今年の自動車生産台数=FTIが再度の下方修正へ
タイ工業連盟(FTI)は今年通年の自動車生産台数目標を下方修正する。国内市場の収縮に加え、輸出も減少しているため、FTI自動車部会が7月時点で目標に定めた170万台の達成は困難な情勢。1~9月の生産台数は約113万台にとどまっている。
FTIが今年初め時点で定めた生産台数目標は190万台だったが、7月に20万台下方修正していた。FTI自動車部会のスラポン・パイシットパタナポン広報担当は10月24日、今月中に関係者による会議を開き、生産目標のもう一段の下方修正について協議すると語った。少なくとも10万台の下方修正を予定している。
年初から9月までの生産台数は前年同期比で18.61%減少している。国内市場が収縮していることで国内市場向け生産台数は前年同期比38.57%減少した。家計債務の膨張により購買力が低下し、金融機関は自動車ローンの不良債権の増加から新規の自動車ローンの実行に慎重になっている。自動車ローンの拒否率は50~60%に達している。FTIによれば、9月の国内新車販売台数は3万9048台にとどまっており、直近の53か月で最低水準へと減少した。
自動車ローンの要注意債権(SM)は今年7月時点で2085億7500万バーツ、不良債権は2593億3000万バーツに達している。国内の新車市場は中国のEVメーカーの参入により競争が激化し、自動車の価格は下がり続けている。ハイヤーパーチェス・ローンが払えずにセールバックされる車が急増しているため、中古車市場も供給過剰から値下がりしている。金融機関はセールバックによって損失を被るリスクを抱えている。景気が良くなり、自動車ローンの債権の質が改善に向かわない限り、自動車ローンの市場が回復する見込みはない。
こうした国内市場の不振を反映し、1~9月の国内市場向け生産台数は約35万台にとどまった。例年、最終四半期は最も新車が売れる季節だが、FTIが目標とする通年55万台には届きそうにない。
一方、輸出はここにきて減少幅が大きくなっている。スラポン氏によれば、自動車輸出はここ数か月、中東情勢悪化の影響を受けている。9月の輸出台数は約8万254台で、前年同月比17.67%減となった。1~9月の輸出台数は76万8887台で、前年同期比6.45%減となっている。9月の輸出向け生産台数は8万7666台、前年同月比で15.78%減少した。1~9月の輸出向け生産台数は約77万台(前年同期比4.42%減)にとどまっており、通年で115万台の目標達成は困難になっている。
アセアン向け輸出が減少
カシコン・リサーチ・センター(Kリサーチ)は自動車輸出の減少の主因にアセアン向け輸出の減少を挙げている。24日付けのレポートでは今年のタイの自動車輸出は前年比6%減にとどまると予測した。アセアンの乗用車市場におけるシェアの低下によるもので、中国によるバッテリーEVの輸出攻勢と日本によるハイブリッド車の輸出増が背景にある。
Kリサーチは今年通年のタイの自動車輸出が105万台にとどまり、前年の111万7539台から6%減少すると見積もった。タイの輸出全体の約4分の1を占め、2番目に大きな輸出市場であるアセアン向け輸出の減少が響く。同レポートによれば、今年1~7月のタイのアセアン向け乗用車(HSコード8703)の輸出台数は前年同期比19%減、商用車(HSコード8704)の輸出台数は同3%減となった。
タイは2017年以降、乗用車のアセアン向け輸出で首位の座にあったが、今年は中国、日本に抜かれて3位に転落している。2021年にはアセアンの輸入車市場で39%のシェアを有していたが、今年1~7月は23%にとどまった。21年に16%だった中国は29%でトップに立ち、21年に25%だった日本は27%でタイを抜いている。
中国と日本のシェア拡大は、バッテリーEVとハイブリッド車の輸出が牽引している。アセアン各国政府による環境負荷低減措置の恩恵を受けた。タイ国内市場も同様の理由からバッテリーEVとハイブリッド車のシェアが伸びており、これら環境にやさしい車の生産が増えているものの、生産を始めたばかりであるため、国内市場向け生産を優先している。
エンジン車ではインドネシアのアセアン向け輸出が特に小型乗用車で伸びており、タイを急追している。フィリピンやベトナムなど国民の購買力がまださほど高くない国で、割安な小型乗用車の市場が拡大している。
国家半導体政策委員会=首相を委員長に発足
投資委員会(BOI)事務局の10月25日の発表によれば、ペートンターン首相は「国家半導体・先端エレクトロニクス政策委員会」を設置する総理大臣命令第379/2567号を発令した。首相自ら委員長を務め、ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相が副委員長に就任する。ナリット・トゥードサティラサック事務局長によれば、半導体および先端エレクトロニクス産業を推進するための戦略を同委が策定する。
委員には高等教育・科学・研究・技術革新相、デジタル経済社会相、エネルギー相、工業相に加え、国家経済社会開発評議会(NESDC)事務局長、職業教育委員会事務局長、タイ工業連盟(FTI)会長、チャヨーティット・クリダーコン・タイ通商代表、ウティナン・ヂアムサックシリ・マイクロ・エレクトロニクス技術センター(TMEC)所長、スパコン・コンソムチット氏(首相の政策チーム海外投資担当)を委員とし、BOI事務局長が委員兼書記を務める。
同委は政策の方向性と半導体および先端エレクトロニクス産業の開発目標を定め、投資奨励、適切な優遇措置、高等教育と職業教育における高度人材の開発、サプライチェーン開発、産業の強化に必要なエコシステムの開発を含む具体的であらゆる側面を網羅した産業の発展のためのマスタープラン(ロードマップ)を作成する。また半導体および先端エレクトロニクス産業の発展に関連する政府機関の計画やプロジェクトを検討する責任も負う。
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