2026年10月9日(金)号

自動車物品税、新税率を今月中に確定へ=国内生産を優遇、輸入EVは高税率

 タイ政府は、自動車メーカーによる国内生産や投資を促すため、新たな自動車物品税率を今月中に確定する方針だ。エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相[=写真]は、新税率について来週か再来週にも結論が出るとの見通しを示した。国籍を問わず、タイに生産・投資基盤を持つ企業が公正に競争できる環境をつくる。
 10月6日の閣議では、国家EV政策委員会(EVボード)が9月10日に承認した物品税制度見直しの基本方針について報告を受けた。EVボードは、国内投資や国産部品の使用状況に応じて税率に差を設ける3段階方式を採用する方針を決めている。
 エークニティ副首相兼財務相は、タイに投資する企業が公正な競争環境を確信できる制度にする考えを強調した。貿易摩擦や国ごとに異なる関税条件によって生じる競争上の格差を、物品税制度を使って緩和する考えだ。
 3段階方式では、国内投資や国産部品の使用比率が高いEVに最も低い税率を適用する。国内に生産基盤を持つものの輸入部品への依存度が高い車両には中間の税率を設定し、完成車として輸入し、国内生産への投資を伴わないEVには最も高い税率を課す。
 新制度には、国内での自動車産業への投資を増やし、右ハンドル車を中心にタイを輸出拠点へ発展させるほか、国産部品の使用を増やして国内サプライチェーンを強化する狙いがある。EVボードは、輸入を実際の国内投資につなげる、高付加価値部品の国内調達を増やす、公平な競争環境をつくることなどを基本原則に掲げた。
 タイで事業を展開する日本の自動車メーカーは、中国製EVとの競争が激しくなるなか、タイ国内の生産基盤を守る支援策を政府に求めてきた。アセアン・中国自由貿易協定(ACFTA)の原産地規則を満たす中国製EVは輸入関税がゼロとなるため、政府は物品税を使って国内生産との競争条件を調整する方針だ。
 財務省は、完成車として輸入されるEVの物品税を現在の10%から30%程度まで引き上げる案を検討している。ただ、具体的な税率は確定しておらず、物品税局が自動車業界などと協議を続けている。9月時点では31~39%とする案も浮上していたが、エークニティ副首相兼財務相はその後、最高税率は30%程度になる可能性を示した。
 現在は、完成車として輸入するEVに10%、BOIの投資奨励を受けてタイ国内で生産するEVに2%、その他の国内生産EVに8%が適用される仕組みとなっている。新制度では、この税率差を国内投資や国産部品の使用状況により明確に反映させる。
 エークニティ副首相兼財務相は同日、「タイ日投資フォーラム2026」で日本の投資家向けに講演し、日本企業が1980年代以降、タイを主要な生産拠点として発展させ、経済成長を支えてきたと評価した。
 タイは日本からの投資でも新たな段階に入り、政府は質の高い投資主導型成長を軸に、より高度な産業や技術への投資を呼び込む方針だ。
 資本市場では、投資委員会(BOI)とタイ証券取引所(SET)が連携する「BOI to IPO」を活用し、BOIの投資奨励を受けた企業によるタイ証券取引所への上場を支援する。政府はファストトラックやスーパーファストトラックを用意し、手続きを迅速化する考え。エークニティ氏は、日本企業が同制度を利用して上場する最初の企業になることへの期待も示した。

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