2026年10月20日(火)号

IMF・世銀年次総会の成功を強調=国際的な信頼を投資・雇用機会へ転換

 アヌティン首相兼内務相は10月16日、バンコクで開催された2026年IMF・世銀グループ年次総会について、190か国を超える国々が参加し、タイの国際的な信頼を高める重要な成果を上げたと評価した。タイがアセアンを通じて世界各地の市場や資本、技術を結びつけ、貿易・投資と共同開発の機会を拡大する方針を強調。国際社会から得られた信頼を実際の投資や雇用、国民の所得増加につなげるとともに、国際会議・展示会などのMICE産業の振興にも活用する考えを示した。
 アヌティン首相は同日午前、シリキット国際会議場で開かれた年次総会の全体会議(Annual Meeting Plenary)の開会式を主宰し、挨拶を行なった[=写真]。


 首相は各国からの参加者を歓迎し、世界各地の人々や文化、考え方を結びつけてきたタイの歴史的な役割を強調した。かつてアユタヤは東洋と西洋を結ぶ国際貿易と外交の中心地として栄え、シャムは対外的な開放性と世界との結びつきを通じて繁栄してきたと振り返った。
 こうした精神は現在まで受け継がれており、タイは1991年にIMF・世銀年次総会を主催して以来、35年ぶりに国際社会をバンコクに迎えた。今回の会場となったシリキット国際会議場も、1991年の年次総会に対応するために建設されたものだと説明した。
◆アセアンを通じて市場・資本・技術を結ぶ
 アヌティン首相は、世界の状況が35年前から大きく変化したと指摘。ファクシミリが高速通信技術として利用されていた時代から、現在はAIが経済システムそのものを変革する時代へと移行していると述べた。
 一方、地政学的な分断が国際貿易と投資に影響を及ぼし、気候変動も世界共通の重要課題となっている。こうした問題は一国だけでは解決できず、国際社会が協力して対応する必要があると強調した。
 今回の年次総会の理念である「タイの新たな地平:人々の能力を高め、強靱性を構築する(Thailand’s New Horizon: Empowering People, Building Resilience)」については、タイだけの未来を示すものではなく、国際社会が共有する未来を意味すると説明した。
 変化する世界に対応するには、信頼を基盤とする国際的な結びつきが重要になると指摘。自由貿易の促進、技術や資金調達先へのアクセス拡大、各国が相互に学び、ともに成長するための協力関係を構築する必要があると述べた。
 また、1991年の年次総会が残したものは、国際会議場のような目に見える施設だけではなく、国際的な対話と協力を重視する姿勢そのものも重要な遺産になっていると強調した。
 タイの役割については、異なる地域の市場、資本と経済的機会、技術と能力を持つ人材を結びつけることができると指摘した。特にアセアンの枠組みを通じて地域のパートナー諸国の力を結集し、世界経済との連携を強化することで、貿易・投資や共同開発の新たな機会を創出できるとの考えを示した。
 ただし、こうした経済的な結びつきによる利益は、企業部門だけでなく国民や地域社会にも広く行き渡る必要があると強調。企業の成長を支援するとともに、労働者の技能や能力を高め、国民生活の質の向上につながる機会を創出することが重要だと述べた。
 国民の能力強化は、より多くの地域社会が経済構造の変化に参加し、その成果を享受できるようにすることを意味する。国際的な資本や技術を国内の生産性向上や人材開発に結びつけ、経済成長の恩恵を幅広い層に届ける必要があるとの認識を示した。
◆国際的な協議を具体的な経済成果へ
 アヌティン首相はIMF、世銀グループ、各国のパートナーに対し、今回の年次総会での協議を具体的な協力へと発展させ、金融資源を国民や企業にとっての経済的機会へと転換するよう呼びかけた。
 会議での意思決定は、より強固な経済を構築するとともに、国民にとってより良い機会を創出するものでなければならないと強調した。
 首相は、かつてアユタヤがタイを世界と結びつけたように、現在のバンコクも各国を結びつける役割を果たせると指摘。世界経済が人々により多くの利益をもたらすという共通の目標に向け、国際社会が協力することの重要性を改めて訴えた。
 今回の年次総会を意義あるものとし、すべての国の国民に具体的な利益をもたらす成果につなげるため、各国政府や国際機関、関係者が共同で取り組むよう呼びかけた。
◆190か国超が参加、開催能力に高い評価
 アヌティン首相は同日夕、年次総会の終了後、シリキット国際会議場で報道陣の取材に応じ、開催の成果を総括した。
 首相は、タイが世界各国の会議参加者から高い評価と称賛を受けたと説明。物流、基礎インフラ、治安、経済に加え、ガバナンスや法的手続きに従った業務運営など、国際的な大型会議を開催するための準備態勢と能力を示すことができたと強調した。
 今回の会議には190か国を超える国々から参加者が集まり、国際社会がタイの能力を直接確認する重要な機会となった。首相は、タイが自ら準備態勢の充実を強調する必要はなく、会議の開催が成功したこと自体が、その能力を十分に証明したとの認識を示した。
 会議は円滑に運営され、開催に影響を及ぼす重大な苦情や不備もなかったと説明。各国の参加者がタイに対する良い印象と信頼を持って帰国することになったと述べた。
 こうした成果は、国際社会からのタイに対する信頼と信用を高め、今後の経済活動や投資誘致にも役立つとの考えを示した。
◆国際会議の開催実績をMICE産業の振興に活用
 首相は、今後の重要な課題は、今回示したタイの強みと準備態勢を、具体的な経済活動や投資、国民の所得創出につなげることだと強調した。特に、企業会議、報奨旅行、国際会議、展示会などのMICE産業の振興を重視している。
 今回の世界的な年次総会の開催は、タイが重要な国際行事を受け入れる十分な準備態勢を備えていることを示したもので、今後も国際会議や関連イベントの誘致を通じて継続的な事業機会を創出できると説明した。
 国際会議の開催能力に対する信頼を高めることで、タイのMICE産業の成長を促進し、関連する企業や国民の経済的機会の拡大につなげる考えだ。
◆国際要人との会談を投資・事業協力に発展
 首相は、年次総会の開催期間中、多くの国や国際機関の高官と会談する機会があったことにも言及した。会談相手には米連邦準備制度の議長やOECDの代表らも含まれ、タイが国際的なさまざまな関係者と直接意見を交換し、関係を構築する重要な機会となった。
 こうした会談や交流は、今後のビジネスマッチングや各分野での国際協力につながる可能性があると指摘。政府は今回築いた関係を継続的に発展させ、実際の投資や事業協力、国民への経済的利益に結びつける必要があると強調した。
 午前の全体会議で示した、市場、資本、技術を結びつける方針についても、国際社会との信頼関係を具体的な成果に転換することが重要になるとの認識を改めて示した。
◆官民協力が成功の基盤、信頼を雇用・所得へ転換
 首相は、今回の年次総会が成功した背景には、公務員、民間企業、関係職員など、あらゆる部門の協力があったと強調した。これまで政治の安定性や行政運営の継続性に関する課題があったものの、すべての関係者が国の利益を優先し、緊密に協力して開催準備と運営に取り組んだと説明した。
 今回の経験は、国家にとって重要な任務であれば、政府機関や民間部門などが協力し、困難を乗り越えて成功へと導くことができることを示していると述べた。
 首相は、タイが国際社会との経済的な結びつきを強めるとともに、今回得られた信頼を国内の投資や企業活動の拡大につなげることが重要だと強調した。国際的な資金や技術、事業機会を国民や企業の能力向上に活用し、成長の成果を幅広い層に届ける方針だ。
 最後に「重要なのは、今回示した準備態勢と、得られた信頼を、タイ国民の機会、所得、仕事へと転換していかなければならないということだ」と述べ、年次総会の開催成果を今後の経済成長と国民生活の向上につなげる決意を示した。

[経済ニュース]
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