タイ・オーストラリア首脳会談=戦略関係の深化を確認
アヌティン首相兼内相とオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は8月19日、キャンベラの国会議事堂で全体会合を開き、その後、共同記者会見に臨んだ[=写真]。国境を越える犯罪への対応や経済・貿易、イノベーション、人的交流などで戦略的パートナーシップを深め、具体的な成果につなげる方針を確認した。

タイ側からは副首相兼財務相、副首相兼外相、労相、文化相、農業・協同組合副相が参加した。オーストラリア側からは副首相、内相、外相、国防相、科学相、貿易・観光相、気候変動・エネルギー相が出席した。
ラチャダー・タナディレーク政府報道官によると、アヌティン首相は、両国が共通して直面する課題への対応を強化し、国民に具体的な利益をもたらすため、タイ・オーストラリア戦略的パートナーシップを一段と緊密にする決意を示した。首相は、今回がタイ首相による14年ぶりのオーストラリア公式訪問になったことを示したうえで、両国が2027年に外交関係樹立75周年を迎えるのを前にした重要な時期の訪問で、二国間関係にとって大きな節目になると述べた。
タイとオーストラリアは2020年に二国間関係を戦略的パートナーシップへ引き上げ、その後も協力分野を広げてきた。今回の首脳協議では、政治・安全保障、経済・貿易・イノベーション、文化・人的交流、地域・多国間協力の4分野を中心に意見を交わした。
◆越境犯罪への対応強化
第1の政治・安全保障分野では、従来型の安全保障課題に加え、新たな脅威への対応を強化することで一致した。特に国境を越える犯罪を重視し、既存の協力枠組みを活用しながら、複雑化し急速に変化する脅威に対応する新たな協力も進める。
第2の経済・貿易・イノベーションでは、地政学や地経学の変化を踏まえ、両国の経済的な結びつきをさらに強める必要性を確認した。双方向の貿易・投資を増やし、成長が期待される産業やイノベーション分野で協力を広げ、経済の強靱性と共通の繁栄につなげる。
第3の文化・人的交流では、教育、イノベーション、人材育成を通じ、将来必要となる技能を高める。アヌティン首相は、オーストラリア社会で重要な役割を果たしているタイ人コミュニティを評価した。タイが引き続きオーストラリア人観光客の主要な旅行先になっていることにも触れ、両国の人的なつながりの強さを強調した。
第4の地域・多国間協力では、アセアン、エーヤワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略(ACMECS)、メコン・オーストラリア・パートナーシップなどの枠組みを活用する。首相は、タイのOECD加盟手続きに対するオーストラリアの継続的な支援に謝意を示した。
◆越境犯罪・経済で2文書
アヌティン首相は、今回の協議で具体的な成果が得られたとして、戦略的パートナーシップを進展させる重要文書2件を歓迎した。一つは「国境を越える犯罪に関する共同声明(Joint Statement on Transnational Crime)」。サイバー犯罪、オンライン詐欺、人身売買、麻薬、マネーロンダリングの防止・取り締まりについて、二国間だけでなく地域・世界レベルでも協力を深める。両国国民の安全に直接影響する越境型の脅威への対応力を高める。
もう一つは「経済関係の深化に関する首脳声明(Leaders’ Statement on Deepening Economic Engagement)」。タイ・オーストラリア自由貿易協定(TAFTA)を最大限に活用し、重要分野の貿易・投資を拡大する。ルールに基づく多国間貿易体制を支え、両国の経済安全保障を強化する方針も盛り込んだ。
科学・研究・イノベーション分野では、タイの国家科学技術開発機構(NSTDA)とオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)が協力拡大に向けた意向書を作成したことを両首脳が歓迎した。
◆国防相会合を2年ごとに
安全保障分野では、オーストラリア側がタイ・オーストラリア国防相会合を2年ごとに開催する案を示し、アヌティン首相が歓迎した。両国の国防協力を強化し、インド太平洋地域の平和と安定に寄与する狙いがある。両国国防省は新たな会合の早期実現に向け、調整を急ぐ。
首相は、戦略的パートナーシップが今後の両国関係の重要な基盤になると強調した。経済、安全保障、技術革新、人的交流の各分野で新たな機会を生み出し、両国の関係をさらに緊密にできるとの期待を示した。アルバニージー首相やオーストラリア政府、国民から受けた歓迎にも謝意を表明した。外交関係樹立75周年に向け、オーストラリアと緊密に協力し、戦略的パートナーシップを一段と発展させ、両国国民に具体的な利益をもたらす考えを強調した。
アルバニージー首相も、幅広い分野でタイとの協力をさらに深める用意があると表明した。特に国境を越える犯罪の防止・取り締まりと経済協力を重視する考えを示した。今回のオーストラリア訪問にアヌティン首相がタイの民間企業代表団を同行させたことも歓迎した。政府間だけでなく、民間企業を含めた経済関係の拡大につながるとの期待を示した。
アルバニージー首相は、アヌティン首相から受けた2027年のタイ公式訪問への招請も受諾した。両国は外交関係樹立75周年を迎える来年に向け、政治・安全保障、経済、技術革新、人的交流を柱に関係をさらに深める。
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