2025年1月10日(金)号

24年の二輪市場は9%減=今年は170万~175万台予測

 二輪製造販売のタイ・ホンダは25年の国内二輪市場規模を170万~175万台と見積もった。ローンを利用しづらい状況が続くため前年比でせいぜい1%増にとどまると予測した。国内市場で最大のシェアを持つホンダの販売台数は前年比2%増となる136万~140万台に達すると予測した。
 清水勇一社長[=写真左から2人目]は、家計債務の高止まりが消費者の購買力を圧迫し、二輪や四輪のローンの不良化への懸念を引き起こしていると述べている。金融機関は焦げ付きを恐れて融資に慎重姿勢をとっている。


 タイ・ホンダによれば、24年の国内二輪販売台数は前年比9%減の171万台にとどまった。金融機関の融資基準厳格化と消費者の購買力の低下が影響している。ホンダの昨年の販売台数も前年比で6%減少し、138万台にとどまった。
 清水氏は、今年の状況は幾分改善すると楽観している。政府の経済刺激策が消費者の購買力を強化し、二輪需要の増加につながると期待している。
 ホンダはタイを二輪の輸出拠点に活用しており、タイ工場から96か国に供給している。欧州が21%、日本が18%、北米が15%を占める。タイ国内では約1300の特約店を通じて販売している。今年は、ファミリー車が引き続き人気を維持し、総販売台数の55%を占めると予測した。AT車は42%、スポーツ車が2%、電動バイクは1%を占めると予測した。
 タイ工業連盟(FTI)自動車部会のスラポン・パイシットパタナポン広報担当は、25年も二輪の市場は回復しないと述べている。金融機関が融資に慎重で、経済状況が悪化する中、自動車業界の企業が労働者を解雇し続ける限り、状況は改善しないと指摘している。24年に大幅に増加した二輪のセールバックも注視する必要があるとした。
 国内市場の減少により昨年の二輪生産台数は減少しているが、FTIが目標とした212万台は達成した。24年1~11月の二輪生産台数は前年比2.1%減となったが、台数は222万台を数えている。うち173万台が完成車で、前年同期比11.3%減、完全ノックダウンは49万247台で、前年同期比55.3%増となった。昨年1~11月の輸出台数は前年同期比14.9%増の85万7587台。アジア諸国でタイから完全ノックダウンを輸入する動きが強まっているという。

25年の社債発行額は前年並み=タイ債券市場協会

 タイ債券市場協会(TBMA)によれば、昨年末時点の債券市場の残高は17.1兆バーツとなり、前年末比で3.6%増となった。主に政府部門の発行する債券の増加によるもので、社債の発行額は前年比で2桁減となった。昨年の社債発行額の減少の主因はハイイールド債(格付けがない、または投資不適格級)の発行が減少したことにある。
 昨年の民間企業による長期債券(社債)の発行額は9131億4100万バーツで、前年比10%減。景気の先行き不透明と金利の上昇が響き、1兆バーツの大台を下回った。社債発行額が多かった業種は、金融・証券、不動産、エネルギー。今年は8500億~9000億バーツにとどまると予想した。
 信用格付けが比較的良い大企業は社債発行を続けそうで、債券市場を通じた資金調達活動は続く見通し。金利が低下していることを背景に債券利回りも低下しており、債券市場は発行体にとって、より魅力的に映る。ただし、いくつかの企業は社債の信用格付が引き下げ(ダウングレード)になっている。「BBB+」から投資不適格級に格下げになった企業が10社ある。経済が完全には回復していない状況が影響している。ただし昨年は13社の格付が引き上げになっている。
 経済の先行きが不透明な中、今年も社債のデフォルトや償還期日の繰り延べといったリスクは続きそう。昨年は5社でデフォルトが生じている。SET上場企業のサバイ・テクノロジー以外は未上場企業だった。
 償還期日を繰り延べた発行体は17社。うち12社は初めて期日内の償還が困難になった。償還期日繰り延べの代表的な例となったエナジー・アブソリュート社(EA)は今年も満期を迎える社債が62億バーツある。これら社債は同社の電力販売から得られる収益で返済される見込み。
 TBMAのアリヤ・ティラナプラキット副会長は社債市場における懸念材料の一つとして、農業・協同組合省による協同組合の社債運用規制の強化を挙げている。協同組合の社債での運用額の上限が資本金と準備金の合計額までに制限される。500億バーツ以上を債券市場に投資する協同組合が、新たな規制の上限を超えて投資しているため、今後は社債保有を増やすことができず、徐々にポジションを減らす必要に迫られる。
 同協会が実施した25年の政策金利に対する予測調査によれば、市場参加者の大多数は、金融政策委員会(MPC)による利下げを2回、合計0.5%幅と予測している。今年最初の利下げは第2四半期に行なわれるとみている。
 外国人投資家は24年にタイ債券市場で674億バーツを売り越した。24年末時点での外国人投資家による保有高は8700億バーツで、市場全体の5%を占めている。

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