金属・ゴムスクラップの禁輸提案=有害廃棄物流入阻止へ
関税局は10月21日、商業省国際貿易局に最至急扱いの文書を送り、金属スクラップとゴムスクラップを輸入禁止品に指定するよう提案した。電子廃棄物や有害廃棄物を金属スクラップなどに混入させる密輸を抜本的に防ぐ狙い。これに対し、国際貿易局は関係機関と連携して違法輸入の取り締まりを強化するとともに、産業界が必要とする良質な金属スクラップの適法な輸入は引き続き支援する方針を示した。
パントーン・ローイクンナン関税局長[=写真]によると、各地で産業廃棄物や電子廃棄物を扱う違法な事業所や保管場所が見つかり、化学物質の漏出、大気汚染、国民の健康被害への懸念が高まっている。海外から大量に流入する有害廃棄物への断固とした対応を求める声を受け、輸入段階での規制強化を提案した。
2026年1~9月の鉄スクラップ、アルミ・スクラップ、銅スクラップの輸入額は計711億9300万バーツ、輸入量は少なくとも276万㌧にのぼった。コンテナ数では月平均1万4600個に相当する。数量が最も多い鉄スクラップは212万㌧で、月当たり約1万279個のコンテナが輸入されている。
パントーン局長は、商業省が2020年から電子廃棄物の輸入を禁止しているものの、違反者が金属スクラップやゴムスクラップの輸入の抜け穴を利用し、虚偽申告や有害廃棄物の混入を行なっていると指摘した。
関税局は2026年度に有害廃棄物と電子廃棄物を計1029万kg押収し、このうち529万kgをすでに返送した。ただし、すべてのコンテナを開封して検査すれば、産業界のコストや検査・通関時間に影響するため、全件検査には限界がある。
◆全面禁止まで6~12か月の移行期間
関税局は汚染管理局、工場局と協力し、プラスチック・スクラップと同様の方針で、関税分類番号72.04、74.04、76.02の金属スクラップと、同40.04のゴムスクラップの輸入を禁止する布告の制定を提案した。
輸入原料を引き続き必要とする国内の金属溶解・加工工場41事業者への影響を軽減するため、6~12か月の移行期間を設ける。移行期間中は金属スクラップとゴムスクラップを輸入許可が必要な品目に指定し、実際に原料として使用する工場事業者に限って輸入を認め、仲介業者は対象外とする案だ。許可に当たっては、国内原料が実際に不足しているかどうかも評価する。
また、輸入者には毎回、輸出前検査証明書の用意を求める。電子廃棄物の混入が見つかった場合には、直ちに返送するための費用を輸入者が負担する仕組みとする。
関税局は関係機関に対し、国内原料の供給量や関連産業への影響の評価を急ぐよう求めている。全面禁止の施行日を決め、適切な対応措置を準備するための判断材料とする。あわせて、関税局、国際貿易局、汚染管理局、工場局の4機関による緊密な情報交換の仕組みを設けることも提案した。移行期間中の輸入許可を監督するとともに、措置の施行後に別の関税分類で虚偽申告し、規制を逃れる行為を監視する。
パントーン局長は、タイが海外の有害廃棄物の受け入れ先になることを防ぐには、関係機関の情報共有と監視が重要だと強調した。一方、環境と国民の健康を守りながら産業界の長期的な安定も維持するため、国内原料の供給が十分かどうかを慎重に見極める必要があるとした。
◆国際貿易局、輸出元への働き掛けも強化
国際貿易局のアーラダー・フアントーン局長は、厳格な貿易措置によってゴミや廃棄物の違法輸入を継続的に阻止する方針を示した。
同局はこれまで、汚染管理局の要請に基づき、都市ゴミ、電子廃棄物、プラスチック・スクラップ、使用済みタイヤ、ゴムスクラップを輸入禁止品に指定する商業省布告を出してきたと説明した。措置の策定では政府、民間、市民社会を含む関係部門と協議しており、今後も布告を厳格に適用する。汚染を引き起こすおそれのある廃棄物や、処分に制約のある廃棄物の流入を防ぎ、環境問題を発生源から抑える考えだ。
輸出元への働き掛けも進めている。在タイの各国大使館に対し、各国の輸出業者がタイの法律と輸入禁止措置を厳守するよう、監督や注意喚起への協力を要請した。禁止品がタイに向けて発送されること自体を防ぐ狙いがある。
国内では関税局、汚染管理局、工場局などと緊密に連携し、情報の確認と共有を通じて輸入監督の効率を高めている。特に、金属スクラップに電子廃棄物などの禁止品を隠したり、貨物の内容を事実と異なる形で申告したりする行為の防止を重視する。
さらに、貨物のリスク評価に関する合同検査の方針策定や、各機関の法的枠組みに基づく追加基準の導入についても協議している。禁止品が金属スクラップに紛れて流入することを厳しく防ぐ一方、産業部門に必要な良質の金属スクラップについては、適法で透明性があり、検証可能な形で輸入できるよう円滑化を進める。
国際貿易局は、関係機関との協力によって輸入監督を実効性のあるものとし、違法な廃棄物流入と汚染リスクを低減する方針。国民の健康と安全、環境の保護を徹底しながら、法令に適合した貨物の輸入を支援するとしている。
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