TATが2027年観光戦略=「量」から「価値」へ
タイ観光公団(TAT)は8月24日、バンコクのラチャダムヌーン・ボクシング・スタジアムで2027年度のマーケティング戦略発表会を開催した。挨拶したスラサック・パンジャルーンウォラクン観光スポーツ大臣[=写真上]は、2027年をタイ観光の方向性を「量」の競争から「価値と付加価値」の創造へ転換する最初の年とし、タイを「Asia’s No.1 High-Value Destination(アジア最高の高付加価値旅行先)」へ引き上げ、年間を通じて旅行を楽しめる国へ変えていく方針を示した。

タパニー・キアットパイブーン総裁をはじめとする公団幹部のほか、スラサック観光スポーツ相、チャトゥロン・パクディワニット観光局長らが出席した。
スラサック大臣は、「これからは観光客数のみを成功の指標とするのではなく、観光客の質(購買力水準)、経済的価値の創出度、国内での収入分散度、持続可能性などを重視すべきだ。タイの強みであるウェルビーイング(健康とケア)、文化、食、スポーツ、生活様式などを活用し、世界中の質の高い観光客のニーズに応える商品や体験へ発展させていく必要がある」と述べた。
TATについては、データ駆動型組織への進化を図り、データやAIを活用して観光客の行動やニーズを分析する仕組みを積極的に導入する方針を示した。マーケティング計画の精度を高め、各ターゲット層のニーズに合った商品や体験を提案できる体制を構築する。
スラサック大臣は、「今年はタイに何人の観光客が来るかという問いから、タイを訪れた観光客がいかに価値ある体験を得られたか、滞在期間は長くなったか、消費額は増えたか、観光収入が国民や地域社会にいかに行き渡ったかという問いへ転換しなければならない。これこそが、これからの観光産業の主要命題になる」と述べた。
目標達成にはTATなど単一機関の取り組みだけでは不十分とし、官民、事業者、地域社会など、あらゆるセクターのパートナーが連携する「チーム・タイランド」の形で強固な観光エコシステムを構築する必要性を強調した。タイを年間を通じて旅行できる国へ変えることで、戦略の実現につなげる。
一方、TATのタパニー総裁は、2027年に向けた目標「The Winning Goal 2027」を発表した。観光収入の伸び率を5%以上とし、主要都市と地方都市(セカンダリーシティ)の観光客比率を60対40へ分散させるほか、観光客のロイヤルティ指数でタイをアジアのトップ3に引き上げることを目指す。具体策として4つの戦略を導入する。
第1は「市場ポートフォリオ・バランスの再構築」で、東欧や中南米など新たな潜在力を持つ市場へ観光客層を拡大する。
第2は「アメージング・タイランド・ブランドの格上げ」。新たなぜいたくの形として癒やしを打ち出す「癒やしこそ新しいぜいたく(Healing is the New Luxury)」の考え方を軸に、タイを旅行者にとってより意味のある国へと進化させる。公式キャラクター「ノーン・スックチャイ(ほのぼのちゃん)」と「ノーン・ラックイム(食いしんぼ君)」を通じ、新たな旅行体験プラットフォームを創出する。
第3は「新たな成長エンジンの構築」で、観光をライフ・エコノミーと結びつけ、ウェルビーイング観光、フェスティバル・エコノミー、世界クラスのイベントなどを成長分野として育成する。
第4は「共に進める変革」。テクノロジー、イノベーション、観光価値知能システム(Tourism Value Intelligence)を活用し、観光産業の変革を進める。世界の観光産業の変化に対応できる人材や若手リーダーを育成するため、2028年には「観光リーダーシップ機関」の設立を準備する。
スラサック氏は、タイ観光が重要な変革期を迎えていると指摘し、その核心は新しいものを生み出すことではなく、「タイが持つもの」を「観光客が求めるもの」へ変えることにあると強調した。国のアイデンティティと強みから価値を生み出し、テクノロジーとタイらしさを融合させ、観光収入を各地域の国民に行き渡る経済的機会へ変える。タイを価値ある体験を提供する旅行先へ成長させ、世界の観光市場で持続的な発展を図る考えを示した。
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