TATの外客数目標3670万人=観光収入2.8兆バーツ
タイ観光公団(TAT)は観光収入2.8兆バーツ、外国人観光客数3670万人を2026年の目標に掲げた。タパニー・キアットパイブーン総裁[=写真]は、国内観光は延べ2億500万人以上を目指し、総収入目標を2.78兆バーツ(前年比7%増)に設定したことも明らかにした。多角的な大型キャンペーンを展開し、イメージを刷新して、タイ観光への信頼を回復させる。またKポップの世界的スター、リサ・ブラックピンクことラリサー・マノーバンさんを「アメージング・タイランド・アンバサダー」に起用、1月にはティーザー広告を公開する。

観光・スポーツ省によれば、2025年の外国人観光客と国内観光客を合わせた観光収入は、2兆7033億3500万バーツとなり、前年から1.26%減少した。外国人観光客数は3297万4321人で、前年から7.23%減少した。外国人観光客からの観光収入は1兆5365億7400万バーツとなり、前年比で4.71%の減少となった。一方、タイ人の国内旅行は堅調に推移し、延べ旅行回数は2億0237万回と前年から2.70%増加し、観光収入は1兆1667億6100万バーツと3.69%増を記録した。
2025年にタイを訪れた外国人観光客数を国・地域別にみると、最も多かったのはマレーシアで452万0856人となり、前年から8.71%減少した。中国からは447万3992人で33.55%の大幅減となった。インドは248万7319人で16.82%増、ロシアは189万8837人で8.80%増と拡大した一方、韓国は155万5227人で16.79%減少した。
観光収入額でみた場合、最も大きかったのは中国市場で、2498億7500万バーツとなったが、前年からは31.54%減少した。続いてロシアが1139億5000万バーツで9.77%増、インドが938億6200万バーツで22.61%増、マレーシアが886億4600万バーツで15.53%減、英国が745億1500万バーツで21.70%増となった。
2025年の観光市場では、複数の国・地域からの訪問者数が過去最高を更新した。インド人観光客は248万7319人、ロシア人観光客は189万8837人に達したほか、英国は108万3162人、ドイツは96万5898人、フランスは81万6935人と、それぞれ高水準を記録した。
こうした動きを支えた要因としては、「Amazing Thailand Grand Tourism and Sports Year 2025」に加え、観光・スポーツ振興イベントの実施、空港の旅客受け入れ能力の拡大、政府による渡航円滑化措置、さらには安全面に対する信頼醸成策などが挙げられる。
ナッタリヤー・タウィウォン観光・スポーツ省次官は、2025年は年間を通じてさまざまな課題に直面した結果、観光客数と総観光収入が前年を下回ったものの、全体としては過度に懸念すべき状況ではないとの認識を示した。そのうえで、質の高い観光客の増加が顕著だった点を強調した。
◆高付加価値型観光へ転換
同省は2026年に向け、体験価値やウェルネスを重視した高付加価値型観光を軸とする戦略と観光刺激策を策定しており、高所得層市場の取り込みを図る方針。加えて、既存の観光客層に対しても新たな旅行体験を提供し、再訪を促すことを目指すとしている。なかでも、安全性に対する信頼の向上は、観光客がタイを訪れるかどうかを判断する上で極めて重要な要素であり、政府として継続的に取り組む必要があると指摘した。
一方、タパニー総裁は2026年を新時代の観光戦略幕開けの年に位置付け、観光客の「数」よりも「収入」による価値を重視する「Value Over Volume」へと舵を切る意向を表明した。自然災害やオンライン詐欺問題、タイ・カンボジア国境紛争といったマイナス要因により外国人観光客の需要が減速し、タイ観光への信頼が損なわれている現状を受け、市場の方向性を調整し、攻めのキャンペーンで新たな機会を模索する考え。
2026年の外国人観光客目標3670万人のうち、70%にあたる2570万人がアジア・南太平洋を中心とした短距離市場、残り30%の1100万人が欧州、米国、中東、アフリカなどの長距離市場となる見通し。国内市場については、国民1人当たりの旅行頻度の向上による目標達成を目指す。
「2025年も状況は決して悪くはなかった。バンコクは3030万人以上の外国人訪問者を記録し、香港、ロンドン、パリを抑えて世界第1位の目的地としての地位を維持している。バンコクは観光客の心に強く残る選択肢であり、多様な質の高い観光客を惹きつけている」と同総裁は述べている。
2026年第1四半期のハイシーズンには、年末年始のカウントダウンイベントによる701億〜765億バーツの経済波及効果が期待されている。TATは全国9か所でイベントを主催または支援し、特にバンコクではアイコンサイアム、セントラルワールド、Mディストリクト、ワン・バンコク、アジアティーク、ラーチャマンカラ国立競技場での「ネオン・カウントダウン」などを支援した。また1月に公開を予定するリサさんのティーザー広告については、「Amazing Thailand」ブランドのコミュニケーションの一環で、タイの観光と文化のイメージを強化し、「LISAエフェクト」を波及させる狙いがあると説明した。発表イベントには海外から80〜100名のインフルエンサーを招待する予定だという。
TATは、観光客に信頼を与えるための「Trusted Thailand」認証プロジェクトを継続し、安全性のイメージ向上に努める。また、南部洪水からの復興支援として「Smile@Hatyai(ハジャイに笑顔を)」を掲げ、全てのセクターと連携してソンクラー県ハジャイの活気を取り戻す取り組みを12月20日から開始した。
新たな観光イメージの一つとして「ナイトツーリズム」も推進する。夜間の観光が安全であることを示すため、45日間にわたり開催された「Vijit Chao Phraya 2025」には170万人以上が来場し、55億バーツ以上の経済効果を生んだ。さらに、2026年2月にはナコンナヨック県のクンダーンプラカーンチョン・ダムで「UFOフェスティバル」を開催するなど、特定のサブカルチャー層を狙った新しい形式のイベントも準備している。
TATの「ニュー・タイランド」政策のもと、観光客の信頼を勝ち取り、価値ある体験を提供するため、2026年は「Amazing Thailand: Healing is the New Luxury」という新キャンペーンを展開する。「ヒーリング(癒やし)」をキーワードに、休息や活力回復、成長著しいウェルネス観光に焦点を当てる。
中国人市場については、2026年の目標を2024年と同等の670万人以上に設定した。SNSでのネガティブな噂や災害、近隣諸国との競争激化により450万人まで落ち込むと予測される2025年比で40%以上の成長を目指すものとなる。「日中摩擦でタイが一部恩恵を受けている面もあるが、中国人は韓国やベトナムといったタイの競合国も選択している。一方で、国王・王妃両陛下の公式訪中に対し、中国国民から大きな称賛の声があがったことは、中国のSNS上でのタイのイメージにプラスの影響を与えている」と述べた。26年には「中泰一家親(中国とタイは一つの家族)」という大型キャンペーンを実施し、1月にはメガ・ファムトリップ、2月には旧正月イベント、3月には上海での大規模ロードショーを行ない、4月のソンクラン祭りで世界中から観光客を呼び込む計画だ。
2月8日に総選挙が予定されているが、どの政党が政権を担おうとも、観光業はタイ経済を牽引するエンジンであり続ける必要がある。「観光業は中小零細から大企業まで幅広いサプライチェーンを抱えている。どの政府も国民の生活を重視し、観光業がタイ経済にプラスの影響を与え続けるよう推進すると信じている」とタパニー総裁。新政権発足後は、観光事業者の要望を反映した「ツアータイ・コンラクルン(タイ旅行半分ずつ)」プロジェクトや、国際線利用客に国内線無料航空券を支給する「Buy International, Free Thailand Domestic Flights」などの施策を提案する準備を整えているという。
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[データ]
外国人観光客数


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