工業生産が2か月連続で収縮＝6月は前年同月比1.71％減
工業省工業経済事務局（ＯＩＥ）が7月31日に発表した6月の工業生産指数は前年同月比1.71％減となった。国内の購買力低下が最大の理由。製造業が収縮を続けていることを示すものだが、第2四半期（4～6月）は0.27％減にとどまり、第1四半期の3.58％減に比べると改善した。今年下半期は、政府の予算執行の加速、デジタルマネー給付の開始で景気の改善が期待され、工業生産も回復に向かうと見ている。今年通年の工業部門のＧＤＰは0.5～1.5％増と予測した。
ウォラウォン・チットアルン事務局長によれば、工業生産の減少は、国内の購買力の低下、家計債務問題、金利高、エネルギー・コストの上昇、海外からの輸入品との競争の激化が理由。6月の平均設備稼働率は58.41％だった。第2四半期平均は57.79％。
上半期平均の工業生産指数は前年同期比2.01％減、設備稼働率は59.11％だった。
工業生産は7月も低迷が続いている。消費者の購買力の低迷を受け、工業部門の信頼感が悪化していることに加え、投資も縮小しており、ウォラウォン事務局長は国内のすべての要因が警戒信号を発していると述べた。海外要因では欧州連合と日本の製造業が減速のリスクを抱えている。また8月1日から米国は180億㌦に及ぶ中国製品に対する輸入関税を25～100％引き上げる。米国は中国製品が自国市場に流入するのを防ぎ、国内産業を保護する方針だが、中国の経済成長を阻害することになり、貿易や投資を含む様々な側面で世界経済に影響を与える可能性がある。同事務局長は、タイの企業が中国に代わる米国への製品輸出、特に太陽電池の輸出を拡大する準備をすべきだと述べた。
6月にはパーム油工業の生産が41.90％増を記録した。パーム椰子の供給増により、パーム原油と精製パーム油製品の生産が大きく伸びた。インド、中国、パキスタン、欧州など輸出市場も拡大している。
石油精製では、観光業の継続的な拡大を受け、航空燃料油やガソリンの生産が増加し、前年同期比3.58％増となった。
飼料の生産は主にペットフードの生産が伸び、前年同月比14.33％増となった。海外からの引き合いが増えている。また原材料価格の下落により製品価格も値下がりした。
これに対し自動車の生産は、主にピックアップ・トラック、小型乗用車、ディーゼルエンジンの生産が減少し、前年同月比で18.05％減となった。家計債務の膨張で購買力が低下している上、金融機関は自動車ローン審査を厳格化している。
電子部品、回路基板の生産は前年同月比で20.08％縮小した。プリント基板（ＰＣＢＡ）、集積回路（ＩＣ）の生産が世界のエレクトロニクス市況に連動して減少した。
自動二輪車の生産は23.42％減となった。購買力の低下で国内市場が縮小している。
ウォラウォン事務局長によれば、工業生産指数計算に太陽電池パネル、ソリッド・ステート・ドライブ（ＳＳＤ）、スマート・エレクトロニクス、ＥＶの4つの成長産業を加えることを検討している。国家経済社会開発評議会（ＮＥＳＤＣ）事務局と協議している段階。
パナソニック＝不動産業界と技術提携
パナソニック・ソリューション（タイランド）社は、今後3～5年で法人顧客の構成比を現在の6割から7割に引き上げる。ポンウット・セーンプラサート法人営業部長によれば、法人顧客の4割は不動産業界、3割が商業ビル、1割がホテル。ソリューション・プロバイダー業界ではシェア3位となっている。
伊藤秀和社長［＝写真左から4人目］は、低環境負荷型事業への傾斜を強めていく意向を明らかにしている。チュラロンコン大学との提携で、住宅の省エネ化を図るためのＩｏＴの開発を進める。
このプロジェクトにはセーナー・デベロップメント、ＮＣハウジング、サターポン・エステートの不動産開発3社も参加、モデル住宅にパナソニックのＩｏＴを試験的に導入し、室温や湿度の自動調節機能を通じた節電効率の向上を目指す。サターポン・エステートのスントン・サターポンＣＥＯによれば、このソリューションを通じて室内の温度を1度引き下げた場合、従来よりも10～15％節電効果が高まるという。月額1000～1500バーツの電気代を700バーツに引き下げることができる。ＮＣハウジングのソムヌック・タンタトゥートタム社長も、研究プロジェクトがもたらす住宅建築技術の発展への期待を表明した。
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