2026年4月16日(木)号

燃料危機で支援策を閣議承認=低所得者・企業・農業者に重点配分

 エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相[=写真]は4月11日の閣議において、中東地域の戦闘状況の影響を受けた人々への支援措置が承認されたと明らかにした。影響の緩和と経済リスクの抑制を目的とするもので、中東情勢の悪化で景気の減速とインフレ高進が同時に進むスタグフレーションを招く可能性があるなか、すべてのセクターへの影響を見据えた対応となっていると説明した。


 政府は、依然として不確実性が高い状況のもとで、脆弱層、輸送部門、農業部門と消費者の生活費負担を軽減する措置、国民と事業者の適応(トランスフォーム)を支援することで、石油依存からクリーンエネルギーへの転換を促進する措置、ならびにサプライチェーンの上流に位置する事業者や農業部門に対する支援措置を講じることで、事業運営や農業生産に必要な流動性を確保する。これらの措置により、事業者と農業者の負担軽減とコスト削減を図り、消費者へのコスト転嫁の抑制につなげる。
 閣議で承認された主な支援措置は以下の通り。
 1.国民向け影響緩和措置
 1.1 脆弱層:国家福祉カード保有者1322万人を対象に生活費負担軽減策を実施する。生活必需品購入のための給付額を従来の月300バーツから400バーツに引き上げ、2026年4月13日から5月12日までの1か月間適用する。
 1.2 一般国民:エネルギー危機への対応として、クリーンエネルギーへの移行を促すための準備を進める。
 1.2.1 政府貯蓄銀行(GSB)がエネルギートランジションに向けた低利融資プロジェクトを実施する。与信枠は50億バーツで、太陽光発電設備(ソーラーセル)の設置やEVの購入など、エネルギー関連の適応を支援する。融資額は1件当たり最大200万バーツ、事業期間は5年間で、特別金利が適用される。申請期限は2030年3月31日。
 1.2.2 政府住宅銀行(GHB)は、省エネ関連の特別金利融資を引き続き提供する。主な内容は以下の通り。
 (1)「バーン・ユーイェン・ペンスック(快適住宅)」融資:住宅の購入・建設・増改築・修繕と再生可能エネルギー設備の導入に対応するもので、金利は年2.20%から。返済期間は最長40年。申請期限は2026年4月30日。
 (2)「ナンバー5住宅」融資:タイ発電公団(EGAT)の省エネ基準「ナンバー5」認証住宅の購入・建設・借換えに対応する。最初の2年間は固定金利2.69%、期間は最長40年。申請期限は2026年12月30日。
 (3)ソーラールーフ融資:福利厚生融資制度に参加する顧客向けに、屋根設置型太陽光発電設備導入のための追加融資を提供する。融資上限は30万バーツ。
 2.農業部門向け影響緩和措置
 農業・農協銀行(BAAC)が、生産コスト削減を目的とした利子補給融資プロジェクトを実施する。融資枠は300億バーツで、農業者が生産要素を購入するための低利資金を提供するとともに、関連スキルの研修・学習も実施する。さらに、土壌、作物、地域に適した肥料使用の分析も行ない、農業者の生計能力の向上と生活の質の改善を図る。
 金利は年6%とし、借入農家が所定の条件を満たした場合、政府が年3%分の利子を負担する。1人当たりの融資上限は10万バーツ、返済期間は最長12か月、事業期間は3年間とする。
 3.事業者向け影響緩和措置
 3.1 政府契約事業者:中東情勢による影響を受ける政府契約事業者の事業運営と雇用への影響を緩和するため、財務省主計局が調達規則の緩和措置を実施する。落札者が契約締結できない場合でも正当な理由があると認め、契約放棄とはみなさず保証金を返還する。契約締結済みの場合でも、影響を受けた場合には状況に応じて一時的な工事停止の協議を認める。また、契約締結後に未着工の場合、政府機関が裁量により契約解除と保証金の返還をできるようにする。
 さらに、建設工事の基準価格における軽油価格の想定レンジを1㍑当たり51.00~69.99バーツに引き上げ、現状に即した価格算定を可能とする。予算局は各政府機関、国営企業、その他の公的機関に対し、価格変動契約(エスカレーション・ファクター:K値)の補償支払いに充てるための予算振替・変更を加速させる。また、燃料価格と資材価格の変動に対応するため、価格調整契約の条件、基準、計算方法の見直しを行なう。
 3.2 中小企業向け措置:財務省と政府貯蓄銀行(GSB)は、総額1000億バーツの低利融資プロジェクト「GSBビジネス再生」を実施する。環境対応、デジタル化、技術導入などのトランスフォーメーション投資を行なう事業がこの措置を利用できる。また、タイ中小企業開発銀行(SME・Dバンク)は、「SMEグリーン・プロダクティビティ」融資を提供し、省エネ技術や再エネ、EV関連など、グリーン産業への転換を支援する。金利は最初の3年間が年3%、融資上限は1社当たり3000万バーツ。
 さらに、タイ輸出入銀行(EXIMバンク)が「EXIM Support Plus」措置を実施し、中東情勢による輸送コスト上昇の影響を受けた輸出業者に対し、運転資金を融通する。中小企業向け金利は年4.00%とし、同時に中東危機に伴うリスク増大に対応した特別料率の輸出保険も提供する。
 4.運輸部門向け影響緩和措置
 運輸部門の燃料費補助のため、合計42日間(4月20日~5月31日)の支援予算を承認した。総額は20億6100万バーツ。
 1)不定期貨物トラック(大型10輪以上と小型10輪未満):13億5400万バーツ。
 2)バイクタクシー:9700万バーツ。
 3)公共旅客車両(カテゴリー2および3:バン・ミニバス):8100万バーツ。
 4)公共旅客車両(カテゴリー4):900万バーツ。
 5)燃料使用タクシー:800万バーツ
 6)不定期旅客輸送:3億1100万バーツ
 さらに、ソンクラン期間(4月6~19日)の移動に伴う国民の負担軽減のため、国営バス会社のトランスポート社に2億バーツの支援を行なう。
 エークニティ副首相はまた、閣議が予算局に対し、政府機関の支出削減を検討するよう指示したことも明らかにした。海外視察や研修の中止、あるいは国内での実施への切り替え、政府機関におけるエネルギー使用の削減など。加えて、国民サービスに支障をきたさない業務については在宅勤務を導入し、エネルギー消費の削減と資源管理の効率化を図る。
 政府は財務省と関係機関を通じ、これらの措置を着実に実施することで、小規模農業者、国民、事業者への影響を緩和し、事業活動と日常生活の早期正常化を目指す。また、事業者の成長を支えるビジネス・エコシステムの構築を通じて経済リスクを抑制し、持続的かつ包括的な回復の基盤を整備する方針。

その他のニュース
[経済ニュース]
27年度予算方針を承認=期初施行へ前倒し

合成樹脂原料不足=商業・工業両省が連携強化

トヨタのモーターショー受注=過去最多1万5750台

株式投資家の信頼感=心理は「中立」

トライアンフの大型バイク事業=BOIが認可

BLC、原料調達を分散管理=供給安定とコスト抑制を強化

NTTの新データセンター=アマタシティ・チョンブリに

WHAグループ=社債発行で35億バーツ調達

クルンシー・コンシューマー=キャッシュカードの最新版

[社会ニュース]
不法就労のタイ人労働者=韓国政府が保護検討

国際指名手配犯=警察が相次ぎ拘束

髄膜炎菌感染症流行地域=渡航者にワクチン接種呼びかけ

[閣議決定]
2026年4月11日

[為替・株式市況]
4月7~4月10日

[商品市場]
バンコク首都圏の燃油小売価格
天然ゴム価格

[金融市場]
外為相場
銀行預金金利
銀行貸出金利

あわせて読みたい
無料トライアル 【無料トライアルのご案内】 タイ経済パブリッシングは毎日(土日祝を除く)、A4サイズのPDF版ニュースレターを定期購読者様にメール配信しております。 購読料金...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次