2024年9月25日(水)号

タイ初のウェハファブ工場=ハナ電子とPTTが合弁

 投資委員会(BOI)のナリット・トゥードサティラサック事務局長は9月20日、FTワン・コーポレーションのウェハファブリケーション工場開発プロジェクトの進捗状況を視察した。ハナ・マイクロエレクトロニクス社とPTT社の合弁事業で、国内初のウェハファブ製造工場となる。今年2月に投資奨励認可し、8月にBOI証を発行済み。現在、工場の設計作業が進んでいる。

ナリットBOI事務局長(中央左)はラムプーン県にあるハナ社の半導体工場を視察した

 ラムプーン県のサハ・グループ工業団地にあるハナ社の半導体工場の隣接地に今年12月着工予定で、稼動開始は2027年第1四半期を予定している。第1期工事の総工費は115億バーツ。韓国の大手チップメーカーから技術移転を受け、一般的なシリコン製チップとは異なる特性を持つ6×8インチサイズのSic(シリコンカーバイド)製ウェハを製造する。電流や高熱に耐えることができるウェハで、データセンターのサーバーや、EVの充電装置、EVのインバーター、エネルギー貯蔵システムに使用されるような電気エネルギーの変換を制御する電子機器(パワー・エレクトロニクス)での使用に適しているという。これら産業や製品は将来的に高い成長を遂げる可能性がある。
 同事務局長によれば、工場は地政学的リスクを軽減するために中立国にあることが求められ、タイは適地になる。コスト競争力があることも条件。また将来的に生産能力を拡張する余地があり、電力の安定供給やクリーン・エネルギー関連インフラの構築が急速に進んでいること、労働者の職能水準の高さ、政府による振興措置、EV、エネルギー貯蔵システム、データセンターなどの最先端産業が急速に伸びつつあることもタイの強みだと説明した。
 タイの電子産業はOSAT(半導体製造工程中の後工程である組立と試験の請負)がメインだったが、FTワンの工場はタイで初めての川上工程になる。半導体と電子部品・製品のサプライチェーンの再編にもつながり、世界の大手電子メーカーの投資を呼び込む上でも重要な一歩になると同事務局長は見ている。

SCアセットが業容拡大=東京建物、大和ハウスと合弁

 チナワット家を大株主とするSET上場不動産デベロッパーのSCアセット・コーポレーションは、5年前に設立した子会社のSCXコーポレーションを通じて向こう5年間、物流施設やホテル、事務所ビル開発を進める中期計画を発表した。投資額は200億バーツを予定している。
 SCアセットのナッタポン・クナコーンウォンCEOは、物流施設やホテルなど力強い成長が見込める新たなセクターへの事業の多様化によって、住宅市場が厳しい状況にある中で安定した収入を生み出すと述べた。ナッタポン氏はタクシン元首相の長女であるピントンター・チナワットさんの夫で、ペートンターン首相にとっては義兄にあたる。
 ナッタポンCEOは住宅市場について、家計債務膨張による住宅ローン拒否率の上昇、消費者の信頼感低下、大量の売れ残り物件という3つの要因の影響を受けていると指摘した。
 SCXコーポレーションのラチョット・ナンタクワン社長は、投資予算の大部分を物流施設とホテルの開発に向けると説明している。物流施設は東京建物との合弁で賃貸倉庫・工場を開発する。東京建物にとって海外における初の物流施設開発事業。メトロキャット・プロジェクト、レムチャバン・プロジェクトの2つの物流施設開発を進める。
 メトロキャット・プロジェクトはサムットプラカン県バンナー・トラート道路20㌔㍍地点の90ライ超の敷地に開発する。物流や運送事業に最適な立地で、バンコクへの商品輸送に便利。賃貸建物の床面積は8万平米を予定し、すぐに使用できる標準的な倉庫兼工場を開発する。第1フェーズで床面積2万3000平方メートルの2棟の建物が25年1月に完成予定。
 チョンブリ県のレムチャバン港から8㌔㍍の国道3009号線沿いの土地でも倉庫兼工場を開発する。プロジェクトの賃貸スペースは合計4万6000平米で、一般区の1万3000平米、フリーゾーンの3万3000平米に分かれ、25年第1四半期に完成予定。
 ホテル事業では、大和ハウス工業との合弁会社がスクムビット・ソイ29近くに客室数306室の「KROMO, Curio Collection by Hilton(クロモ・キュリオ・コレクションbyヒルトン)」を建設中。地上28階建てで、来年上半期の開業予定。SCXが進めていたプロジェクトに大和ハウスが参画した。今年5月20日に合弁契約を結んでいる。大和ハウスにとってはタイで初めて参画するホテル事業。なお大和ハウスは物流施設事業では最大手のWHAコーポレーションと組んでいる。
 SCXはSET上場の建設会社のシンテック・コンストラクション社と組んでチョンブリ県のジョムティエン・ビーチにも客室数161室のホテルを開発中。

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