2025年3月3日(月)号

中銀の月例経済金融報告=1月の景気は前月から回復

 タイ中央銀行が2月28日に公表した月例経済金融報告によると、タイ経済は1月に前月比で回復し、特に観光業の持続的な回復が成長を支えた。外国人観光客数および観光収入の増加に加え、政府の支援策の効果により民間消費も拡大した。これに伴い、商業、製造業、民間投資も回復基調となった。輸出は前月比で増えたものの、特定品目に集中する傾向が続いている。一方、政府支出は投資支出・経常支出ともに拡大を続けた。
 経済の安定性については、一般インフレ率が前月比で上昇した。生鮮食品の価格上昇が主因で、昨年の低いベース値に加え、野菜価格の上昇がインフレ率を押し上げた。コアインフレ率もわずかに上昇した。加工食品の価格上昇が主因となった。経常収支の黒字は、貿易収支の黒字縮小により減少したものの、サービス・所得・移転収支の黒字は増加した。労働市場は全体的に安定し、前月と同水準を維持した。
 政府の支援策として、電車・バスの運賃免除、ショッピング減税、1人1万バーツ現金給付の第2フェーズなどが実施され、交通サービスや消費財の購入が促進された。自動車の生産は改善し、特に乗用車の生産が前月比で増加したが、オーストラリア向けのピックアップトラックや乗用車の輸出は需要減少の影響を受けた。労働市場全体は安定しているものの、建設業や製造業(自動車業界を含む)の雇用動向は今後も注意が必要としている。
 民間消費は、すべての主要部門で増加した。特にサービス消費では、旅客輸送や宿泊・飲食の売上が外国人観光客の増加に伴い伸び、電車・バスの運賃免除も利用者数の増加につながった。耐久財では、特に乗用車の販売が増加した。モーターエキスポでの予約分の納車が進んだ。非耐久財の販売も好調で、消費財や飲料の売上が伸びた。半耐久財では、衣料品や繊維製品の輸入が増加し、一部は税控除措置の恩恵を受けた。消費者信頼指数は、政府の支援策や国内観光の回復により、継続的に上昇した。
 民間投資では、設備投資が増加し、国内機械販売と資本財輸入の伸びが見られた。一方で、建設投資は住宅分野では横ばいとなった。タウンハウスの建設は増加したものの、一戸建てやコンドミニアムの建設は減少した。非住宅建設はわずかに増加した。輸送機械への投資は、前月に航空機・船舶・鉄道車両の輸入が高水準だった反動で減少した。
 観光業では、外国人観光客数および観光収入が前月比で増加した。特にマレーシアからの観光客が増えたほか、フランスや英国などの長距離市場からの観光客も増加し、1回の旅行あたりの支出額が高い傾向が見られた。
 金地金を除く輸出については、季節調整済みの輸出額が前月比で増加した。特にインド向けのプラチナの輸出が、インドの貴金属輸入関税引き下げの恩恵を受けて急増した。また、アセアン向けの石油製品や、米国向けのエアコン輸出も増加した。一方、オーストラリア向けのピックアップトラックと乗用車の輸出は減少した。通信機器やコンピュータの輸出も前月に出荷が進んでいた影響で落ち込んだ。
 金地金を除く輸入は、季節調整済みの輸入額が前月比でわずかに減少した。電子部品の輸入、特に中国からの輸入が減少したことが主な要因である。しかし、燃料関連では原油輸入量が増加し、消費財では携帯電話、医薬品、化粧品などの輸入が増えた。資本財では、中国からの機械・電気機器の輸入が増加した。
 工業生産指数は前月比で上昇し、特に自動車生産ではハイブリッド車の生産が増加した。石油製品の生産も在庫積み増しのため増えた。食品・飲料分野では乳製品や冷凍・冷蔵水産品の生産が増え、化学製品では化学肥料の生産が拡大した。
 サービス業も成長し、特に観光関連の宿泊・飲食、旅客輸送が回復した。また、物流・商業部門も改善した。政府の経済刺激策の恩恵を受け、成長を維持した。
 農業分野では、収入が前年同月比で増加した。特にサトウキビや果物(ロンガンやマンゴー)の収穫量が天候に恵まれて増加した。また、ゴムやパーム油の価格が上昇した。前年からの供給の減少が影響を与えた。
 政府支出は前年同月比で増加し、公務員給与、年金、医療費の支出が増拡大した。また、公共インフラや交通インフラへの投資支出も拡大した。
 金融市場では、製造業、運輸業、持株会社部門での企業の資金調達が減少した一方、サービス業の資本市場での調達額が増加した。債券利回りは1月末時点で短期・長期ともに安定していたが、2月下旬には米国の経済指標が市場予測を下回ったことを受け、長期債利回りが低下した。
 為替市場では、バーツは1月に対ドルで下落傾向となったものの、2月には回復した。要因として、米国の貿易政策のリスクが市場予想よりも穏やかだったこと、さらにタイの観光シーズンによる資金流入があったことが挙げられる。

ベトナムで工業団地開発=アマタVNが創立30周年

 工業団地開発・運営を手がけるアマタ・コーポレーションのベトナムにおける工業団地事業への出資会社であるアマタVN社(AMATAV)が創立30周年を迎えた[=写真は2月21日の記念式典]。ベトナムに展開する4か所の工業団地を拠点に、さらなる成長を目指す。
 ソムハタイ・パニッチワーCEOによれば、これまでに開発したアマタシティ・ビエンホア、アマタシティ・ロンタン、アマタシティ・ハロンの3か所の工業団地と、クアンジ工業団地を合わせた4か所の工場用地面積は、合計1万8000ライに達する。入居企業の累積投資額は2000億バーツを超えている。ベトナム経済への貢献度は大きく、世界からの投資誘致を推進し、最新のインフラ整備と包括的なサービス体制の構築を進めてきた。
 「All Win」を理念に掲げ、企業や政府だけでなく、地域社会や環境にも利益をもたらす工業団地としての役割を果たしながら、持続可能なスマート工業団地としての側面も強化している。ソムハタイ氏は、「我々の工業団地はいずれも経済的安定と持続可能な社会開発を優先課題にしている。アマタ(永遠)という名のとおり、今後もこの理念を事業に反映させていく」と述べた。
 現在、4か所の工業団地に入居する企業数は200社を超え、雇用創出数は6万人に達している。完備されたインフラの中でも、発電設備に太陽光発電システムを導入している点は、ベトナムにおける先駆的な事例となっている。入居企業にはネスレ、ペプシコ、スワロフスキー、資生堂、ブラザー、タイガー、花王、ジンコソーラー、オートリブ、フォックスコン、YKK、金発科技(Kingfa Sci & Tech)などがあり、2023年のフォーチュン・グローバル500にランクインしたトップ企業も名を連ねている。

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[データ]
タイ中央銀行の月次経済指標

[閣議決定]
25年2月25日

[先週の為替・株式市況]

25年2月24~2月28日

[商品市場]
バンコク首都圏の燃油小売価格
天然ゴム・ハジャイ中央市場

[金融市場]
外為相場

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