2026年5月13日(水)号

電力料金構造見直しへ=民間発電契約問題で委員会設置

 アヌティン政府は、電気料金問題の構造的解決に向けた委員会の設置を決めた。民間発電事業者との電力購入契約に伴うコスト問題について、国民や民間部門から懸念が高まっていることを受けた対応。問題視されているのは、発電準備維持費(Availability Payment:AP)と電力量料金(Energy Payment:EP)で、電力料金の上昇局面で大きな関心を集めている。
 電力料金を巡って現在大きな議論になっているのが、APとEP。特に電力料金が高止まりするなかで、「なぜ需要が伸びていないのに高額な固定費を払い続けているのか」という批判が強まっている。タイの電力システムは、タイ発電公団(EGAT)が中心となり、民間発電会社や一部海外電源から電力を購入する仕組み。1990年代以降、政府は電力不足のリスクを避けるため、民間投資を積極導入した。その際に採用されたのが、長期固定型の「電力購入契約(PPA)」だ。APは実際に発電した電力量ではなく、いつでも発電できる状態を維持していることに対して支払われる固定費で、発電所の建設費、設備投資回収、人件費、保守費、金融コストなどが含まれる。ほとんど電力を生産していなくても、契約容量を維持している限りEGATはAPを支払わなければならない。一方、EPは実際に発電した電力量に応じて支払われる変動費。主に燃料費が中心で、天然ガス価格、LNG輸入価格、石炭価格などが反映される。
 近年、経済成長の鈍化、省エネ化、コロナ後の需要回復の弱さなどから、電力需要の伸びは想定を下回っている。一方で、過去に契約済みだったIPP発電所は次々に稼働したため、電力の予備率(Reserve Margin)が非常に高い状態になっている。一般に安定運営に必要な予備率は15%程度とされるが、時期によって30~40%近くに達している。需要予測が外れたことで、予備率が過剰となり、不要な固定費を負担している状況となり、IPP契約の見直しが必要と批判が出ている。
 首相は5月11日付で、「民間発電事業者からの電力購入に伴う問題検討委員会」を設置する命令を出した。委員長にはパコン・ニラプラパン副首相が就任し、エカナット・プロムパン・エネルギー相が副委員長を務める。委員には、エネルギー省、内務省、最高検察庁長官、内閣法制委員会事務局長、国家経済社会開発評議会(NESDC)事務局長、消費者保護委員会事務局長、タイ発電公団(EGAT)総裁、首都圏電力公団(MEA)総裁、地方電力公団(PEA)総裁、エネルギー事業監督委員会(ERC)事務局長のほか市民の代表らが参加する。
 ラチャダー・タナディレーク政府報道官によると、同委は、民間発電事業者との電力購入契約が一般的な契約慣行と整合しているかを検討する。検討対象には、発電準備維持費(AP)と電力量料金(EP)の双方が含まれる。法的整合性を確保しつつ、すべての契約当事者にとって公平で、国民負担にも見合った制度へ改善するための政策提言をまとめる。
 政府は、電力料金が家計や企業活動にとって重要なコストであることを認識している一方、単なる短期的措置だけでは問題解決できないとの立場を示している。電力システムは、エネルギー安全保障、長期投資、事業者の信頼に関わるため、多面的な検討が必要だとしている。
 そのため、透明性あるプロセスのもとで、関係するすべての当事者を巻き込み、問題の分析と解決策の検討を進める方針。最終的な目標は、「安定性」「透明性」「競争力」を備えたタイのエネルギーシステムを構築し、国民利益を最大化することにある。政府報道官は、法の原則、公平性、「国民中心」の理念に基づき、電気料金問題へ本格的に取り組むとしている。
 同報道官は、世界がエネルギー危機に直面するなか、タイ政府は単なる場当たり的対応ではなく、この危機を電気料金構造見直しの機会に活用すると述べた。「国民は保護されなければならず、同時に法令を順守する事業者も持続可能でなければならない。投資意欲を維持し、タイの電力システムの発展を支えていく必要がある」と語った。

消費者信頼感指数=8か月ぶり低水準

 タイ商業会議所大学(UTCC)が5月12日に発表した4月の消費者信頼感指数は、2025年9月以来8か月ぶりの低水準に低下した。米国・イスラエルとイランの戦争への懸念や、高止まりする原油価格がタイの経済成長や国民生活に影響を及ぼすとの不安が背景にある。


 経済全体に対する信頼感指数は44.1、雇用機会に関する指数は48.6、将来所得に対する指数は59.0となり、前月の45.5、49.8、60.2からそれぞれ低下した。すべての指数が基準値の100を下回っていることは、消費者が経済状況、雇用機会、将来所得に自信を持てないでいることを示している。
 背景には、中東の戦争や原油価格、生活費上昇への不安があり、これらがタイ経済や雇用の回復を遅らせるとの見方が強まっている。その結果、消費者の将来所得見通しに対する不確実性も高まっている。
 消費者信頼感指数(CCI)は51.8から50.6へ低下した。指数全体が依然として100を下回って推移していることは、消費者がタイ経済全体の回復が遅く、生活費も高止まりしていると認識していることを示している。さらに、米国とイランの戦争を巡る不透明感がいつ解消されるのか見通せない状況が、現在と将来の消費者心理を圧迫している。
 現在の消費者信頼感指数は35.9から34.7へ低下した。一方、将来の信頼感指数も59.7から58.3へ下落した。
 UTCC経済・ビジネス予測センターは、消費者が今年上半期において支出に慎重姿勢を維持すると予測している。その理由として、中東の戦争情勢が今後どのように推移し、どの程度深刻化するのか、またどれほど早期に終結するのかを見極めようとしていることを挙げた。加えて、消費者は政府による戦争やエネルギー価格上昇の影響緩和策、景気刺激策の具体的内容についても注視している。

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