2026年7月22日(水)号

タイ初の環境投資トークン=「BLU」が流通市場で取引開始

 タイ初の環境投資トークン「ブルー・グリーン・トークン(BLU)」が初回募集を完了し、7月20日に流通市場で取引を開始した。環境事業に関連する実物資産(RWA)のトークン化と普及に道を開くもので、タイの資本市場は持続可能な金融分野で新たな節目を迎えた。


 BLUを発行したのは、ディットー(タイランド)の子会社、サイアムTCテクノロジー社(STCT)。7月3~13日の募集期間中、全4億トークンを1トークン当たり1.20バーツで販売し、4億8000万バーツを調達した。発行は、証券取引等監視委員会(SEC)の認可を受けたICOポータル「トークンX」を通じて実施された。
 BLUは、マングローブ林から創出される炭素クレジットを裏付けとするタイ初のデジタル投資トークン。調達資金は、商業ベースで炭素クレジットを創出するマングローブ林再生事業に充てられる。BLUは7月20日、ビットカブのデジタル資産取引所で取引を開始し、投資家は流通市場でトークンを売買できるようになった。流通市場への上場によって流動性を確保できるため、重要な一歩とみられている。流動性の確保は、個人投資家と機関投資家の双方にデジタル投資トークンが広く受け入れられるための主要な要因の一つとなる。
 ディットーのタコーン・ラタナカモンポーンCEOは、募集には機関投資家、個人投資家、大企業から強い関心が集まったと述べた。投資家には、持続可能性に関連する投資への参加を求める食品サプライチェーンの企業も含まれる。同氏は、今回の資金調達の成功について、実際の環境事業と結び付いたデジタル資産に対する投資家の信頼が高まっていることを示すと指摘した。金融のリターンと持続可能性に関する目標を組み合わせた、新たな投資手段も提供するという。
 タイの資本市場にとって、BLUの成功は、実物資産をどのようにトークン化できるかを示す事例となった。投資家は従来、参加が難しかった事業へ資金を投じることが可能となり、気候関連事業にとっても資金調達先が広がる。
 トークンXのヂッティナン・チャートシーハラートCEOは、今回の案件について、ブロックチェーン技術によって実物資産を投資可能なデジタル商品へ転換できることを示したと述べた。代替投資市場の拡大に寄与し、タイのデジタル資産エコシステムの長期的な成長を支えるという。流通市場への上場により、トークン保有者には市場での価格形成と流動性が提供され、エコシステムの強化にもつながると説明した。
 インフラ、再生可能エネルギー、その他の持続可能性に関連する資産を裏付けとする同様の商品を、より多くの発行者が投入する契機になる可能性もあるとの見方を示した。
 画期的な商品ではあるものの、SECは、BLUがデジタル投資トークンであることに変わりはなく、投資家は潜在的な収益と関連するリスクの双方を検討する必要があると注意を促している。通常の株式や債券とは異なり、投資収益は、炭素クレジットの創出や収益化を含む基礎事業の実績に左右される。
 流通市場でのトークン価格も、需給、投資家心理、炭素クレジット市場への期待などに応じて変動する可能性がある。流通市場で取引されることで流動性が高まる可能性はあるが、トークン化された実物資産の市場はタイでまだ初期段階にある。このため、取引開始当初の売買高は限られそうだ。投資家は投資前に、事業の仕組み、トークンに付随する権利、予想されるキャッシュフロー、規制に基づく開示内容を理解する必要がある。
 今回の発行成功は、持続可能な実物資産を裏付けとするデジタルトークンが、資金調達と投資の手段としての重要性を増す新たな段階に入ったことを示している。SECは、こうした商品が従来の資本市場の商品を補完し、環境への負担が少ない経済へ移行する動きを支えると期待している。

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