電車オレンジ線建設・運行=BEMと18日に契約署名
政府は7月16日の閣議で、電車オレンジ線(バーンクンノン~タイ文化センター~ミンブリ)の開発・運行業者選出の入札結果を承認した。バンコク・エクスプレスウェイ&メトロ社(BEM)、チョー・ガーンチャン社(CK)と18日に契約署名する予定。CKが西区間の土木工事と全区間の電車運行システムを施工するほか、CKのグループ会社であるBEMが電車運行を請け負う。
スリヤ・ジュンルンルアンキット副首相兼運輸相はこの日の閣議後、電車オレンジ線プロジェクトの共同投資契約を内閣が承認したと述べた。BEMにタイ文化センターからバンクンノンまでの西区間の土木工事を発注し、合わせて全区間の電車運行を委託する内容で、18日午後にスリヤ大臣立ち合いのもと、タイ電車公団(MRTA)とBEM、CKが契約を結ぶ。
オレンジ線の総投資額は1427億8900万バーツ。バンコクを東西に結ぶ総延長35.9㌔㍍の路線で、東区間のタイ文化センター~ミンブリ区間は22.45㌔㍍。駅は17か所設けられ、うち地下区間が10駅、高架区間が7駅。すでに土木工事は完了しており、先行して2028年に開通予定。西区間はバンクンノン~タイ文化センターの13.4㌔㍍で、地下鉄として開発される。駅は11か所に設ける。
BEMは土木工事の補助金915億バーツを国に求める一方、電車運行での収益から国に分配する分を差し引いて、最終的に782億8800万バーツの補助金を受け取る内容。運行開始から10年間は運賃を凍結する。初乗り運賃は17バーツ。運行委託契約期間は30年。
共同投資先の民間を選ぶための入札は2022年7月に実施され、同年9月にBEMが選出されていたが、バンコク・マストランジット・システム社(BTSC)が入札結果の取り消しなどを求めて4件の行政訴訟を起こしたため、承認できない状態が続いていた。最高行政裁判所は今年6月12日にBTSCの訴えを棄却する判決を下している。
スリヤ大臣によると、CKグループは西区間の土木工事に着工する準備ができており、2030年半ばには全線が開通する見通し。先行して開通する東区間は28年5月の計画よりも早い28年1月には運行を開始できると述べている。運賃については、電車運賃20バーツ政策に沿って、最高でも20バーツに抑えるためBEMと交渉する考えを示している。
中小企業向け低利融資=GSBが与信枠1000億バーツ
政府は16日、総額1000億バーツの中小企業(SME)向け低利融資プログラムの実施を閣議決定した。パオプーム・ローチャナサクン財務副大臣によれば、政府貯蓄銀行(GSB)が貸出原資を商業銀行や政府系特殊金融機関に融通するもので、国家予算は使用しない。ポーンチャイ・ティラウェート財政局長は、中小企業の資金繰り問題の解決につながると説明している。
GSBが1000億バーツを期間2年、年0.01%の金利で商業銀行や特殊金融機関に提供し、商業銀行などが年3.5%を超えない金利で中小企業に融資する。25年末まで申請を受け付ける。1社あたり貸付限度額は4000万バーツ。既存ローンの借り換えにも利用できる。プログラムに参加する銀行は全部16行。
現在の景気低迷、生産コスト上昇が中小企業の経営に影響を及ぼし、売上が減少しているほか、金融機関も融資に慎重で、資金繰り難に陥る中小企業が増えている。中小企業振興機構(OSMEP)の調査によれば、中小企業の92%が資金繰りに難を抱えている。制度内の資金源にアクセスできている中小企業は全体の53%に過ぎない。中小企業が抱える問題を早急に解決できなければ、経済全体に広範な影響が及ぶ。
GSBはこれより前、個人向けの既存債務借り換えを目的とした低利融資プログラムを今年4月から開始している。少額資金貸付のナノ・ファイナンスの借り換えプログラム「リ・ナノ」、個人ローンの「リ・Pローン」、カードローンの「リ・カード」、住宅ローンの「リ・ホーム」の4つのプログラムを用意している。
リ・ナノは1人あたり貸付限度額20万バーツで、返済期間は最長8年。年33%のナノ・ローンの金利負担が借り換えで年18%に減る。リ・Pローンは1人あたり10万バーツまで借り換えに応じる。返済期間は最長5年で、金利負担は25%から15%に下がる。
カードローンの借り換えは、1人あたり最大50万バーツ、返済期間は最長7年で、保証人や担保は不要。金利負担は年16%から年8.99%に減る。リ・ホームは1人あたり100万~500万バーツで、返済期間は最長40年。最初の3年間の金利が年1.95%に固定される。
EAが経営支援先探し=信用格付が投資不適格級に
再生可能エネルギーのSET上場企業、エナジー・アブソルート社(EA)は7月16日、借入金の返済能力を高め、長期的に持続可能な事業の発展に貢献する新たなパートナー探しを急いでいることをタイ証券取引所(SET)に報告した。これを受け、SETはEA株に対する取引停止の「SP」サインを解除したが、この日の株式市場でEAの株価は急落した。
EAのウティラート・ヂアラニラクンチャイ取締役は、TRISレーティング社による自社の格付引き下げで、資金の借入や債券の発行がより困難になったことを認め、経営支援先探しに入っていることを明らかにした。SETには24年中に返済期日を迎える借入金や社債の償還を含む財務に及ぼす影響についての追加情報と、債務返済計画、ソムポート・アフナイCEOの退任の経営への影響について報告書を提出した。
今年3月末時点で、24年中に返済期日を迎える負債が195億500万バーツあった。第2四半期中に30億1700万バーツを返済したため、残りは164億8800万バーツ。内訳は金融機関からの短期借入金と手形が81億4400万バーツ、金融機関からの長期借入金で年内に返済期日を迎える負債が28億5200万バーツ、社債が54億9200万バーツ。これより前には、年内に返済しなければならない負債は借入金で約32億バーツ、社債で約55億バーツとし、短期借入金は通常はロールオーバーされることを理由に加えていなかった。
ウティラート取締役は債務返済における3つの手段を明らかにしている。第1に、手持ちの現預金が19億バーツあり、太陽光発電と風力発電で月間10億バーツのキャッシュフローがある。第2に、金融機関との60億バーツのコミットメントラインがあり、現在、金融機関が最終検討中。第3に、追加発行する社債について、アンダーライターと交渉中。新規発行する社債は期間1年と3年を想定している。ただしTRISレーティングがEAの格付を「BBB+」から投資不適格級となる「BB+」に引き下げており、当初の計画どおりに新規社債を発行することは困難になっている。EAがすでにタイ債券市場協会(TBMA)に新規起債の取りやめを伝えたとの未確認の情報もある。格付引き下げは金融機関からの融資にも影響を及ぼしそう。
16日の株式市場で、EA株は9.15バーツで寄り付き、12日終値の13.10バーツから30.15%安となる9.15バーツで取引を終えている。EAのメーンバンクであるサイアム商業銀行(SCB)、EAの関係会社であるネクスポイント社(NEX)の株価も下落した。
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