首相がマクロン大統領と会談=タイ仏協力拡大で一致
アヌティン首相兼内相は5月25日、パリのフランス大統領府(エリゼ宮)でエマニュエル・マクロン大統領と会談し、貿易・投資、安全保障分野での協力強化で一致した[=写真]。両国が未来産業分野での連携拡大や、タイ・EU間FTA交渉の加速に加え、戦略的パートナーシップ強化に向けた共同行動計画を進める方針を確認した。
マクロン大統領はこの日、アヌティン首相兼内相を招き、夕食会を開催した。会場は終始、温かな雰囲気に包まれた。

貿易・投資促進について、フランス大統領と首相は、両国間の貿易・投資額をさらに拡大させる方針で一致した。特に、代替エネルギー、宇宙・航空、スマートグリッド、AI向けインフラ、データセンターなど、高付加価値産業分野を重視する。これらは、フランス民間企業が高い専門性と成長力を持つ未来産業分野でもある。
フランス経営者協会やフランス主要企業との協議からは、多くの企業がタイへの新規投資や追加投資に関心を示していることが確認された。一方、フランス側はタイ民間企業による対仏投資を高く評価し、今後さらなるタイ企業による投資拡大を期待している。
タイEU間FTA交渉は、タイ政府の重要政策の一つに位置付けられており、政府は年内妥結を目指している。首相は、フランスが継続的に交渉プロセスを支援してきたことに謝意を示した。そのうえで、FTAは両国に新たな経済機会を生み出す重要な転換点になるとの認識を示した。
安全保障協力については、サイバーセキュリティ分野への協力拡大を確認した。両国は多国間合同軍事演習「コブラ・ゴールド」に参加しており、今後は安全保障・サイバーセキュリティ分野の協力をさらに拡大させる方針を確認した。政府が各国と連携して進める、詐欺グループやオンライン犯罪対策の方針とも一致するもので、実際に、容疑者の送還や摘発、不正資産の押収などで成果をあげている。
タイ・カンボジア情勢とミャンマー情勢について、首相は、タイが主権や平和、国際法尊重の原則を堅持していると強調した。タイ・カンボジア間の海洋境界画定に関する「MOU44」の破棄については、約25年間にわたり進展が見られなかったため、タイは国際法であるUNCLOS(国連海洋法条約)に基づく二国間協議による解決を選択したと説明した。陸上国境問題については、昨年末に署名した共同声明に沿って対応を進める方針で、カンボジア側の誠意を見極める必要があると述べた。
この機会に、両国は「タイ・フランス・パートナーシップ強化共同行動計画2026~2028(Joint Action Plan to strengthen the Thai-French Partnership 2026-2028)」を進めていく方針を確認した。タイ・フランス関係を戦略的パートナーシップへ引き上げる重要な一歩となる。
アヌティン首相はこの日午前にフランス主要企業5社の幹部と会談した。会談相手は、イメリス上級副社長兼ゼネラルマネジャーのフランク・ウィットヘン氏、エアバス・グループ上級副社長兼国際部門責任者のフィリップ・ペゼ氏、エシロールルックスオティカ上級副社長のエリック・ジャヴェロー氏、INグループ会長兼CEOのアニエス・ディアロ氏、タレス・グループ執行副社長兼経営委員会メンバーのフィリップ・ヴァレ氏で、タイの未来産業分野への投資拡大を呼びかけた。
首相はタイの産業・技術・イノベーション分野における地域拠点としてのポテンシャルを強調するとともに、フランス民間企業が継続してタイへの信頼を示し投資を行なっていることに謝意を示した。一方、フランス企業側も、タイの潜在力や投資環境、さらに投資支援措置を高く評価した。
先端材料分野の世界的大手であるイメリスとの協議では、同社がEV向けリチウム電池や高性能エネルギー貯蔵システム、高速充電対応電池システムの電極製造に欠かせない先端材料である「グラファイト」や「導電性カーボンブラック」を製造する企業であることが紹介された。首相は、EVサプライチェーン強化に向け、イメリスにタイへの投資を検討するよう呼びかけた。タイは地域最大のEV生産拠点で、先端材料メーカーの進出にも対応可能だと強調した。
欧州最大の航空機・防衛システムメーカーであるエアバス・グループは、タイの潜在力に強い信頼を示した。最近では、デジタル航空システムや先進航空技術の開発支援拠点としてタイ拠点を拡張しており、技術支援、人材育成も行なっている。タイは、フランス国外における同社の重要拠点の一つとなる予定で、現在160人以上のエンジニアが勤務しており、将来的には200人超へ増やす計画となっている。
また、世界最大の眼鏡・レンズメーカーであるエシロールも、タイでAIグラス生産への投資拡大を決定した。AI技術やスマート電子技術を高級眼鏡と融合させるもので、利用者は眼鏡を通して写真や音声の記録、音楽再生、さらにAIアシスタントとの接続による翻訳や場所・視認物の確認などを、音声操作によって利用可能になる。
フランスのデジタル本人認証システム大手INグループは、パスポート、デジタル身分証明書、運転免許証、政府向けデジタルIDシステム分野に強みを持つ。同社は、タイ政府向け次世代デジタルIDシステム開発に向けた協力を提案したほか、バイオメトリクス技術やデジタル本人認証システムについても協力案を提示した。CLMV諸国やアセアン向けセキュアIDシステムの生産・試験拠点としてのタイの役割拡大が期待される。
国防技術、宇宙、デジタル安全保障、サイバーセキュリティ分野の世界的大手であるタレス・グループは、サイバーセキュリティシステム、防衛システム、電子パスポート開発など幅広いサービスを展開している。同社は、サイバーセキュリティインフラ開発に向けたタイ政府との協力案を提示した。
首相は、政府としてフランス民間企業によるタイの新産業や先端技術分野への投資拡大を支援すると強調した。投資委員会(BOI)を含む関係機関が、利便性向上や投資奨励措置を通じて支援を行ない、タイを地域の未来産業・技術・イノベーション拠点として発展させる方針を示した。
その他のニュース
[経済ニュース]
フランス経済界にタイ投資呼びかけ=首相がMEDEFで基調講演
レッド線延伸2事業=SRTが建設契約締結
中台系PCB3社=BOIが追加投資認可
EECO、中国企業と協力覚書=「EECiti」投資調査を推進
バンチャークがタイ初=SAF商業生産開始
野焼きサトウキビ大幅削減=PM2.5対策で過去最低3.8%
AOTが国際空港会議を主催=タイの航空ハブ化推進へ
エビ産業再建へ行動計画要求=疾病対策と生産拡大を提言
国民の債務比率上昇=生活費高騰が最大要因に
ピパット運輸相=交通政策企画事務局に方針伝達
GSB新総裁、社会的銀行へ進化=全ライフステージ支援で金融包摂
保健情報を全国で共有=ヘルスリンク×ターンラット
新世代エンジニア育成=高等教育省が高専機構と連携
[社会ニュース]
ラチャノック選手=7年ぶり大会3度目V達成
性的動画拡散でMeta調査へ=削除遅れ問題視し規制強化検討
タイ王室衣装と伝統工芸を紹介=パリMADで特別展開催
[トピックス]
トヨタバンポー工場の「チーワパナウェート」=生物多様性保全地域に選出
[レポート]
26年第1四半期の支出面
[BOI認可事業]
4月22日認可8事業


コメント