焼畑収穫サトウキビ使用＝ウドンタニ製糖所に操業停止
サトウキビの収穫時の焼畑で発生する煙霧がもたらす微小粒子状物質ＰＭ2.5による大気汚染問題。汚染緩和に向け、全国58か所の製糖工場に対し、焼畑で収穫されたサトウキビの不使用を指導しているサトウキビ・砂糖委員会事務局は1月13日、ウドンタニ県の砂糖工場が依然として焼畑で収穫されたサトウキビを使用している状況を明らかにし、15日にはエカナット・プロムパン工業相が操業停止を命じている。
バイノーイ・スワンナチャートリー事務局長によれば、この工場はタイ・ウドンタニ・シュガーミル社［＝写真］で、1日に入荷するサトウキビの31.71％が焼畑で収穫されたものになっている。これまでに同工場が集荷したサトウキビの43.62％に相当する40万717.21㌧が焼畑収穫によるもので、40万ライ以上の森林を焼き払ったに等しいことになるという。同事務局長は「我々の指導に従おうとしない工場はタイ・ウドンタニ社のみ」と指摘した。
その後、工業省工場局が同社の工場を検査したところ、廃棄物・残渣の処理が雑で、事故が発生する危険性が確認されたほか、電源設備・防火設備の不備も確認された。系列会社が供給している電力についても、発電設備の安全性に不審な点が発見された。工場局は同社に早期是正を指示、15日には改善するまでの一時操業停止命令を出すに至っている。
1月20日には同社が自社の発電設備の安全性と焼畑収穫サトウキビの位置づけに関する声明を発表した。それによれば、同社の発電設備は毎年安全性に関する検査に合格しているほか、環境への影響についても6か月ごとにエネルギー事業監督委員会（ＥＲＣ）に報告し、問題が指摘されたことはない。環境負荷の発生状況についても、リアルタイムでモニタリングできるシステムを導入済みで、工場局が常にオンラインでフォローアップできるようになっていると説明した。
焼畑収穫サトウキビについては、政府の方針を理解し、従う意向だが、現場での変革には時間がかかるとして当局に理解を求めた。「自社で早急な改善に向けてさらに努力を進めていく」として一時操業停止命令の解除を申し入れている。
サトウキビ・砂糖委員会事務局のサマート・ノイワン次長は1月9日にペチャブン県のサトウキビ収穫現場と製糖企業を訪問した。焼畑収穫サトウキビの撲滅に向けた現場の取組状況の確認が目的。同県で操業するタイ・ルンルアン・インダストリー社と同県サトウキビ生産者協会を訪問した。同社が契約する約1万ライのサトウキビ畑では同事務局との合意に基づき、収穫時と収穫後の焼畑をしないことを申し合わせている。モニタリングを目的とするＡＩ搭載ドローンを現場に導入し、焼畑収穫されたサトウキビの選別精度の改善につなげている。
ＡＩはサトウキビ畑の収穫量予測や糖度の推定にも使用され、収穫適期の把握を容易にしているという。
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