2026年9月28日(月)号

アヌティン首相、洪水対応で臨時閣議=首都圏4都県、28・29日を特別休日

 アヌティン首相兼内相は9月27日、バンコクや首都圏、中部、東部で拡大する洪水への対応を最優先する方針を示した。閣僚に当面の海外出張を控えるよう指示し、自らも残っていた海外日程を切り上げて帰国。バンコクの避難所や排水状況を視察した後、午後2時から臨時閣議を開いた。閣議は28、29日をバンコク、ノンタブリ、パトゥムタニ、サムットプラカンの4都県で特別な政府機関休日とすることを決めた。長期対策では、北部から中部、首都圏へ流入する水をタイ湾へ逃がすチャイナート~パーサック~タイ湾排水ルート事業を29日の閣議に諮る。国家経済社会開発評議会(NESDC)が費用対効果や必要性を確認しており、予算局は2027年度予算に事業費の一部を計上している。
◆激しい雨、排水能力上回る
 首相は27日午前11時前、ドンムアン空港で記者会見し、海外で公務に当たっていた過去1週間、各地で大量の雨が降り、バンコク、首都圏、中部周辺県などで洪水が発生したとの報告を受けていたと説明した。
 地域ごとの洪水対応を担当する副首相や閣僚、関係機関と緊密に連絡し、複数地域で被害が拡大した後はオンライン会議を開催。残っていた海外日程を切り上げ、現場での対応や関係機関との調整、意思決定に直接当たることを決めた。


 今回の冠水は、広範囲で激しい雨が長時間続き、地域の排水能力を上回ったことが大きな要因。北部から流入する水については、灌漑網を使って分散して排水し、水量が一時期に集中しないよう管理する。ダムからの放流量も、下流地域への影響を最小限に抑えるよう調整している。
 気象局は27日も中部や東部などで雨が続くとして警戒を呼びかけた。28日以降は雨量が減る見通しだが、一部地域では引き続き大雨に注意が必要としている。首相は状況を緊密に監視し、必要な対応に備えるよう関係機関へ指示した。
◆全機関を統合、「まず国民を助ける」
 バンコクでは国防省、内務省、農業・協同組合省が重機、排水ポンプ、トラック、ゴムボートを投入している。バンコク都庁は被災者向け避難所を開設し、寝たきり患者、脆弱層、高齢者、常時介助が必要な人を病院へ移送した。
 首相は、対応に当たって機関の所管を区別せず、一体となって活動するよう指示。「まず国民を助ける」ことを基本原則とし、人命と財産の安全を最優先するよう求めた。
 バンコクでは、チャッチャート・シティパン都知事が全50区を災害被災地域に指定しており、政府はバンコク都庁(BMA)と全面的に連携する。救済金や補償金についても、防災・災害軽減法の条件に沿い、ほかの被災県と同じ基準を適用する。
 首都圏周辺や各被災県では、内務次官に対し、県知事が現場で十分な権限を持って迅速に判断できるよう調整を指示した。中部地域の対応を担当するエークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相からは、被災した全県で緊急災害時の予算枠を増額し、各県知事が必要な支出を直ちに認可できる態勢を整えたとの報告を受けた。
 全都県の知事には、被害状況と住民支援の実施内容を内務次官へ毎日報告するよう求めた。対応が滞っている地域や原因、障害、追加で必要な支援を把握し、内務次官から首相へ報告する仕組みとする。
 政府報道官には関係政府機関の情報を集約するよう指示。総理府広報局と国営放送MCOTにも、住民へ迅速かつ継続的に情報を発信するよう求めた。スパマート・イサラパクディ総理府相が政府広報機関を統括し、各政府機関、広報局、MCOTの情報を連携させる。
◆水が引いた地域から復旧
 被災者への救済では、補償や損害への支払いを可能な限り早める。内務省が被災者名簿を速やかに作成し、法令に基づく支援対象世帯の被害状況を調査。防災・災害軽減局と地方行政振興局が救済措置の認可を急ぐ。
 復旧についても、従来のように市内全域で水が引くまで待つのではなく、水が引いた地域から直ちに着手する。内務次官が被害状況を確認し、各県知事に区域ごとの復旧計画を策定するよう求める。
 首相は昨年末のハジャイ洪水から得た教訓を生かし、道路再開、システム点検、電力・水道の復旧、ごみ収集、保健対応まで一体的に進めると説明した。住民ができるだけ早く通常の生活へ戻れるようにする。
 住宅や家財、車両などに保険契約があり、保険金請求で問題が生じた場合は、保険業監督委員会事務局(OIC)へ連絡するよう呼びかけた。OICが保険会社と調整し、契約条件に基づく保険金を迅速に受け取れるよう支援する。
◆バンケン避難所を視察
 首相は会見後の午前11時半過ぎ、都内ラクシー区タラートバンケンにあるバンケン学校の避難所を訪れた。ルアムパッタナ・コミュニティ周辺とプレムプラチャーコーン運河の水位、排水状況を確認し、被害や排水作業の進捗について説明を受けた。
 関係機関による洪水対策と住民支援を確認した後、避難所で被災者と面会。生活上の問題を聞き取り、生活必需品セットを配布した。
 政府と関係機関が必要な機材や生活用品を用意し、食料、医薬品、避難所などを確保して被災者への負担をできる限り減らすと説明した。
 自宅や財産を心配して避難をためらう住民がいることにも触れ、高齢者、寝たきり患者、脆弱層については、安全を確保しながらきめ細かい支援を受けられる避難所を利用するよう呼びかけた。
 首相はバンコクに続き、サケーオ、プラチンブリ、ナコンナヨック、アユタヤ、パトゥムタニなどの被災県も訪れる予定。現地で住民を激励し、県知事や職員から対応上の問題や障害を聴取するほか、政府の指示が迅速に実行されているか確認する。
◆4都県、28・29日を特別休日
 午後2時には総理府で、ビデオ会議を併用した臨時閣議を開催した。過去2~3日にバンコク首都圏、中部、東部などで冠水が拡大したことを踏まえ、全都県の知事に避難所、食料、生活必需品、医療・保健サービスを準備し、住民支援を継続できる態勢を確保するよう改めて求めた。
 臨時閣議では、28、29日をバンコク、ノンタブリ、パトゥムタニ、サムットプラカンの4都県で特別な政府機関休日とすることを決定した。洪水時の移動を減らし、住民が自身や家族の安全確保に当たれるようにする。高速道路の無料措置も29日夜まで延長する。
 首相は臨時閣議に先立ち、パコーン・ニラプラパン副首相と特別休日の設定について協議していた。月曜日や火曜日に裁判所への出廷、証言、行政機関への出頭を予定している住民が洪水で移動できない場合、法的手続きで不利益を受ける可能性があることも考慮した。
 冠水が続く地域では学校への移動も困難で危険になるため、児童・生徒や保護者の安全に配慮し、地域の状況に応じた対応が必要としていた。
◆29日に大型排水事業を審議
 長期的な洪水対策では、チャイナート~パーサック~タイ湾排水ルート事業を前進させる。
 首相は就任当初からNESDCに対し、同事業の実施準備を急いで調査し、報告するよう求めていた。NESDCは費用対効果があり、国内上流部からの排水効率を高め、中部、首都圏、バンコクへの大量の水の流入を抑えるうえで必要との結論をまとめた。
 首相はスリヤ・ジュンルンルアンキット農業・協同組合相とすでに協議しており、NESDCも関係政府機関から意見を聴取済み。29日の閣議で事業実施の承認を求める。予算局は2027年度予算に事業費の一部を計上している。
 首相は当面、閣僚全員に海外出張を控えるよう指示し、自身も洪水対応に集中する。閣議で状況を継続して確認し、実情に合わせて対応を調整する。
 政府は、住民が通常の生活に戻り、仕事や商売を再開し、安全に移動できる状態を早期に取り戻すことを目指す。首相は被災者に激励と気遣いを伝え、政府職員や救助隊への理解と協力に謝意を表明。状況を収束させ、国民の日常をできるだけ早く取り戻すため、あらゆる対応に全力を挙げると述べた。

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[閣議決定]
9月22日

[為替・株式相場]
9月21~9月25日

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バンコク首都圏の燃油小売価格
天然ゴム)

[金融市場]
外為相場
商業銀行預金・貸出金利

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