2024年6月11日(火)号

今年の成長率目標3%に=10日の経済閣僚会議

 セーター政府は6月10日、2回目の経済閣僚会議を開催し、最新の経済情勢を協議した。ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相によれば、長期的にタイ経済の成長は年率5%が必要との認識で一致し、今年に関しては2.5%増と予測されている成長率を3%に引き上げる目標を定めた。外国人観光客を3570万人から3670万人に増やし、投資予算の執行を急ぎ執行率を70%以上に高め、民間投資を促進する。
 この日の会議では、タイ経済の成長が潜在成長率を下回っていることや、成長率が域内の他国よりも低いことを問題にし、経済問題の解決には短期と長期の対策が必要なことを確認した。

経済閣僚会議の議長を務めるセーター首相


 国家経済社会開発評議会(NESDC)が発表した今年1~3月期の経済成長率は1.5%増。通年の成長率予測は2.0~3.0%増で、今年2月時点の予測の2.2~3.2%増から下方修正した。タイの第1四半期の成長率はアセアンの他の6か国の成長率を下回っている。NESDCによると、フィリピンとベトナムはそれぞれ5.7%増を示し、以下、インドネシア(5.1%)、マレーシア(4.2%)、シンガポール(2.7%)と続く。
 ピチャイ氏は財政局の最新の経済予測で今年の成長率が2.4%増にとどまることから、3%に引き上げるための3つの目標を設定した。第1に、外国人観光客数を財政局予測の3570万人から100万人、上積みする。これによりGDPは0.12%増加する。第2に、24年度の投資予算の執行を急ぐ。24年度の投資予算は約8500億バーツで、歳出総額の約20%を占める。通常、投資予算は年度内に60%程度が消化される。現在の執行率は41%。最終的に執行率を60%から70%に引き上げることができれば、GDPは0.24%増える。第3に、民間投資の促進で、投資委員会(BOI)への投資申請がすでに8000億バーツあり、実際に実行される投資を300億~400億バーツ上積みすることができれば、GDPは0.14~0.15%増える。
 財務省は中小企業の資金繰りを支援するため、総額500億バーツの第11次ポートフォリオ・ギャランティ・スキーム(PGS11)を11日の閣議に提出する。タイ信用保証公社(TCG)が実施している信用保証プログラムで、保証枠は1社あたり最大4000万バーツ。保証期間は10年。
 財務省はこのほかに、中小企業向けの低利融資プログラムも検討している。政府貯蓄銀行(GSB)が商業銀行に貸出原資として最大1000億バーツを金利0.1%で融通し、商業銀行が最初の3年間の金利を年3.5%以下に抑制して中小事業者に貸し出す。
 会議では国家半導体委員会の設立、労働者のスキルアップのための施策についても協議した。半導体/電子回路基板産業は、地政学的リスクを回避するために生産拠点移転の動きが進んでおり、BOIもエレクトロニクス産業の川上分野への投資誘致を推進している。川上のチップ生産、電子設計などの高度人材の育成を含めたエコシステム開発の目標を定める。

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