2025年6月25日(水)号

総額1154億バーツの経済対策=インフラ・観光など481事業を承認

 ペートンターン政府は6月24日に開いた閣議で、財務省が提出した経済刺激策を決定した。総額1570億バーツの経済刺激予算に基づくプロジェクト/作業計画の審査結果を了承し、審査をパスしたプロジェクトの実施を承認した。50の政府機関が申請していた481事業、予算費目にして8939件、総額1153億7527万バーツが実施される。ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相[=写真中央]は、経済刺激プロジェクトの実施は、水資源および運輸インフラ、観光、輸出部門への影響緩和と生産性向上、地域経済およびその他の分野に関するプロジェクトから成り、タイの経済構造を成長に適したものへと転換し、短期的な経済刺激を効率的に実現するのに寄与するとしている。


 予算配分を受ける政府機関は、関係する法律、規則、閣議決定を遵守して実施することとし、所轄省が各機関のすべての段階における業務実施について監督・追跡・検査するよう指示した。
 政府は昨年9月17日、経済刺激に関する重要政策を推進するための委員会を設置した。首相が委員長を務めている。委員会の権限義務には、政策の策定、プロジェクトの目的、実施方針、原則および条件、財源の確保などが含まれる。
 今年5月20日の閣議では、財務省が提出した経済推進計画を承認し、あわせて財務省と関係機関に対し、運輸省、予算局、内閣法制委員会事務局、国家経済社会開発委員会(NESDC)事務局、投資委員会(BOI)事務局、国家水資源事務局、タイ中央銀行の見解を踏まえて進めるよう指示した。
 6月18日に開催された委員会の第3回会議において、審査小委員会の審査を経た、重要度の高い経済刺激プロジェクト/項目の提案が承認された。これらは、50の政府機関によって実施される予定で、プロジェクト数は481、項目数は8939件、総額は1153億7527万1500バーツにのぼる。
 これらのプロジェクトは大きく①インフラ②観光③輸出セクターの影響軽減と生産性の向上④地域経済およびその他の4分野に分けられる。
 インフラ分野における予算申請は188プロジェクト、1万7074項目、総額1697億6620万5200バーツで、このうち、重要度が高いと認められたプロジェクト/項目は34プロジェクト、7986項目、総額849億9954万2200バーツ。水資源分野が8プロジェクト、2881項目、総額391億3585万1200バーツ。運輸分野が26プロジェクト、5105項目、総額458億6369万1000バーツ。
 観光開発における予算申請は1049プロジェクト、1760項目、総額246億793万5600バーツで、重要度が高いと認められたプロジェクト/項目は420プロジェクト、922項目、総額100億5257万9600バーツ。
 輸出部門への影響緩和と生産性向上分野では、予算申請は258プロジェクト、1969項目、総額715億6303万2100バーツにのぼり、重要度が高いと認められたプロジェクト/項目は10プロジェクト、10項目、総額111億2219万3000バーツで、3分野に分けられる。農業分野は4プロジェクト、4項目、総額1億6021万3000バーツ。労働者の影響緩和分野が1プロジェクト、1項目、総額100億バーツ。デジタル分野が5プロジェクト、5項目、総額9億6198万バーツ。
 地域経済およびその他の分野における予算申請は327プロジェクト、816項目、総額767億4006万9700バーツ。このうち、重要度が高いと認められたプロジェクトは17プロジェクト、21項目、総額92億95万6700バーツで、3分野に分けられる。
 国家村落・都市コミュニティ基金(SML)が1プロジェクト、1項目、総額40億バーツ。地域経済およびその他の開発プロジェクトが14プロジェクト、18項目、総額15億5965万6700バーツ。国の経済基盤構築のための教育分野における人的資本開発プロジェクトが2プロジェクト、2項目、総額36億4130万バーツ。
 これらの経済刺激プロジェクトへの予算配分により、マクロ経済レベルでの成果(アウトプット)として、水資源および運輸分野のインフラの量的・質的拡大、観光分野における安全対策や利便性の向上などが実現する。さらに、県、地域、地方レベルにおける経済的成果(アウトカム)として、県の総生産(GPP)の拡大、1人当たりGPPの増加、雇用の増加、農家/世帯の所得の増加、1ライ当たりの生産性の向上などが見込まれるとした。
 ピチャイ副首相兼財務相は、経済成長率は0.4%押し上げられ、740万人の雇用が創出され、約340億バーツの所得が生み出されると述べた。資金は、1人当たり所得の低い地域に重点的に分配され、県および郡レベルを含む全国に分散することを強調。1人当たり所得が低く、経済規模の小さな県のほうが、経済効果が大きくなると説明した。また、投じる資金は経済の広範な成長を支えるもので、建設業、小売・卸売業、金融業、その他のサービス業など川上から川下の経済部門への波及効果を生むとしている。

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