2026年1月5日(月)号

11月の工業生産は4.24%減=バーツ高・洪水・国境情勢が影響

 工業経済事務局(OIE)は12月29日、11月の工業生産指数(MPI)が90.54ポイントとなり、前年同月比4.24%減となったと発表した。大規模製油所の定期保守による操業停止、バーツ高による輸出競争力の低下、タイ・カンボジア国境情勢による国境貿易への影響、南部大洪水、外国人観光客数の減少などの影響を受けた。OIEは2026年に向けて注目すべき5つの有望産業と早急な構造調整が必要な5つの産業を示し、今後の課題への対応を呼びかけた。
 スパキット・ブンシリ事務局長[=写真]によれば、11月の設備稼働率は55.49%にとどまった。石油産業における大規模な定期保守に伴う一時的な生産停止により、石油関連製品の生産が減少したことが主因。また、バーツ高によりタイ製品の輸出価格が上昇し、価格面での競争力が低下したことに加え、南部地域の洪水により一部地域の製造業が操業停止を余儀なくされた。さらに、タイ・カンボジア国境情勢が国境貿易に影響を及ぼし、宝飾品・貴金属、石油製品、消費財などの産業が影響を受けた。加えて、外国人観光客の減少が続いていることから、冷凍鶏肉、加工食品、靴類、ビール、ノンアルコール飲料など、観光関連産業にも影響が及んでいる。
 一方、11月の産業部門を下支えした要因として、自動車生産が3か月連続で拡大したことが挙げられる。前年に輸入販売したEVの代替生産のため国内生産が拡大したことによるところが大きい。また、工業製品の輸出は17か月連続で拡大しており、政府の景気対策の「コンラクルン・プラス」や「ティアオディー・ミークーン」も、工業活動を支える要因となった。
 12月の工業経済に関する早期警戒システムは「警戒シグナル」を示している。国内要因については、景気循環が下降局面にあり、特に民間投資の縮小が続いている点が警戒要因とされた。一方で、国内消費は政府の景気刺激策の効果により一定の下支えを受けている。海外要因については、中国、オーストラリアの輸出拡大を背景に警戒度はやや低下したものの、EU、日本、アセアンの生産動向については引き続き警戒が必要とされている。
 2026年の工業部門の見通しについて、OIEは世界経済の新たな構造から追い風を受ける産業群が引き続き有望産業となると評価している。AIとIoT市場の拡大に伴って成長する電子部品産業、需要の拡大に加え、EV3.0、EV3.5の代替生産義務と国内部品使用条件を背景に拡大が見込まれるEVおよび関連部品産業、データセンター需要に対応する高容量HDDの生産拠点としての地位を持つコンピュータ・周辺機器産業、原材料の供給体制と製造基準の面で優位性を持ちペット市場の需要に対応可能な食品・飼料加工産業を挙げた。
 一方で、早急な構造転換が求められる産業としては、内燃機関自動車産業、石油精製産業、基礎鉄鋼産業、繊維産業、家具・関連部品産業を挙げた。これらの産業は、EVへの移行圧力、家計債務の重し、輸入品の流入、生産コストの上昇、国際的な関税・環境規制といった複合的な圧力に直面しており、長期的な競争力を維持するためには構造的な調整が不可欠と指摘した。
 11月の工業生産指数に前年同月比でプラスに寄与した主要産業は以下のとおり。
 ・パーム油
 前年同月比で40.79%増となった。パーム原油、精製パーム油製品の生産が増大した。降雨量や気象条件が良好だったことから、パーム椰子の市場供給量が増加したことによる。
 ・電子部品と電子回路基板
 前年同月比で6.40%増となった。PCBA、その他の電子部品、ICを中心とした製品が牽引し、世界の半導体市場の成長に沿った拡大となった。
 ・砂糖
 前年同月比で165.52%増と大幅に拡大した。天候に恵まれたことでサトウキビの圧搾量が前年を上回ったことに加え、2023/24年生産期におけるサトウキビ価格が高水準だったことが、農家の作付面積拡大を促したことが背景にある。
 11月の工業生産指数に前年同月比でマイナスに寄与した主要産業は以下のとおり。
 ・石油精製
 前年同月比で13.52%減となった。主に軽油、重油、航空燃料油の減少によるもので、一部の製油所が大規模な保守点検のため一時的に操業を停止した。
 ・その他一般機械
 前年同月比で25.66%減となった。主にエアコンの生産減によるもので、国内の購買力の鈍化に加え、中国からの低価格品の流入が影響した。
 ・その他ゴム製品
 前年同月比で8.35%減となった。医療用ゴム手袋、ブロック状ゴムの生産減が主因で、南部地域の洪水により天然ゴム、ラテックスの市場供給量が減少した。

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