セミコンダクター委が初会合=5000億バーツ誘致目標
国家半導体・先端エレクトロニクス産業政策委員会(セミコンダクター委)は12月4日にペートンターン首相を議長に開いた会議で向こう5年間に5000億バーツの投資を誘致するとした目標を定めた。合わせてタイを半導体の生産拠点に開発するためのロードマップを策定する小委員会を設置することを決めた。
セミコンダクター委の書記を務めるナリット・トゥードサティラサックBOI事務局長によれば、会議では「半導体・先端エレクトロニクス産業開発の戦略枠組み(National Semiconductor and Advanced Electronics Strategy)」を承認した。半導体産業への投資を支援する戦略的人材育成計画を了承した。戦略の策定を監督し、人材育成を推進するため、2つの小委員会を設置する。タイが地域の半導体・先端エレクトロニクス生産の中心になるため、2025~29年の5年間に5000億バーツの投資を誘致するとした目標を定めた。
現在、半導体産業、特にチップやプロセッサーは世界の重要な戦略産業とみなされ、急速に成長している。市場価値は2030年までに1兆㌦に達すると予想されている。AI、データセンター、IoT、EV、医療機器、スマート・エレクトロニクス、オートメーション/ロボティクスなどの新たなテクノロジーは、コンポーネントとして最新の半導体で作られた処理装置を必要とする。
世界のエレクトロニクス産業においてタイは長らく一定の地位を確立してきた。2023年にエレクトロニクス・電気産業の輸出額は2兆5000億バーツに達している。国の輸出全体の25%をこの産業が占めている。集積回路(IC)、ダイオードなどの半導体製品の輸出額は5100億バーツを数える。タイはまた同産業の川中から川下のサプライチェーンにおける重要な生産拠点でもあり、半導体組付・検査 (OSAT) 、電子回路基板 (PCB) などが生産されている。このため、サプライチェーンで最も付加価値を生み出す、IC設計、ウェハー・ファビリケーションなどの川上産業の開発を目指すのが次のステップになる。安定性を生み出し、高い価値を有した産業を拡大するための重要な一歩になることから、国家レベルのロードマップを作成するためセミコンダー委を設置した。ナリット事務局長は、タイが東南アジア地域における半導体産業の中心となるための基礎を築く重要な出発点になるとしている。
半導体・先端エレクトロニクス産業の国家戦略の策定では、世界クラスのコンサルタントを任用する。タイのポテンシャルの評価から、インフラ開発、投資奨励措置、全てを網羅する政策レベルの戦略に加え、少なくとも10社の世界クラスの企業による半導体設計と生産への投資を引きつけるため、世界クラスのサプライチェーンの共同開発、国の競争力を高めるための半導体分野の主要国との協力関係の構築までを含む実践レベルの戦略を策定する。
未来産業を支える人材の育成では、2030年までに8万4900人の専門家と研究者を輩出するとした高等教育・科学・研究・技術革新省の計画を承認した。サンドボックスや国際インターンシッププログラムなどの新たな教育カリキュラムによるアップスキル、リスキル・プログラムを実施するほか6か所にトレーニングセンターを開設する。タイの半導体産業に対する信頼感を強化し、強力なエコシステムを構築するため、ウェハー・ファブリケーションや研究開発センターの開設など国家レベルのインフラを構築する計画もある。
セミコンダー委はBOI事務局長を委員長とする半導体・先端エレクトロニクス産業開発戦略策定を総括する小委員会と高等教育・科学・研究・技術革新大臣を委員長とする半導体・先端エレクトロニクス産業人材育成小委員会の設置を決定した。
ナリット氏は、半導体がほぼすべての産業におけるテクノロジーの基礎となるもので、半導体産業の基盤の構築はタイにとって大きなチャンスになると述べている。「この日の会議は、業界の方向性、投資奨励策の策定、人材の準備、学術研究の支援、さらには半導体分野での国際協力の構築を含む国家戦略を策定するための重要な出発点。首相自ら委員長を務めることは産官学の協力関係の構築を加速するのに役立つ」とし、産業開発の方向性や支援策を体系的に定め、投資や先端研究を促進する環境を整備することが可能になるとしている。
BOIによれば、2018年から今年9月までにエレクトロニクス・電気産業の投資申請は1213件、投資予定額は8763億2800万バーツを数えている。特にここ2年はプリント基板製造への投資が大幅に増加している。大半は米国、欧州、中国、台湾、日本からの投資となっている。
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