いすゞが新型ピックアップ=新開発ディーゼル・エンジンを搭載
いすゞ自動車は11月20日、ブリラム県のチャーン・インターナショナル・サーキットで記者会見を開き、1トン・ピックアップ・トラック「いすゞD-MAX」と派生車種であるPPV(乗用ピックアップ)の「MU-X」の新モデルを披露した。新開発の2.2Lディーゼルエンジン「RZ4F」と8速オートマチック・トランスミッション(AT)を搭載した。28日からタイでの販売を開始する。
いすゞによれば、「D-MAX」と「MU-X」は力強いデザイン、悪路走破性、ディーゼル・エンジンの優れた燃費性能が高く評価されている。新モデルは市場の根強いディーゼル需要に応え、高出力を実現したRZ4Fと多段化を実現した8速ATの採用により、従来モデルから発進性、加速性が大幅に向上し、燃費性能が改善したという。
いすゞの南真介社長がこの日の発表イベントに出席した。南氏によれば、新型D-MAXとMU-Xは新エンジンとATの搭載により、発進性、加速性を格段に向上させながらも、優れた燃費性能を実現した。高性能とカーボンニュートラル対応を両立させた。新たに開発したRZ4F(排気量2.2L)は、優れた静粛性と耐久性はそのままに、120kW/400Nmの高出力・高トルクを実現。燃焼の改善と最適なターボ設定、さらに新たな8速ATとの組み合わせにより、動力性能と燃費性能が従来モデルから向上した。多段化した新8速ATは、ワイドレンジ化とトルクコンバーター性能の最適化、高減衰ロックアップダンパーの採用、新開発エンジンに最適化したシフトマップ設定により、優れた発進加速性と動力性能、燃費性能を実現したとしている。
トリペッチいすゞセールス社の波多隆社長によれば、タイでの販売価格は「D-Max」が55万8000~128万4000バーツ、「MU-X」が119万4000~177万1000バーツ。波多氏によれば、新型エンジンはカーボンニュートラル燃料にも対応する。将来的には他の代替エネルギー源と併用できることからも、モビリティの真の未来を形作るディーゼル・エンジン技術だと述べている。
この日のイベントでは標準モデルから特別に装飾された車など合計23台とエンジンも合わせて展示し、サーキットでは走行性能テストもメディアに公開した。
新モデルは11月29日から12月10日までムアントンタニのインパクト展示場で開催されるモーターエキスポ2024に出品する。
いすゞの今年1~9月のタイでの新車販売台数は6万5269台にとどまり、前年同期の12万294台から45.7%減となった。1トン・ピックアップ・トラックの市場が収縮しており、1~9月のピックアップ車(PPVを含む)の販売台数は15万3504台で、前年同期比40.0%減少している。いすゞのピックアップ車(PPVを含む)の1~9月の販売台数は5万6812台で、同47.5%減となっている。
PTTGCと東レが提携=農業残渣からナイロン素材
PTTグローバル・ケミカル社(GC)は東レと技術提携する。農業残渣を繊維製品や自動車部品として再利用することで低炭素化を推進する。このほど農業残渣からムコン酸とアジピン酸を抽出する技術の研究開発での協力で両社が合意覚書を取り交わした[=写真]。2030年までの実用化を目標に掲げた。
今回の提携は日本の経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」の助成事業。PTTGCはタイ国内でキャッサバやサトウキビの発酵技術のノウハウを応用してムコン酸の抽出技術の開発に取り組む。ムコン酸を東レの水素化技術と組み合わせることでナイロン66の原料となるアジピン酸を生産する。化石燃料由来のナイロン66に近似した特質を持ち、工業製品の原料に使用できる。製造工程で温室効果ガスである亜酸化窒素を排出しないという特性がある。
PTTGCは事業を拡大させつつ、2050年までのネットゼロ達成を目標に掲げており、サーキュラー・エコノミーの概念を事業活動に落とし込む努力を続けている。持続可能な先端技術の開発と導入が不可欠の要素で、環境・社会・ガバナンス(ESG)のバランスに配慮した事業経営が問われる。残渣の有効活用は取り組みの一つ。
一方、東レは2050年までにポリマー生産に使用する原材料の20%をリサイクル原材料とする目標を掲げ、持続可能な開発における新たな価値の創出によりサーキュラー・エコノミーの構築を目指している。
PTTGCのナロンサック・チワカナンCEOは「ケミカルを通じて人々の暮らしと環境の改善に貢献する」というビジョンで、東レと考え方が一致したと提携の理由を述べた。「将来に向けて、技術力の育成と持続可能な経済的価値の創出につながる」と表明した。同社は自社製品の低炭素化による付加価値の創生を重視し、マプタプット工業団地におけるケミカル製品センターの機能向上とバイオケミカル事業の強化を目指している。今回の提携はその目的にも一致する。
アセアン域内の持続可能な素材や製品に対する関心と需要は急速に高まり、サプライチェーンの低炭素化が課題になっている。両社の技術が実用化されれば、課題の解決に貢献できる。
東レはタイで農業残渣から糖蜜を抽出する事業を展開しているセルロシック・バイオマス・テクノロジー社(CBT)を84%保有する筆頭株主。セルロシックが提供する糖蜜をベースにナイロン66用のバイオ・ケミカル素材を生産する技術の開発にPTTGCと取り組んでいく。
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