2025年6月30日(月)号

上院議員による首相弾劾請求=憲法裁が7月1日に審議

 憲法裁判所は7月1日に、ペートンターン首相とカンボジアのフン・セン氏との会話流出問題に関連した首相弾劾請求を受理するかどうかを決定する。上院議員36名が請求したもので、憲法違反、誠実性の欠如、重大な倫理規範違反の疑いがあるとして、首相の解任を求めている。
 上院議員らは、ペートンターン氏が憲法第160条(4)および(5)に抵触していると主張している。ペートンターン氏の行動は首相としての威厳を損なうもので、個人的な利益と国益を混同し、国益と統治の原則に反していると指摘した。憲法裁がこの請願を受理し、職務停止を命じた場合、プアタイ党を中心とした現政権に大きな政治的影響を及ぼす可能性がある。
 今回の音声流出問題は憲法裁判所にとどまらず、国家汚職防止取締委員会(NACC)もすでに初動調査を開始している。NACCは、音声記録の文字起こし、クメール語からの正確な翻訳、証人尋問、関連する過去の判例を用いた法的分析を進める方針だ。
 国立経営大学院(NIDA)のある政治学者は、今回の憲法裁への弾劾請求が首相にとって最も深刻な法的リスクである可能性が高いと述べている。上院議員からの請求であることから、一般市民からの請求よりも裁判所に重く受け止められる可能性があるという。現時点で結果は予測困難としつつも、請求が受理される可能性は高いと見ている。審理中に職務停止となるかは不透明だが、どちらの可能性も排除できないと話している。
 憲法裁判所は、過去に首相の職務停止を命じたことがある。2022年8月24日には憲法が定める8年間の首相在任期間が満了したかどうかの憲法判断請求でプラユット・チャーオーチャー大将に首相としての職務停止を命じた。ただし、憲法裁が同年9月30日に在任期間の起算日を憲法公布日からとする解釈を示したことで公務に復帰している。
 また首相資格喪失の判断は、2008年9月9日にタクシン派政権のサマック・スントラウェート首相に対して出された。首相就任後もTVの料理番組に出演し、謝礼を受け取っていたことが憲法267条違反と判断され、ただちに失職している。また、2024年8月14日にはセーター・タウィーシン氏が憲法160条に定める国務大臣資格(倫理義務違反)を欠いたとする判断を示し、ただちに失職したことは記憶に新しい。

戦勝記念塔で抗議集会

 6月28日、「主権を守る国民の力」(United Power of the Land to Protect Sovereignty)」を自称するグループは戦勝記念塔で首相の辞任を求める集会を開いた。時折雨が降る中、1万人規模のデモ隊が集結した。

デモ主催団体のFacebookページより


 主催団体によると、3万5000人、警察によると、約1万人の参加者が集まった。早朝から、記念塔周辺に続々と集まり、ステージも設けられた。
 主催団体の幹部であるピチット・チャイモンコン氏は、「首相は音声流出問題の責任を取り辞任すべき」との主張を繰り返し、連立与党各党にも政権からの離脱を呼びかけた。
 タイ・パクディ党のワロン・デーチャキットウィクロム党首は、「チナワット家には裏切りのDNAがある」と批判。今後の司法判断が政治の変革をもたらすと自信をみせた。

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