エークニティ氏、タイ経済は転換期=民間投資13.4%増、新産業が牽引
エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相は8月17日、2026年第2四半期のタイ経済について、エネルギー高やインフレで消費が鈍化する一方、民間投資や電子製品の輸出が伸び、新たな成長産業への移行が始まっているとの見方を示した。政府は短期的な景気下支えとエネルギー構造の転換、新産業への投資を並行して進める。自身のFacebookに投稿した。

国家経済社会開発評議会(NESDC)が発表した第2四半期GDPは前年同期比1.9%増となり、第1四半期の2.8%増から減速した。エークニティ氏は、財務省や政府の経済チームが想定していた水準に近いとした。
◆物価高で消費鈍化
第2四半期には、中東での戦争の影響が石油価格の上昇から物価全般に広がった。インフレ率は第1四半期のマイナス0.5%から第2四半期には2.7%へ上昇した。
生活費の上昇を受け、民間消費の伸び率は第1四半期の3.3%から第2四半期には1.9%へ鈍化した。
エークニティ氏は、物価上昇と購買力低下の循環を止めなければ、家計への打撃が深まり、最終的には景気後退(リセッション)につながるおそれがあると指摘した。政府が4000億バーツ借入の緊急勅令を発令した背景にも、こうした景気下振れへの警戒があると説明した。
借入金は現在、「タイチュアイタイ・プラス」事業などを通じ、家計の購買力や生活費の支援に充てている。第4四半期も同事業を続けるかは、第3四半期で終了する第1段階の効果や残る予算を検証して判断する。
◆経常赤字176億㌦
第2四半期の経常収支は176億㌦の赤字となり、約6000億バーツに達した。第1四半期は約14億㌦の黒字だった。
エークニティ氏は、大幅な赤字転落がタイのエネルギー輸入依存の高さを改めて示したと指摘した。化石燃料への依存を減らし、クリーンエネルギーへの転換を急ぐ必要があるとした。
政府が計画する2000億バーツ規模のエネルギートランジション事業では、ソーラールーフトップ、電力網、蓄電システム、EVなどへの投資を想定する。
エークニティ氏は、一時的な景気刺激のための借り入れではなく、将来のインフラを形成する投資だと説明した。国内のエネルギー生産・管理能力を高め、燃料輸入を減らすことで、国際的な石油・ガス価格の変動による影響を抑える。民間投資を呼び込む基盤にもつなげる。
イランでの戦争をタイのエネルギー政策にとって「転換点であり警告でもある」とした。中東情勢の悪化はエネルギーや輸送、商品価格を通じて家計の生活費に直接波及するため、輸入燃料や世界市場の価格変動への依存を早期に減らす必要があるとした。
こうした投資は、エネルギー省の電源開発計画(PDP)が掲げる発電能力の拡大やクリーンエネルギー利用の拡大にも沿うとした。
◆民間投資13.4%増
一方、第2四半期の牽引役となったのが民間投資だ。前年同期比13.4%増と過去11年間で最も高い伸び率となった。第1四半期も10.1%増で、2四半期連続の2桁成長となった。
背景には投資委員会(BOI)の投資迅速化策「タイランド・ファストパス」などがある。第2四半期に実際に実行された民間投資額は2550億バーツに達した。
投資先は電子、AI、クリーンエネルギー、農産物加工などのS字カーブ産業が中心となっている。
物品・サービスの輸出数量も第1四半期の12.1%増から第2四半期には12.5%増へ伸びた。主力は電子製品で、世界需要の拡大と国内で進む新産業への投資が連動していると分析した。
◆新産業を国内経済へ
エークニティ氏は、海外からタイが世界的な「新産業革命」の恩恵を受ける可能性を持つ新興国の一つと評価されていることを重視する。
焦点は新産業を誘致するかどうかではなく、投資機会を実際につかみ、タイをグローバル・サプライチェーンに組み込み、その利益を国内産業へ波及させられるかにあるとした。GDPを構成する各種指標を詳しくみると、タイ経済はすでに世界の「ニューエコノミー」の一部へ移り始めているとも指摘した。
政府は現在、世界の産業構造の変化を反映するため、経済関連指数の分類方法を見直している。新産業の拡大が統計にも一段と明確に表れるようになるという。
◆景気支援と構造転換を並行
エークニティ氏は、第2四半期の経済成長率について「まだ満足できる水準ではない」としながらも、政府の予測やこれまでの景気下支え策がおおむね想定した方向に進んでいることを示す数字だと評価した。
現在のタイ経済について、政府は景気を支えながら経済構造を転換し、潜在成長力を最大限に引き出す段階にあるとした。
第2四半期には新たな成長エンジンが伸び始める兆候も確認できたとしている。今後は短期、中期、長期の政策を組み合わせ、すでに着手した経済構造改革と景気回復策を中小企業(SME)や幅広い産業へどう波及させるかが課題になるとした。
エークニティ氏は、今後Facebookへの第2回の投稿で、タイ経済が今後どこへ向かうのかを取り上げ、短中長期の政策や構造改革、SMEへの波及策を説明する考えを示した。
[経済ニュース]
7月の農業所得指数9.99%上昇=農産物価格が11.65%高
財務省がSLBを9月発行=気候・生物多様性に連動
食品・ホテル展示会=食を誘客の柱に
パット・グループ=20日にmai市場上場
センシリが野村不動産と初協業=サートンで45億バーツ高級住宅
PFが121億バーツ資産売却へ=社債償還・借入金返済に充当
商銀融資、4~6月2.0%増も=SME・個人向けは縮小
外国投資37%増、2192億バーツ=中国が件数首位、EECも増加
7月新設企業7512社=資本金3.5倍、外国投資37%増
バンプー、上期純利益6100万㌦=統合完了、4事業軸に成長加速
IRPC、4~6月純利益63%減=資産活用で成長基盤を強化
CPエクストラ、上期収入3.6%増=オンライン販売29%超増
タイ商議所、対ロ貿易拡大へ=EAEUとのFTA提唱
[トピックス]
タイ産タピオカ澱粉=関税優遇追い風に米大手と商談成立
[社会ニュース]
移民子弟1366人を不正登録=公務員3人含む7人逮捕
首都鉄道4者がバス公団と連携=運休時に代替バス運行
4省が「奇跡の2500日」で連携=妊娠前から5歳まで
[企業紹介]
JSP、包装材危機を事業継続力に転換=CVCと海外市場で売上高100億バーツへ
[BOI認可事業]
7月22日認可した4事業
[データ]
農水産物の生産指数
農水産物の庭先価格指数

コメント