日本製鉄が設備投資に45億B=Gスチール/GJスチールの2社
投資委員会(BOI)のナリット・トゥードサティラサック事務局長は8月29日、日本製鉄が熱延鋼板製造のGスチール社とGJスチール社の生産ライン改良で大規模設備投資を計画していることを明らかにした。向こう3年間に45億バーツを投資する計画で、BOIと協議を進めている。設備の近代化で製品品質を改良するとともに製品ポートフォリオを多様化する。
BOIの発表によれば、投資予定額はラヨン県にあるGスチールで30億バーツ、チョンブリ県にあるGJスチールで15億バーツ。生産ラインをより効率的で環境に優しいものにアップグレードする。低炭素の製鉄技術を採用するほか、コスト削減のためリサイクル鉄鋼の原料管理システムも開発する。日本製鉄は2社の品質対応力とコスト競争力の強化のため、約15億バーツの設備投資を決定したと8月9日に発表していた。
日本製鉄は22年3月に2社の買収を完了した。Gスチールには直接・間接に60.23%、GJスチールには同57.60%を出資している。2社はいずれもタイ証券取引所(SET)に上場している。
日本製鉄は生産、営業、整備、企画、財務などの主要部門に人を派遣(2024年8月時点で23名)し、事業基盤の再構築に取り組んできた。日本製鉄によれば、2社はタイで唯一の鉄源・熱延一貫ミルとして、主にタイ国内の建材・鋼管分野への短納期対応による安定供給を続けているが、これらに加え、高強度建材、建材リロールメーカー(冷延・メッキ製品)向け原板供給、さらには欧州・近隣諸国への輸出など、新たな市場開拓を積極的に進めているところ。市場開拓に向けて温室効果ガス管理機構からカーボン排出量の認証を取得済みで、その他の認証機関からの環境関連認証の取得についても検討中。
日本製鉄は60年以上前にタイに最初の生産ラインを設立し、鋼管の生産を皮切りにその他の製品にも事業を拡大してきた。タイに直接・間接出資を含め30のグループ会社を持ち、8000人以上の従業員を擁している。
BOIによれば、タイの1人あたり鉄鋼消費量は年間234㌔㌘で、アセアン域内最多。現在、タイには約180社の鉄鋼事業者がある。内訳は条鋼が100社、平鋼が80社。大多数(60%)は建設業で使用する鋼材を生産している。自動車用が20%、電機・電子向けが7%、機械・産業用機器向けが5%、包装産業向けが5%、その他が3%で続く。
製造業やインフラ産業向けでタイの鋼材需要は伸びると見て、大規模な設備投資を決定した。設備投資のための資金は子会社のタイ日本製鉄が融通する。
アユタヤ県の工業団地=IEATが洪水対策を確認
タイ工業団地公団(IEAT)のウィリット・アマラパーン総裁はこのほど、アユタヤ県にある工業団地を訪問し、洪水対策を視察した。北部地方に広範な洪水被害をもたらした水が南下しており、ピチット、ピッサヌローク、ナコンサワン、チャイナート、アントーン、アユタヤへと下りてくるためで、24時間態勢で洪水対策を取る。
アユタヤ県にあるIEAT管轄の工業団地はナコンルアン、バンパイン、バンワーの3か所。いずれも2011年大洪水の教訓から対策を整えている。
ナコンルアン工業団地は長さ5.5㌔㍍、高さ8.2㍍の堤防を構築、毎時2万1600立米の吸込能力があるポンプを4台配備した排水施設を設けている。停電に備えた自家発電所1か所や団地内に2か所の貯水槽もある。
バンパイン工業団地は長さ10㌔㍍、高さ6㍍の堤防、合計吸込能力毎時3万2400立米のポンプ18台を備えた排水施設4か所、自家発電施設4か所、貯水槽1か所を設置済み。
バンワー工業団地は長さ11.1㌔㍍、高さ5.4㍍の堤防、毎時5万4000立米の吸込能力があるポンプ5台を備えた排水設備1か所、自家発電施設1か所、貯水槽1か所を設置済み。
アユタヤよりも先に洪水が予想されるピチット県にあるピチット工業団地は、氾濫が懸念されるヨム川からは離れており、被災する可能性は低いという。
IEATは各工業団地に対し、現地政府機関との連絡を密にして、非常時の救援体制を整えておくよう指示した。工業団地に浸水した場合には直接的な被害だけでなく、事業機会の喪失やタイの工業生産拠点としての国内外の信頼感の喪失といった影響が生じる。IEATは工業団地周辺の地域社会に住む人の安全確保も軽視しないよう注意を促している。
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