少し、季節調整済み前月比でも0.5%減となった。不動産取引税収は前年同月比で18.7%減、季節調整済み前月比でも5.8%減だった。
 物品輸出額は前年同月比で減少した。6月のドル建て物品輸出額は247億9660万㌦で、前年同月比で0.3%減。石油・同関連製品、金、武器を除いた輸出額は1.6%減を記録している。砂糖、生鮮・冷蔵・冷凍・乾燥果実、鉄鋼・同製品はそれぞれ順に51.9%減、37.8%減、24.2%減となった。ただし米、天然ゴム、コンピュータ・同部品、電話機・同部品はそれぞれ順に96.6%増、28.8%増、22.0%増、20.1%増と好調に推移した。
 物品輸出を仕向け地別に見ると、中国、日本、オーストラリア向けがそれぞれ順に12.3%減、12.3%減、4.5%減となった。ただし中東、インド、CLMV、米国向けは16.1%増、10.1%増、7.6%増、5.4%増だった。

サプライサイド
 観光関連サービス業は前年比で上向いた。6月にタイを訪れた外国人観光客は274万人を数え、前年同月比で22.3%増、季節調整済み前月比でも1.9%増加した。中国、マレーシア、インド、韓国、ラオスからの観光客が増えている。またタイ人の国内観光も6月は延べ2110万人を数え、前年同月比で10.2%増、季節調整済み前月比で5.6%増となった。
 農業セクターでは、6月の農産物生産指数が前年同月比で6.3%減となり、季節調整済み前月比でも4.7%減となった。米、キャッサバ、果実類の生産が減少したが、パーム椰子、畜産の生産は引き続き増加した。
 工業セクターでは、工業部門信頼感指数が前月の88.5ポイントから87.2ポイントに下落した。国内需要の回復遅れ、家計債務の膨張による消費者の購買力の低下、世界経済情勢の不透明さの影響を受けている。

経済安定性
 6月の一般インフレ率は0.62%増で、コア・インフレ率は0.36%増となった。6月末時点の公的債務残高の対GDP比は64.3%で、財政規律法が定める70%以下の水準を下回っている。対外安定性も健全な水準を保ち、6月末時点の外貨準備高は2243億㌦となっている。

1~6月の新車販売台数=前年同期比24.2%減

 タイ国トヨタ自動車が7月30日に発表した今年上半期(1~6月)の国内新車販売台数は30万8027台にとどまり、前年同期を24.2%下回った。乗用車の販売台数は11万9326台(19.4%減)、商用車は18万8701台(26.9%減)。商用車のうち1トン・ピックアップ・トラック(PPVを含む)の販売台数は10万8437台で、前年同期比40.7%減となった。
 6月の販売台数は4万7662台で、前年同月比26.0%減。乗用車が1万7737台(27.1%減)、商用車が2万9925台(25.4%減)。1トン・ピックアップは1万6672台で、39%減だった。

タイとカザフスタン=経済協力協定を締結へ

 政府はカザフスタンと経済協力協定を締結する。7月24日にプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼商業相[=写真右]がアルマン・イセトフ在タイ大使と会談し、原則合意した。会談では貿易、投資、観光分野の二国間協力を推進するための貿易経済協力合同委員会設置で合意した。8月13~18日にはプームタム大臣が同国を訪問、経済協力合意の覚書署名式に臨む。訪問団は同国の財界関係者とも会い、ビジネス機会を探る。
 カザフスタンは中央アジアで最も面積が広い国で、国内総生産は域内で最も大きく、国民の購買力水準も高い。中央アジア経済の中枢を担っている。畜産が盛んで、合同委員会が発足すれば、タイからの飼料・農産物の輸入が増える見通し。すでに今年4月にビザの相互免除措置が発効し、今後の人流が広がると期待されている。人流拡大は経済機会の拡大につながる。 
 カザフスタンはタイにとって中央アジア最大の貿易相手国。昨年の貿易額はタイの貿易額の0.03%、1億7200万㌦だった。タイからの輸出が7600万㌦、カザフスタンからの輸入が9600万㌦。主な輸出品は自動車・部品、ゴム製品、宝石・宝飾品、機械・部品、電機。輸入品は原油、石炭、鉄鉱石、化学品、鉱産物など。
 会談ではユーラシア経済連合(EAEU)との自由貿易協定(FTA)締結に向けた協議を開始する構想も浮上した。同大臣がEAEU加盟国であるカザフスタンに交渉開始への支援を要請した。
 EAEUは2015年に発足した経済連合体で、ロシア、カザフスタン、アルメニア、ベラルーシ、キルギスの5か国が加盟している。5か国の総人口は2億人近く、各国の総生産を合わせると5兆㌦に達する。

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[データ]
財政局の24年6月の経済指標
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